第45回 どう考える? 子どもを持つこと PART2

さて、先週からレズビアンカップルが子どもを持つことについて考えています。

今回のテーマは、AID(非配偶者間人工受精)「出自を知る権利」についてです。
が、その前に…..。

私はレズビアンマザーとその子どもたちに、実際に会ったことがあります。しかし、ゲイファザーとその子どもたちには、まだ会ったことがありません。もちろん、私が知らないだけでいらっしゃるかもしれません。しかしLGBTコミュニティで仲間たちに聞いてみても、レズビアンマザーには会ったことがあるけど、ゲイファザーには会ったことがないという人が多いのです。ゲイカップルが子どもを持つためには、例えば代理母出産などが必要となり、レズビアンカップルが子どもを持つこととは、また違った壁があるのです。しかし、同性カップルにも養子を迎えることを法的に認めている国では、ゲイカップルが子育てをしているケースはたくさんあります。

さて、AID(非配偶者間人工受精)と「出自を知る権利」です。

日本でレズビアンカップルが子どもを持つことを望んだときに、現時点で考えられる具体的な方法として、精子提供を受けるという方法があることを前回書きました。

AID(非配偶者間人工受精)とは、不妊治療の選択肢のひとつで、夫ではない第三者からの精子提供を受けて妊娠を試みることです。現在日本には、この技術で産まれた子どもが、1万5000人から2万人いるといわれています。

また、8組に1組が不妊の問題を抱えているといわれ、そのうちの約半数が男性不妊なのだそうです。無精子症などの男性不妊の問題がある場合、このAIDが行われることが多いようです。意外に思われるかもしれませんが、日本でもその歴史は長く、1948年頃からAIDが行われていたようです。

AIDで生まれた子ども、DI児(DI=Donor Insemination)が成長して大人になって、父親と血がつながらないことを知った場合、衝撃を受けることが多いそうです。

家族に秘密にされていたことに対する精神的なショック。遺伝上の病気やアレルギーの有無がわからない。なにより「自分の半分がわからない」という不安に直面することになります。

プライバシーの観点から、精子提供者には匿名性が保証されています。そのため、子どもが「遺伝上の父親」の情報を知りたい/会いたいと願った場合でも、現状ではそれが叶いません。日本にはまだ「子の出自を知る権利」を保障した法制度がないからです。

イギリス、ドイツ、オーストラリア(ヴィクトリア州)、スウェーデンなどの国では、出自を知る権利が認められています。また、フランスは出自を知る権利を認めていません。

この問題は『精子提供〜父親を知らない子どもたち〜』(歌代幸子著)が詳しく触れていますので、ぜひお読みになっていただきたいと思います。「出自を知る権利」などの法的な問題の他にも、不妊治療に悩む日本のヘテロセクシュアルのカップルのリアルな苦悩、男性不妊だとわかった男性たちの葛藤、海外のレズビアンカップルも登場します。

私とひろこさんは、精子バンクから精子提供を受けることを真剣に検討していました。しかし、このような問題があることを知り、DI児当事者の方にお話をきかせていただき、いろいろ調べていく中で、今は私たちは精子バンクは利用しないだろうと考えています。これもとても個人的な考えであって、AIDや精子バンクを否定するものでは決してありません。ただ、「精子を選ぶ」ことの難しさや、私たちが直面した矛盾については、『ふたりのママから、きみたちへ』(イースト・プレス社)に詳しく書きました。ぜひそちらも併せてお読みいただきたいと思います。

セクシュアリティに気がついた16歳の私は「レズビアンだから子どもが持てない」と思いました。しかし時は流れて、レズビアンも子どもを持つことを考えられる時代になりつつあります。

精子提供者の匿名性は60年前から変わっていません。今を生きる、レズビアンである私は、この問題にどうやって向き合っていくことができるでしょうか?

(つづく)

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