第1回 『チョコレートドーナツ』

 

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はじめまして。ライターのよしひろです〜(名刺交換時の常套句)。

今回から「よしひろまさみちの にじいろ☆シアター」と題して、LGBTにまつわる良作映画の数々を紹介することになりました。ときにうんちくたれますが、基本的にあたし自身が単純なので、小難しく考えずに楽しめるようガイドさせていただきまーす。どうぞお手柔らかによろしくお願いします。

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初回は、もうすぐ日本公開になるちょうどいい作品がありますので、劇場公開映画をチョイス。70年代にあった実話ベースの『チョコレート・ドーナツ』です。
冒頭だけご紹介。

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79年のLAゲイタウン、ウエストハリウッド。ドラァグクィーンとしてゲイバーのステージに立ちながらシンガーを夢見るルディは、ある夜訪れたイケメンに視線ロックオン。なんとそのイケメン、ポールもまたルディ、直後にポールの車の中で×××。クローゼットなポールは自由に生きるルディに惹かれ、日銭を稼ぎながら夢を追うルディもまた弁護士として正義を貫こうとするポールに惹かれ、2人の距離は一気に縮まっていく。ルディのアパートの隣室には、ドラッグでラリった女とダウン症児のマルコが暮らしていた。純朴ながら母の愛を受けずさびしく暮らすマルコを見過ごせず、ポールの勤め先へ相談に。ところが、ポールは突然現れた夜の顔に仰天。ルディは追い返される。だが、帰ってみると、マルコの母は薬物所持で逮捕され、マルコは強制的に施設に連れられて行く。翌日ルディはポールと再会し、ポールは前日の非礼を詫びて仲直り。そしてマルコのことを真剣に考え、2人は「いとこ」と偽り同居し、マルコを引き取る決意をする。

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70年代にゲイ・ペアレンツ! こんなことがあったってこと自体がビックリ。実際には、西海岸LAではなく東海岸NYのお隣、ブルックリンで起きた話なんですが、この時代からステレオタイプな家族観にとらわれなかった人がいたことがうれしい事実。ルディとポールが関係をはぐくみつつ、愛を知らずに育ったマルコにたっぷり愛情を注いでいく、夢のような家庭が描かれます。

これから公開の映画なので、詳しくはここまでにとどめておきますが、残念ながらこの幸せな関係は長く続かないんですな。偏見もあり差別もある時代だけに、当然のことながらありとあらゆる障壁が彼らの前に現れて、マルコとの関係を引き裂こうとします。それもけっこう姑息に揚げ足とりまくって、というあたりが汚い! この辺の描写は当事者であるLGBTの皆さんがご覧になれば怒りに震えることでしょう。

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血がつながっていれば愛がなくても家族? それとも、血のつながりはなくても愛がある環境なら家族になれる? コレ、今日の世界においてもなお議論されることですよね。今後、世界に広がる少子化、そして同性婚認可の波がさらに広がることによって、さらにこのテーマは重要視されることになるでしょう。この映画で描かれることは氷山の一角。今はこれと似たようなことはたくさんあるし、もっと悲惨なケースも当たり前でしょう。それだけに、ちょっとでも問題意識を持ってもらうために、この映画を幅広い層に観てもらいたい。性的マイノリティの方々はもちろんですが、ノンケの人にも(むしろ偏見あるノンケに見せてぎゃふんと言わせてやりたい)。

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あ、余談ですが、主演のアラン・カミングは『キャバレー』でトニー賞受賞の名俳優(劇中の歌唱シーンはガチ)。ご存じの通りバイセクシュアルを公言し、現在は男性と同性婚しているだけでなく、米国・英国でのLGBTの人権活動のサポーターとしても活躍しています。でも、彼が当事者、という色眼鏡で観て欲しくないのね。だから余談。個性的な役柄で、彼にしか演じられなかったとは思うけど、フォーカスすべきはそこじゃない。物語の素晴らしさなの〜!

人々の幸せにおいて、いかに偏見と差別があほらしく、邪魔なものかを映し出す傑作。GWは大作目白押しで、劇場で観たい作品がたくさんあるとは思うけど、この作品にも目を向けてね。

<作品情報>
チョコレート・ドーナツ
http://bitters.co.jp/choco/
監督:トラビス・ファイン
出演:アラン・カミング、ギャレット・ディラハント、アイザック・レイバ、フランシス・フィッシャー、グレッグ・ヘンリー ほか
配給:ビターズ・エンド
公開:4月19日より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
(C)2012 FAMLEEFILM, LLC

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