第15回 どうなる? 集団的自衛権。はたして、ホモが徴兵されたら? 諸井紋 著『変態記録小説 男色部隊』

週末の土曜日、深夜。いつものように重たい女装道具を引きずってレギュラー出演しているイベント「肉襦袢ゲブ美、である。郷里に帰るからとデパを辞めたのが、いまから5年前。その後、次第に名前を聞かなくなり、最近ではついに女装から足を洗ったものとばかり思っていた。そのゲブ美が楽屋で化粧をしているではないか!? ひさしぶりの再会。復興支援のため北陸をまわってきた帰りだそうだ。その旅先で「2CHOPO」の記事を読んで、急に僕に会いたくなって押しかけてきたという。リップサービスとはいえ、嬉しい。……てか、アンタ、なんで女装道具を持っていってたわけ?(笑)

だが、きっと、震災の爪痕が残る北の地をめぐり、おのれの無力さ非力さを思い知らされたのだろう。彼女の傷つき崩れかけた自意識を復興するために、安心してバカに出来る相手が必要だっただけなんだよ。きっと。そりゃ、正解である。世間的にはいい歳をした分別の一つや二つ持っていてもおかしくないはずの男が、ちんこの先にカタツムリを乗せたとか、大学生の甥っ子のちんこの大きさを妄想してるとか、ろくでもないことばかり書き綴っているのである。安心してバカにするには、うってつけである。さぁ、ゲブ美、かかってこい!! ……とはいえ、クマが出て危険だからとクマ除けの鈴を首に付けられて、八甲田山の山中でハッテンしてきたゲブ美にバカにされたところで、痛くも痒くもないわ!! 同病相憐れむ。目くそ鼻くそを笑う。かくて、うるわしき友情の再会劇が繰り広げられたのであった。

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7/5「DEPARTMENT-H 2099」の様子。写真左が、肉襦袢ゲブ美。ひさしぶりだという女装は、草間彌生風。写真右・上段は、白いドレスが爽やかなインガ・ペルセフォネと、水玉のゴム製ワンピースのららみぃ。写真右・下段は、スカーレット、流騎亜、ワンちゃんたち。

ゲブ美にバカにされっぱなしというのも癪に障るので、今回は、真面目なテーマでいきたいと思う。社会派である。現在、もっとも関心の高いのは、集団的自衛権問題だろう。安倍政権が集団的自衛権の行使容認を推し進めることで、日本が守ってきた平和憲法は有名無実のものとなり、戦争への道に突き進んでいってしまうとの危険性が指摘されている。テレビ朝日の『カストリ雑誌の流れにある雑誌である。昭和28年といえば、敗戦から8年。前年にサンフランシスコ講和条約が公布。独立国家としての主権を回復した、まさに“戦後”の始まりの年である。そして、日本の“戦後”は平和憲法と共に歩んできたのである。

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この『獵奇夜話』第2集に、戦時中の同性愛者の様子を描いた興味深い読み物がある。その名も『変態記録小説 男色部隊』!!

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「おい、今晩おれの部屋に忍んでこい。可愛がつてやるぜ」
女氣のない殺伐な兵舎に男同士の夜ばいが始まる。男色關係で結ばれる上官と兵士の狂態。

舞台は昭和19年、とある部隊での出来事。酒盛りで酔った村井二等兵を介抱して、城之崎伍長は誰もいない部屋へと連れて来た。

 伍長はジーツと村井の顔を見つめていたが、いきなり感極まった表情で、彼の肩をグイツと抱えると、伍長の厚ぼったい唇が飛びつくように彼の唇をヌルツと蔽った。
豫期したことではあるし、前にもこうした經驗があるので、村井はさして驚きはしなかった。
「村井、おれの氣持ち分つてるか?」
「分つてます、分つてます」
「では、お前の肌を見せてくれ。おれはお前を初めて見たとき、これは相公(シャンコン、注/中国の女装した男娼)のような肌を持つてるな、と直感したンだ。それからずつとお前の肌にあこがれてたンだが、いつしょに入浴しなかつたし、こうした機會がなかつたンで、今までこらえていたンだ。さア、裸になつてくれ」
(略)
城之崎伍長と村井との關係は、たちまち部隊中でも評判になつてしまつた。そうなると、伍長もおおツぴらで、毎夜床に入ると村井を傍に引きつけてはなさない。そんなところを見ているので、他の者も、そうした行為に異常な好奇心を覺えたものが、隊中でも急に同性愛がはやり出し、この兵舎はさながらの男色市場の觀を呈するようになつてしまつた。

伍長が帰還し、ひとり身になった村井はやりたい放題。部下となった伊勢と國尾を相手に、Rod McKuenが好んで口にしたフレーズを紹介しておく。「MAKE LOVE! NOT WAR」有名な反戦メッセージである。でも、これ、戦争するよりちんこをしゃぶりたい!と、だいたい意味は同じだよね(笑)。

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