第59回 私の新しい家族

ひろこ:小雪ちゃん、いよいよ新刊が発売になりましたね。

こゆき:はい! 長い道のりでした。ようやくみなさんにお届けすることができて、本当に嬉しく思っています。

ひろこ:今回の書籍のタイトルは『なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白』ということで、新しい挑戦になるね。

こゆき:そうなの。私はレズビアンというマイノリティ性を持っていて、さらに性虐待のサバイバーなのね。でもそのことをずっと言えなかったの。とっても苦しんだんだ…。

ひろこ:私と一緒に暮らし始めたときは、まだまだ具合が悪くて精神的にもだいぶ不安定だったもんね。

こゆき:ひろこさんをふりまわしてしまって、本当に申し訳なかったと思ってる。そして支えてくれてありがとうね。ひろこさんの支えなしに今の回復はあり得なかった。そしてこのテーマで本を出版することももちろんあり得なかった。

ひろこ:私は家族にとても恵まれていたから、すぐには小雪ちゃんの抱えているしんどさがわからなかった。でも、初めて「私は実のお父さんから性虐待を受けていた」と打ち明けられたとき、驚きはあったけれど、そういう過去があったとしても「小雪ちゃんはなにも変わらない」って思ったんだよ。

こゆき:結婚して生活が安定して、精神的にも大きな支えを得られたことが、それまで乖離していた性虐待の記憶を取り戻すきっかけになったんだと思うの。

ひろこ:カウンセリングを勧めたのも私だったもんね。あまりにしんどそうだったから、私ではどうしたらいいのかわからなくて…。私も途方にくれてたよね。

こゆき:そうだね。私もカウンセリングを受けて本当に良かったと思ってる。というか、カウンセリングを受けなければあのまま具合が悪いまま出口が見えなかったし、乖離した記憶も統合されず苦しいままだったと思うの。今回の新刊でも、カウンセリングのことは本当に重要で、難しくて、どんなふうに表現していくかが一番苦労したところかな。

ひろこ:と言うと?

こゆき:性虐待の記憶は、最初から時系列に思い出したわけではなかったの。ばらばらにされた恐ろしい記憶を取り戻して、言葉にして認めていく過程は、まさに心から血が流れるような大変な作業だった。カウンセリングで時間をかけて、専門の先生に伴走していただきながらでなければとてもできなかった。

ひろこ:今回の本で性虐待を受けたことを公表してるけど、それについてなにか不安はある?

こゆき:そうだね、まったくないと言えば嘘になるかな…。でもね、実父からの性虐待の被害を、実名で顔を出して公表するのは日本で初めてのことなの。私が自分の体験を語ることで、だれかの胸に届いたら、ほんの少しでも役に立てたら…今はそんな気持ちでいるよ。

そうそう、この写真、見て!

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ひろこ:週末にみんなで新島にいってきました〜!

こゆき:私はLGBTコミュニティの仲間を家族だと思っているの。血のつながった家族の中に、ときに恐ろしい暴力が起きることを、私は身をもって知っている。だからこそ、血のつながりや一緒に暮らしているかどうかとか、セクシュアリティとか関係なく、「関係性が家族」「お互いが自立して、お互いを尊重して、家族だと思っているのが家族」っていうあたらしい家族の形がとっても大切で、可能性を感じているんだよ。私はみんなに安心して助けてって言えるし、私もみんなを助けたいと思ってる。だから彼らが本当に大切なの。あ! もちろんひろちゃんも特別に大切だからね♡

ひろこ:家族って心のよりどころだなぁって最近あらためて実感しています。よりどころが少ないと関係性も煮詰まってしまいやすいからね。私たちなりの家族のあり方をこれからも模索していきたいね。

こゆき『なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白』は講談社から6月2日発売。初の書き下ろしの自伝です。お読みいただけたらとても嬉しいです。

 

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