第39回 東小雪のクィア・ライブラリー「出版記念スペシャル!」

「今回の本で、1番伝えたいことは?」
出版に際してたくさんの取材を受けています。その中で必ず聞かれるのが、この質問です。
今回は私の新刊『ふたりのママから、きみたちへ』『レズビアン的結婚生活』を書いた思いをお伝えできればと思います。

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私が「私は女の子なのに、女の子が好きかもしれない」と気がついたのは、高校2年生の春。石川県金沢市の女子校に通っていました。早生まれの私はそのとき、まだ16歳。LGBTという言葉も、セクシュアリティという言葉も、なにも知りませんでした。金沢市という土地柄と、そして私の家族が保守的だったこともあって(ただし当時は私の周囲が「保守的である」ということを認識することさえできませんでした。周り中が保守的で、それが当たり前だったんですから!)私は「女の子は結婚して子どもを産むものだ」という価値観を、呼吸するように、当たり前に取り込んでいたのです。

だから、「女の子なのに女の子が好きかもしれない!」と気がついたときに、真っ先に考えたことは、
「どうしよう。結婚して子どもを産むことができない。大変だ!」
でした。

東家の一人娘である私が結婚して子どもを産まなかったら……。
16歳の私にとって、これは、呼吸が乱れるような、とても苦しい出来事でした。

今ならわかります。
そういう歴史があるとしても、人は家のために結婚するのではないということ。
結婚にはいろんなカタチがある、ということ。
結婚しない生き方がある、ということも。
結婚と子どもを産むことが必ずしもセットではない、ということも。
子どもは親の道具ではない、ということも。

でも、多様な価値観を知らない、田舎の16歳の少女が、「レズビアンである」ということを肯定的に捉えることは、とてもできませんでした。

今でも目に浮かびます。セーラー服を着た16歳の私が、学校図書館の隅っこで、小さくなって『同性愛がわかる本』(伊藤悟著)を読んでいる姿が。

「東京にはパレードというものがある、…らしい」
「性別はグラデーション、…らしい」
「東京には、男の人ふたりで生きている人もいる、…らしい」

学校の図書室に、同性愛の本があって出会えたことは、本当によかった、ありがたかったと思っています。本は、新しい世界へつながる窓になってくれました。
しかし、40代後半のゲイの男性が書かれた本は、女子高生の私がほしい情報とは、ほんの少し違っていました。

「……レズビアンの女の人は、どうしているんだろう?」

本にも登場してくれている女子校時代の親友が、「10数年後に、こゆきちゃんがこんな素敵な本を書くんだよって、あの頃の私たちに教えてあげたいね」と、本の感想を送ってくれました。(彼女がどんなふうに登場しているかは……ぜひ『レズビアン的結婚生活』をお読みください!)

私の書いた本は、これからきっと、学校の図書館にも入れていただくと思います。

価値観は、ひとつではないこと。
今いる狭い狭い世界だけが、世界のすべてではないこと。
生きていれば、必ずよくなっていくということ。

背中を丸めて、隠れていなくても大丈夫。いろんな人が生きていて、みんな違うからこそ、この世界はとっても複雑で、だから生きるのはとっても素敵なんだよと、今を生きるセクシュアル・マイノリティの人にも、過去の私にも伝えたいです。

コミックエッセイ『レズビアン的結婚生活』は、1月15日、イースト・プレス社より2冊同時発売です。たくさんの方に届くように願っています。

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