第17回もうちょっとましな顔なら、もうちょっと本気でアタシ、愛してくれたの?

2012年7月14日、
声に出して読みたいビッチ語辞典に、
新しい言葉がくわわりました。

「マ○コ舐めたくらいで
調子のってんじゃねえよ!」

あーん、言いたい。今すぐ言いたい。
でも、とんと舐めさせてないから言えなーい。

え、オカマにはマ○コ無いじゃんって?
んまー、貧しいおセンス。
日本古来の風雅な見立て遊びを解してらっしゃらないのねぇ。

そんな無粋な輩が多い昨今ですから、
実は女装だてらにプライベート・ゲイライフではツッコミの男役ばかりを務めているアタシは、
ヤッつけるお相手を教育するように心がけています。

耳元で加藤鷹さんばりに、
「どこが気持ちイイの?」と問うて、
「ケ‥ケツぅ‥」なんて答えられた日にゃ
「違うだろッ! マ○コだろッ! マ○コって言え!」と叱咤し、
見立て遊びの継承に励んでいるわけですよ。
ほんに伝統文化を守るのも楽じゃねぇ(ってノリノリで楽しんでるくせに)。

ちなみにゴツいゲイ兄貴(でもネコ)の皆さんが、
ご自身の黄門様を「マ○コ」と見立ててらっしゃるのと同様に、
ストレート男性のお相手をする竿アリニューハーフさんや女装さんたちは、
ご自身のイチモツを「ペ○クリちゃん」と呼んでらっしゃるそうですよ。
ちょっと大きすぎる気もしますが、そんな想いが童謡『大きなクリの木の下で』を作らせたのかもしれませんね(チガウ!)。

って前回、「次回からは、マジメにLGBTのカミングアウト論について語っていきます。待っててね」とか締めたくせに、このシモネタ。ま、アタシのエッセイなんて、そんなもんよ。
「しっちゃかめっちゃか」でいいんだもーん。

そう、ヘルタースケルターってこと!

実はね、2CHOPOさんが、話題の映画『ヘルタースケルター』週間ってことで、
試写を拝見させていただいたアタシも、今週は『ヘルタースケルター』ネタを書くことになったんです。

カミングアウト論は来週以降ってことで、
メンゴだよ~!!(軽薄)

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いやー、それにしても期待以上の作品だったわ。

極彩色の魔術師・蜷川実花
×
ビッチビューティー・エリカ様
×
女流オシャレコミックのパイオニア・岡崎京子

これだけオカマ心をくすぐる女たちが揃っちゃうと、
逆に作品自体はたいしたことないってオチなんじゃ…と不安にも思ったんですが、
ほんとーにおもしろかった。
試写室で隣の席にいらしたHOSSY先生(すっぴんの変態ホモ風)と、いちいちニヤニヤしちゃったもん。

この映画のキモである、エリカ様演じる整形美女「りりこ」という存在のおもしろさは『サイゾーウーマン』で連載中のアタクシめの『女優女優女優!』で語らせていただく予定ですが、

こちら2CHOPOはせっかくのLGBTゾーンということで、
劇中、りりこが唯一心を開いているヘアメイクさん、
新井浩文くん演じるゲイのキンちゃんの設定に見られる関係、

「オカマは、逸脱した女の味方である」

ということに注目したいと思います。

芸能界で美のカリスマになったりりこは、ほぼ全身が作り物の整形美女。
ニセモノの外殻を世間が賛美すればするほど、心の中に虚無感がひろがっていく。
そんなトップスターは定石通り、裏ではわがままでヒステリックになって、
寺島しのぶ姐さん演じるマネージャーに、水ぶっかけたり、マン汁ぶっかけたり、
主演映画の舞台あいさつで「別に」って言っちゃったりするわけですよ。
ひい! 現実と映画がごっちゃになってる!

