第50回 「性的倒錯」と「性的指向」は何が違うの?

 

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まきむらよ。

毎週月曜、こちらの連載、世界のニュースから性を考える「まきむぅの虹色ニュースサテライト」をお送りしております。

今回のテーマは、

「性的倒錯」と「性的指向」は何が違うの?

です。

★ 現在の国際基準で「性的倒錯」と診断される条件とは
└▼病気としての「性的倒錯」だと診断される条件
★ LGBTは、なぜ「病気ではない」とされたのか?
★ 医学的基準の見直しが進む中、「性的指向」を訴える人が避けるべき態度とは

以上の流れでお届けします。

※記事の扱うテーマ上、いわゆる「性的倒錯」とされるあり方についての直接的な表現が出てきます。なので苦手な方はこの記事を読まないか、一番最後のネコの画像のとこ以下だけ読んでね!

★ 現在の国際基準で、病的な「性的倒錯」と診断される条件とは

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DSM-5」においては、以下のような条件を満たす性のあり方が「病的」な「性的倒錯」だとされています。

▼病気としての「性的倒錯」だと診断される条件
・本人の(性的)興味について、それが社会から容認されないこと以外を理由に、苦痛を感じていること。
・本人の性的な欲望や行為が、他者の精神的苦痛/けが/死亡に結びつくこと。または、本人の性的対象となることを望んでいない相手や、合法的な同意を示せない相手(※注……乳幼児とか死体とかのことですね)との性的行為を欲望していること。

逆に言えば、本人が苦痛を感じていなくて、なおかつ他者の苦痛や危険に結びつかないならば、それは「病気」の「性的倒錯」ではない、ということですね。

今回のリニューアルでは、そこをはっきり線引きするために、たとえば「性的マゾヒズム」(いわゆる“M”)が「性的マゾヒズム」(Sexual masochism disorder)とされるなど、各種の性的倒錯がきっぱり「病気です」という名前にされています。

「みんないろいろあるし、たとえばMの人だっているわけでしょ。だけどその中でも、本人や他者が困ってる人だけ『性的マゾヒズム』って名前をつけよう。それ以外の人は治療しなくてもいいんだから、単なる『性的マゾヒズム』として区別しようね」みたいな意図ですね。

1973年までは、ここに同性愛も入っていました。また、ついこないだまでは性同一性障害がはっきりと「病気」って言葉を伴って説明されていたわけです。

が、今では前回記事のとおり、性同一性障害が性的倒錯の項には含まれず「病気じゃないんだけど、便宜上診断名つけとくねー」という扱いになっています。また同性愛は、病的な性的倒錯ではなく、治療の必要も可能性もない「性的指向」だとされています。

それではなぜ現在、このような考え方がされているのでしょうか?

★ LGBTは、なぜ「病気ではない」とされたのか

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でもね、

もちろんだけど、

物事の基準って、変わるのよね。

現在「性的倒錯」とされているものが、いずれ「病気ではない」とされる可能性も大いにあります。また「性的指向」という言葉が、なにか新しい言葉に取って代わられるということもありえるでしょう。

現代日本においてまだまだ「性的指向」という言葉は浸透しきっていませんから、もっと訴えたい、という気持ちもあると思います。けれどもその場合に避けなければいけないと考えられる表現を、最後に3つ挙げますね。

★ 医学的基準の見直しが進む中、「性的指向」を訴える人が避けるべき態度とは

 

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てことで、まとめます。

・性的倒錯と性的指向は、「それで困ってる・困らされてる人がいることを理由に、病気として治療されるかどうか」が違う
・だけど、そういう基準や定義って時代によっても常に揺れ続けてきたよね
・だから「性的指向」を一段上のものみたいに思ったり、「性的倒錯」「病気」を見下したりするのはやめようぜ、あんまいいこともないし

というお話でした!

読んでくださってありがとうございました。また来週月曜日にね。まきむぅでした◎

 

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