第10回 40年前のハッテンバを旅する!『男街マップ』の元祖『GREEN LETTER』の時代

いやぁ、便利な世の中になったもんだ。なにが?って、ネットとスマホだよ(今さらだが)。というのも、先週末、「Grindr」を開いてみた。……いや、やましい目的ではなく、現地調査。リサーチ目的だからね(笑)。するとどうあろう、0km地点にホモがわんさか!! おそらく、このイベント目当てに中国全土、香港、台湾、タイ、マカオ、インドネシア……からやって来たホモどもが、このホテルに泊まっているのである。

高鳴る気持ちを抑え、化粧を済ませ、いざ会場へ! スゲェ、あまく考えてた。見くびってた。中国のホモの皆さん、ごめんなさい(笑)。なんと、会場には軽く2000人を超えるホモの群れ!! 日本じゃ、「ダンス禁止法」なる悪法で冷や水を浴びせられ、急速に勢いを失してしまったクラブシーンであるが、ここ中国ではクラブ文化がまさに花開かんとしている。ふと、芝浦・GOLDの「中国では1997年に同性愛は非犯罪化されたとはいえ、メディアの検閲などが厳しく、日本に比べまだまだ抑圧されているのが現実だ。押さえられている分、ホモ・エネルギーは会場中に充満し、ふくれ上がっているかのようだった。それは祝祭の場であった。きっと、日本もそうであったように、大勢の仲間と同じ空間で、同じ音を聴き、一緒になって楽しむという体験を通じて、ゲイである自分を許したり、認めたり、信じたりすることを経験するのだろう。そして、そのときの思いが、次のステップへと繋がっていくのだ。……え? 次のステップって? それは、今や死語となった「ハッピーゲイライフ」ってヤツなのかもしれんなぁ(笑)。そんな、上海の熱いゲイシーンの様子は、写真で。

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日本からのメンバーは、「TOY BOY」のヒロスミ、GOGO ボーイ ヨシヒロとナオキ。DQは、アタシとG-men』の海鳴館の『男街マップ』も、2012〜13年版以降は出ていないようである。インターネットに取って代わられ、この手のガイドブックは、もはや“レッドデータ絶滅危惧ホモ本”となってしまったのだ。

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写真左/『ゲイナビ ’10』(古川書房/2010年 発行/2500円)
写真右/『男街マップ 2010』(海鳴館/2010 発行/2500円)

というわけで、今週のホモ本は、そんなホモ版ガイドブックのルーツである『GREEN LETTER』を紹介する。

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『GREEN LETTER』No.15には、浅草「オスカー・ワイルドが好んで緑色のカーネーションを上着の襟に挿していたことから、現在でも同性愛のシンボルカラーである。

手元にあるのは、1975年発行のNo.14と、1976年発行のNo.15である。巻末の奥付に「発刊以来5年目を迎えました。諸兄のご後援と、ご指導を深く感謝いたします。」とあることから、1971年より年に3回発行されてきたのだろう。結構なハイペースだ。

ページをめくれば、日本全国のみならず韓国、台北、香港、ハワイのバーやハッテンバが紹介されている。ホモバー、ゲイバー(女装バー)、ウリ専はもちろん、旅館、サウナなどの営業ハッテンバに、公園や公衆便所などの野外系ハッテンバも網羅。「短髪の多い店」「中年が多い店」「外人の特に多い店」「SM関係」……と、タイプ別に掲載している。面白いのが、「談話的な店」「ホモガカッタ店(注/原文ママ)」という括りもある。なんとも奥ゆかしい(笑)。さらに、「アドン・バラ族販売店」「交際の会」もページをとって紹介している。

今のホモ雑誌では決して出来ないだろうが、「全国自衛隊ガイド」と称して各部隊の駐屯地が、「全国ボディビル・ジム一覧表」が、「全国の裸祭り」の一覧が、さらにさらに「大学寮ガイド」まで掲載されているという、至れり尽くせり。犯罪スレスレ(笑)。他のホモと出会いたい!(もちろん、一発ヤリたい!)という欲望のエネルギーが、斯様なガイドブックを生み出したのである。

1975年のNo.14は、全114ページ(表紙除く)。それが1976年のNo.15では、全144ページ(表紙除く)。おそらく8ヶ月、一年足らずの間に30ページもの増ページである。店の数や、広告の数も飛躍的に増えている。破竹の勢いだ。第1号が出たであろう1971年といえば、『善光寺の阿弥陀様もびっくりである(笑)。牛に引かれてでも行ってみたくなるではないか!

渋谷駅(地下鉄)
浅草行の終電が11時50分になくなると、発車ホームへの通路のシャッターが降りる。
「地下鉄は終わりました。上には行けません」という看板を無視して、入れる階段の暗がりが1ヶ所ある。ここが通しょう「こうもりの巣」として知られている。
上がってみると真暗で、何も見えないが、その中で動く気配がある。ホモかフーテンかは確認できなかったが、閉所恐怖症でもない限り、絶好の個室として利用できる。ここは確かに楽しむには良い。最も午前1時頃にガードマンが見張りにくるので、コトを行うには、それまでの約1時間である。

地下鉄の構内でフーテンとこうもりにまぎれてハッテンしていたホモ達も、ネットを駆使して上海くんだりまで出かけていくホモ達も、今も昔も、ホモは変わらない。一発ヤリたい!というエネルギーが、ホモを突き動かしているのだなぁ……。

この手のガイドブックは、世界中にある。最も有名なのは『アドン』の砦出版も『全国プレイゾーンマップ』を発行していたこともあり、編集後記に「地図入りで非常に詳細であって、GAY GUIDEとして世界に例がない」と褒められたと自慢げに書かれている。確かに、大判で、竹内条二氏のイラストが散りばめられた魅力的なガイドブックに仕上がっている。これが、その2号目。1978年版である。

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『全国プレイゾーンマップ 1978年版』(砦出版/1978年 発行/1000円)

話は変わって、とあるゲイ・ジャーナリストが、「クラブシーンに代表されるようなゲイライフやゲイコミュニティは、ダンスパーティがお開きになったらどうなるのか」といった危惧を、著書の中で書いていた。彼は、クラブやそこで生きている人に対してずいぶんと手厳しい。彼に限らず、ゲイリブやゲイライフなんてものを真面目に考えようとする人にありがちだが、享楽的(に見える)ゲイに対して批判的になりやすい。ついつい、「遊んでばっかいないで、もっとちゃんとしろよ!」と言いたくなるのか。でもさ、それって、「ゲイリブなんてやってるのは、モテないブスだからだよ」というたわごとと、ほとんど一緒なんだけどなぁ……(笑)。“ヤリたい!エネルギー”を中心とした享楽的なクラブシーンだけがゲイライフやゲイコミュニティのすべてだとすると、それはなんともお粗末な限りだ。しかし、人間、快楽原則でしか動かんのよ(笑)。楽しいこと、気持ちいいことが、まずはじめの一歩!の原動力になる。たしかに、日本におけるゲイシーンとクラブシーンの蜜月は終わったのかもしれない。けれど、そのエネルギーは隣国の中国の(日本より厳しい状況にある)ゲイ達を、次なるステップへと導いていくのではないだろうか。僕は、そう期待したい。

 

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デパートメントH 2099」は、毎月第1土曜日に開催。ビザールでキンキーなショウと、ドラァグクイーンのホステスがおもてなし。詳細は、お花畑カフェ」。そして、土曜日(6/7)は、老舗変態イベント「

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