というくらい、この映画を観た誰もが

「エリカ様とりりこ様、かぶりすぎ…」

と思ったんじゃないかしら。ままま、美容整形はともかくよ。

そんな尖った性格を、世間では許さない人も多いようだけど、
アタシは、あの騒動の時も、いやあの騒動があったからこそ
エリカ様が大好きになったクチ。

だって別に友達になるわけじゃないのよ?
すぐそばにいて、機嫌が悪い時には八つ当たりされるんならともかく、
観てる分には、おもしろいほうがいいじゃない。

一昔前の、私生活が見えなかった銀幕のスターの世界が、
ブログで毎日食ってるものまで晒す「親近感タレント」の世界になったことで、
本物の大女優・大物ディーヴァが持つ強烈なキャラクターってのが
どんどんスポイルされちゃってる気がするのよねー。

その点、「手に負えない女」を怖がって避けたがるノンケ男と違って、
オカマは性愛のファンタジーを求めない分、女への評価がシンプル。
とくにノンケ男が求めがちな慎ましさ、とも言える「女らしさ」を逸脱した、
やりちぎった女たちこそ、愛せるんじゃないかしら。

そして、そんな女たちはたいてい直感が鋭いから、
自分におっ勃てるでもなく、ゴマをするでもないオカマたちが
「アンタおもしろい!」と本気で喜んでくれてるのが分かるんだと思うんです。

劇中のキンちゃんは、適度にオネエなヘアメイクさんで、とてもリアリティのあるキャラ。
ヒステリーを起こしやすいりりこが、キンちゃんにだけは怒らず、
メイクの腕も含めて、とても信頼してる。

周囲の人たちの、りりこに対する「証言」シーンでも、
本人がいない途端にキツい言葉だらけになる中で、キンちゃんだけは違った。

後半、世間を喜ばせるために、そして自分の価値を見せ付けるために、
ボロボロになって過剰に役割を全うしようとするりりこを、
キンちゃんはその技術を駆使して、美しく変身させるの。

「あれはあたしの生涯最高の仕事だった」と。

これは、世間一般の無難な善悪基準なんか飛び越えた、
スジの通った魂をリスペクトできる「審美眼」あってこそだし、
現実に、かっこいいオネエさんたちにはそういう人が多いんじゃないかしら。

エリカ様以上にショッキング(笑)な濡れ場を披露してくれた、寺島しのぶさんや、
さすがの桃井かおり先生まで、強烈な女優陣にも当然小躍りしっぱなしだったけど、

「普通に愛される女」にはなれなかった同士とも言える
りりことキンちゃんの「プロ意識」でつながった信頼関係に、
まさかの涙を流しちゃったアタシ。(40歳を迎えてますます涙腺ガバガバ)

実は現実のエリカ様は、何度か、アタシが金曜ママをやっている2丁目のお店に来てくれたことがあるのね。

うちら女装オッサンの相当ひどいショーを観て、ちゃんと(多分気を遣って)笑ってくれたし、
ほろ酔いの時には、なんとアタシの唇にキスまでしてくれたわ。
さすがのオーラのせいで、女がアタシにするキスが、あんなに魅惑的なんてちょっと困ったわけ。

まあ正直、それに喜んでる自分のミーハーオカマっぷりもどうかと思うけど、
彼女みたいな女性は、2丁目に来た時に、すごく伸び伸びとできるんじゃないかしら。
もちろん、ゲイの皆さんにもコンサバなタイプはいっぱいいるけど、
割合でいったら、確実に「ヤバい女」を受け入れる体制ができてる街なはず。

だからこそ、
2丁目的な世界をさらに濃縮したようなカオスなサロンが、
完全に振り切った 劇中のりりこの王国(もちろん女王制)になったんだしね。

2丁目の人々は、本人の希望とは関係なく、生き様なり心の中なりが、
しっちゃかめっちゃかになりやすいものかもしれない。

でもだからこそ、カオスの中の本当の美しさをちゃんと見つけて、
愛せる人たちが多いんじゃないかしらね。

アタシはこれからも、ヤバい女たちを愛し続けるわ。
エリカ様、ブラボー!!

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