第52回 東小雪のクィア・ライブラリー「上野千鶴子先生と信田さよ子先生の著書」

先日青山ブックセンターにて行われた、上野千鶴子先生と信田さよ子先生との対談準備のために、私はひろこさんと一緒にたくさんの本を読みました。(同じ本を読んで語り合うというのは、いいものです。)今回はその一部をご紹介したいと思います。

先日、私のニコ生放送で、「フェミニズムって、知ってる?」というテーマでお話ししたところ、こんなコメントが印象的でした。

「フェミニズム?? ビアンで女らしい方のこと??」
…それはフェムビアンだ!

しかし、かくいう私も数年前までは、「フェミニスト」というのは女性にレディーファーストをするタキシードを着た紳士のことだと思っていました(恥。なんか宝塚の演目でそんなシーンがあったような気がするんです…。)

フェミニストとは、女らしい格好のレズビアンのことでも、レディファーストをするタキシードを着た紳士のことでも、もちろんありません。しかし「フェミニズムとは何か」「フェミニストは誰か」となると非常に難しくなるので、今回ご紹介する本を読んで考えてみていただければと思います。

 

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【女のサバイバル作戦】
男女雇用機会均等法? ネオリベ? 負け犬?ニュースや新聞で見聞きして、なんとなくわかっているような…やっぱりよくわからないような…そんな日本社会の流れが、わかりやすい言葉で書かれています。あとがきでは、上野千鶴子先生の「絶望感」ようなものが伝わってきます。

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【おひとりさまの老後】
言わずと知れた75万部の大ベストセラー。フェミニズムとは遠いところにいる非常に保守的な私の実家の母の本棚にもありました。日本は超高齢化社会を迎え、1度は婚姻した人もおひとりさまになる可能性が高い…。まだ何の法的保障もないゲイカップルやレズビアンカップルについても少しだけ触れられています。

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【女ぎらい〜日本のミソジニー】
上野千鶴子先生のご著書の中でも私がとくに大好きな1冊です。自分に関係がある章が非常に多くて読みふけったのですが、「春画の中のミソジニー」が強烈に印象に残っています。おもしろい!

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【発情装置】
少し難しいですが、絶対におすすめです! 本の装丁も素晴らしく、表紙はニキ・ド・サンファルの作品になっています。(いつかぜひニキの作品を実際に見てみたいです。)ひとくちに「同性愛」といっても、「ゲイという経験」と「レズビアンという経験」は違う。「好きになった人がたまたま同性だっただけ」と言えるのか?「同性愛は自然」か? などなど、レズビアンである私への興味は尽きません。これも本当におもしろい!

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【母が重くてたまらない】と【さよなら、お母さん】
原宿カウンセリングセンター長の臨床心理士、信田さよ子先生が書かれた、母娘問題の本です。この衝撃的な黄色い表紙の本と、ピンク色の表紙の本に大きな影響を受けた「娘たち」が、いったい全国にどれくらいいるでしょう? 間違いなく私も「娘たち」のひとりです。近代家族とジェンダーについても考えさせられます。

【傷つく人、傷つける人】
こちらだけ写真がありません。が、同じく信田先生の著書です。私たちがこれから遭遇するであろう「ママ友」のことや、私の母校である宝塚音楽学校の「予科・本科の関係」のことなどを考えました。

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【母と娘はなぜこじれるのか】と【ひとりで苦しまないための「痛みの哲学」】
こちらの2冊は対談集です。自分の痛みから逃れられないと思っている人(私もその1人ですが…)、母親との関係に悩んでいる人にぜひ読んでもらいたい対談集です。小児科医の熊谷晋一郎先生も、精神科医の斎藤環先生も、どちらも聞き手が男性であるということも、この対談集を面白くしていると思いました。

私は本が大好きです。セクシュアル・マイノリティであったり、保守的な社会で生きる女性であったり、私にはいろんな側面があります。そんな私の納得できない怒りも、強烈な違和感も、生きづらさも…。優れた本たちはその正体が何であるかをわかりやすく示し、解きほぐしてくれます。

自分の抱える生きづらさについて書かれた本があることで、私の存在が認められている、ときには許されているようにさえ感じます。それは本を通して、はじめから許されていたことを知るという経験です。だから何らかの生きづらさを抱えている人には、ぜひたくさんの本を読んでほしいと思っています。

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