第10回 個人型確定拠出年金のメリット・デメリット

みなさん、こんにちは。ファイナンシャル・プランナーのTです。

すっかり新緑の香りがする気持ち良い季節になりました。この季節は本当に過ごしやすくて、思わず昼寝をしたくなりますね。

さて、この4月から消費税が8%にアップしましたが、みなさんいかがですか?

税抜き表示価格にしているお店が多く、「ひゃだっ!?これ、税抜き表示だったのぉぉぉぉ!」と会計の際にようやく気付くことが多々あるのですが、私だけでしょうか…。今は増税したことばかりで特に意識しているので、そのうち慣れるのかもしれません…。

しかし、ようやく8%やら税抜き表示やらに慣れたと思った矢先、また来年10月には消費税が10%にアップされる予定ですね。

じわじわと消費税に財布を侵食され、とほほ…な私たち国民に追い打ちをかける情報が入って来ました。現在、更なる消費税についての議論が政府内で行われているそうです。

それは死亡消費税です。

「はぁ?死亡に消費税?なんのこっちゃ?」と思っちゃいますよね?この死亡消費税は、死亡した時点での遺産に対して一定の税率をかけて徴収するというものなんです。

日本の個人の金融資産のうち60歳以上の世代が保有している金融資産は60%を超えると言われています。その1000兆近くのシニア世代のお金がもっともっと日本経済の中で動いてくれれば少しは景気回復に役立つかもしれません。

「遺産に消費税がかかるなら、生きている間にもっとお金を使ったほうがいいじゃないか!」と思う高齢者が増えて、消費促進に繋がれば素晴らしい制度だと思います。外国では保有している資産に対しても課税するという国があるくらいですから、日本の現行制度が甘過ぎるのかもしれませんね。

今後は、増税、社会保障の改悪、物価上昇、金利上昇など、私たちをとりまく環境は益々厳しくなると思われますので、そんな逆風にも負けないようなマネープランをしっかりと考えて頂きたいものです。

それでは、ここから前回の続きになります。

前回は、レズビアンのワカコさんからのご相談でした。
忘れてしまった方、お読みでない方はこちらからご覧ください。

ご相談内容は、『毎月の生活がギリギリ。貯蓄もうまく出来ないし将来が不安。』というものでした。

まずワカコさんの家計のチェックを行い、毎月1万円の銀行普通預金の貯蓄継続と、貯蓄型保険の見直しを提案しました。今回はその貯蓄型保険の代替案として提案した商品をご紹介します。ワカコさんの貯蓄の運用方法の1つとしてご提案した商品は…

個人型確定拠出年金です。

ワカコさんの雇用契約に企業年金や退職金がないというのと、貯蓄代わりに行っている保険の運用利回りが低い上に死亡保障も不要だということなので個人型確定拠出年金をご提案させていただきました。

まず確定拠出年金とはどんなものなのでしょうか。

確定拠出年金とは、原則60歳から年金か一時金で受取ることが出来る私的年金の一つで、現役時代に掛金を確定して納め(拠出という)、その資金を運用し損益が反映されたものを老後の受給額として支払われる制度です。

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企業型、個人型とあり、会社員の方でお勤め先が企業型を導入している場合は、その制度に従います。今回のワカコさんのように会社では導入しているが、契約社員として雇用契約上、企業年金が用意されていない場合は、個人型に個人で加入することができます。

また会社員で企業型確定拠出年金に加入している方でも、個人で更に拠出額を追加することが出来るマッチング拠出という制度もあります。少し複雑ですが何となくご理解いただけましたでしょうか?

ワカコさんにオススメした個人型確定拠出年金には、なんと税制上有利な仕組みでもあります。税制上のメリットは以下の3つです。

【個人型確定拠出年金のメリット】

1.積立する掛金に対して
拠出した掛金が全額所得控除の対象。所得控除が増えるということは所得税や住民税を計算する上での課税対象が少なくなるのでみなさんの所得税や住民税の軽減効果があります。

2.掛金の運用益に対して
運用により生じた収益は全て非課税。売却益、配当金、分配金など通常20%の課税がされる収益に対して課税されません。

3.年金や一時金の受取に対して
退職所得控除(一時金の場合)、公的年金等控除(年金受け取りの場合)が活用できます。特に退職所得控除は退職金の受け取りの際に活用できる大きな非課税枠を利用が可能です。

税制優遇を活用したかどうかは、資産形成に大きな差をもたらします。

例えば、毎月1万円の積立を22歳から60歳まで38年続けたと仮定して、これを年利3%で増やしていくと仮定すると、確定拠出年金を活用した場合、60歳時点で849万円の資産に育ちます。もし、所得税や住民税として20%が引かれ、運用益にも20%課税されたとすれば、60歳時点での受取額は595万円です。

同じ運用でありながら、税制の違いによる差は254万円にもなるほど、税制優遇の力が大きいというわけです。

ただ、物事には必ず2面性、メリットがあればデメリットもあります。そのため、ワカコさんがこの個人型確定拠出年金を取り入れた後のデメリットについても考えてみましょう。

【個人型確定拠出年金のデメリット】

1.転職などで資格を失う可能性
転職先に企業型確定拠出年金があれば個人型確定拠出年金の資産を引き継げますが、転職先が確定給付企業年金など他の企業年金である場合は資産を移せません。その場合には個人型確定拠出年金の加入資格を失い、追加拠出もできなくなります。

2.原則60歳まで中途解約できない
急にまとまった資金が必要になったりした場合、ある条件下をのぞき中途解約することができません。

3.口座管理手数料
途中で何らかの事情で掛金を拠出できなくなったとしても口座管理手数料は支払続けなければなりません。

個人型確定拠出年金について、また個人型確定拠出年金のメリット・デメリットについて、ご理解いただけましたでしょうか?

ちなみにご相談者のワカコさんはというと、私から個人型確定拠出年金について説明をさせて頂いた後、数秒静止し…「おっ!なんか良さそうじゃないっすか~。なんでもメリットがありゃ、デメリットもありますよね〜っ!個人型確定うんちゃらかんちゃらでしたっけ?それ、やってみますよ!」と突然言い放ったと同時にハイボールを一気に飲み干し、芋焼酎を頼むというアニキっぷりを炸裂(笑)。

結果、ワカコさんは個人型確定拠出年金を取り入れることに決められましたが、みなさんが導入を検討する際には、現在の勤務先の企業年金制度、今後の働き方やライフプラン等を踏まえた上で必要なのかどうかを判断していただきたいと思います。

今回はこのへんで。ではまたお会いしましょう。

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