第46回 どう考える? 子どもを持つこと PART3

2回にわたって、レズビアンが子どもを持つことについて書いてきました。今回は「子の福祉」について考えてみたいと思います。

「AIDで生まれた子どもに事実を告知するか?」というアンケートに、約半数の親が「告知しない」と回答しています。長年、医師から秘密にした方がいいと言われてきたことや、男性不妊に対する社会的な理解が進まないことなどが影響していると考えられています。

現在は、「子どもへの早くからの告知が望ましい」と医療の現場でも言われています。子どもの発達状況にあわせて絵本などを使って告知することが勧められています。しかし、事実を知った子どもが「遺伝上の父親」に会いたいと思っても、システムが確立していないため、現状では困難に直面してしまうことなども、両親が告知をためらう原因になっているようです。

「出自を知る権利」が保障され提供者の匿名性が保てなくなると、提供者が減ってしまうことが考えられるため、匿名性の中で行われた方がいいと言う医療者側の意見もあります。どうやって提供者を集めるか? という問題が残るからです。

また、秘密にしておいた方がいいのでは? 知らない幸せもあるのでは? という意見もあります。しかし病院などで、アレルギーの有無や家系の疾病などを尋ねられた場合に答えられないなどの問題を避けることは難しく、「子の福祉」に勝るものはないという考えが広まりつつあります。

私とひろこさんは女性同士のカップルで、精子がないことは明らかですから、子どもに秘密にしたままにしておくという選択肢はありません。この点が、AIDで妊娠・出産した異性カップルとは異なります。私たちはできるだけ早い段階で、自分たちのセクシュアリティや精子提供のことを、子どもに告知しようと考えています。(もちろん、「セクシュアリティ」とか「精子提供」という言葉を使うとは限りません。そのとき、子どもにいちばん伝わりやすい言葉を選ぶと思います。)

☆☆☆

「同性愛者が子どもを持つことはエゴ」という意見に出会うことがあります。

参考記事:「うちの両親はゲイ、だから何?」 同性カップルの子育てめぐり揺れるフランス(2012年11月)

同性愛者が子どもを持つことはエゴなのか? 異性愛者が子どもを持つことはエゴではないのか? 子どもを持つのに「資格」はあるのだろうか?
…..考えていくと「なぜ子どもを持ちたいと思うのか?」という問いにもつながっていきます。

「ひとりのパパにひとりのママ」というフランス語の標語がtwitterのトレンドになったこともあったようですが、異性愛社会に限定して考えたとしても、「ひとりのパパにひとりのママ」ではないカタチの家族が、すでにたくさん存在しています。シングルマザーやシングルファザーの家庭、児童養護施設で育つ人や、里親の元で育つ人、祖父母や叔父、叔母の家庭で育つ人もいます。「ひとりのパパにひとりのママ」だけが「いい家族」であるという価値観では、セクシュアリティに関わらず、たくさんの人が苦しくなっていきます。

知らないことや出会ったことがないことに向き合っていくのは、エネルギーがいるし、ときには少し怖いのかもしれません。それでも愛を出発点にして多様性に出会っていくと、私たちはもっと自由になれるのではないかと思っています。

710_1

 

Top