第6回 ゲイ雑誌のルーツは「総合変態雑誌」だった!魅惑のゲイ雑誌の歴史。

ゴールデンウィークも終わり、ホッとひと息。中でも、5/3の『バディ』であり、『サムソン』も忘れてはいけない。いまやこの3誌だけだが、ちょっと前には『薔薇族』『さぶ』『アドン』『ザ・ゲイ』もこれに加わってしのぎを削った時代もあった。さらに時代を遡れば、『クィア・ジャパン』『YES』『にじ』『ファビュラス』『パレード』『DAVE』『豊満』『The Ken』『スーパーモンキー』『MLMW』『KNOCK』『バラコミ』『浪漫倶楽部』『恋男』『アドニスボーイ』などなど……あまたのゲイ雑誌が生まれては消えていった。そうした商業ゲイ雑誌の最初は、1971年に創刊した『カストリ雑誌」にその原型がある(このあたりの流れは非常に面白いのだが、また後日)。「風俗雑誌」は、エロ、グロ、ゴシップ、猥褻、猟奇、風刺に娯楽なんでもござれという編集方針で、まさに雑多なものを詰め込んだ“雑誌”であった。ところが、時代を下るにつれ、その内容は大きく3本の柱に集約されていく。その3本とは、SM、女装、そしてホモである。いわば鉄板のコンテンツ。根強い購読者を持っていたのが、この3種の変態だともいえる。いまの感覚からすればそれぞれ相容れないのでは?と思ってしまうが、それらが一冊の雑誌の中に仲よく共存していたのである。その様子は、雑誌の目次を眺めてみるとよく分かる。『鞭の王国』『紺色のサド』などなどのSM小説に並んで、『三島剛画集』『ソドムの海』とくる。そして、その間に『女装姿でひとり歩けば』なんて読み物がはさまるのだ! まさに総合変態雑誌である。一冊で3度おいしい……とも言えるし、心の狭い読者には1/3の内容を3倍の値段で買わされたってことになるのか(笑)

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1964年5月号『風俗奇譚』の目次

その後、総合変態雑誌であった「風俗雑誌」誌上において、ホモ読者に向けて“同好会”“サークル”“友好会”を作ろうという呼びかけが盛んになる。もっとも有名なのは「アドニス会」で、その会報として『アドニス』が1952年に発行された。それを皮切りに、『薔薇』『同好(後の『清心』)』といったホモ専門の会員制同人誌が次々と生まれてくる。いってみれば、ホモ独立運動といったところか(笑)。とはいえ、こうした会員制同人誌と商業誌としての「風俗雑誌」とは両立し、幸せな蜜月期間がしばらく続くこととなる。次の大きな転機が訪れるのは1971年、やはりホモ専門誌としての商業雑誌『薔薇族』の創刊だ。それを潮目に総合変態雑誌は下火となり、SM、女装それぞれの専門誌が登場することになる……というのが、ざっと見渡した風俗雑誌/ゲイ雑誌の歴史である。

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写真左/総合変態誌の代表格『風俗奇譚』1964年5月号。
写真中/『アドニス』創刊2号。1952年発行。
写真右/ゲイ雑誌史上、記念碑的な『薔薇族』創刊号。1971年発行。

さらにゲイ雑誌は進化を続け、好みのタイプや嗜好に合わせた雑誌へと分化していく。現存するゲイ雑誌3誌も、それぞれ棲み分けがなされているのはご存知の通り。いまでは雑誌ではないがインターネットが、よりピンポイントな情報発信メディアとして機能している。こうして変態世界はますます専門化、細分化してきたといえるのである。

そうした中にあって、あらためて往時の総合変態雑誌を眺めてみると、なんとも長閑で、のんびり、牧歌的な味わいがある。一方で、なんでもありのアナーキズムも感じられとても魅力的だ。

今からちょうど半世紀前の1964年5月号の『クロードと一緒に』の告知です……って、なぜにこの芝居にそんなに肩入れしてるかっていうと、ホモ芝居であるってことはもちろんだが、なんと『特捜戦隊デカレンジャー』のデカグリーンが出演するからなのだ。特撮もののヒーローがホモ役って、なんとも素晴らしいじゃないか! ちっちゃい子どもが、憧れのヒーローのお兄ちゃんってホモだったんだ!!って思ってくれれば、変な偏見など無くなっていくに違いない(笑)。

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左が、シンケンゴールド役だった相馬圭祐。右が、デカグリーン役だった伊藤陽佑。

クロードと一緒に』作:ルネ=ダニエル・デュボワ 演出:古川貴義 出演:稲葉友・伊達暁/相馬圭祐・伊藤陽佑のダブルキャスト 日程:2014年5月14日〜18日 会場:青山円形劇場
詳細は、http://www.zuu24.com/withclaude/で。

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