第58回 著名ゲイ、墓地に埋葬を拒否される…同性愛者のお墓問題

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自分が亡くなった後のことって、自分では何も言えなくなるからこそ、自分で考えておくべきことよね。

まきむらよ。

毎週月曜、こちらの連載「まきむぅの虹色ニュースサテライト」をお送りしております。

今回のテーマは、

著名ゲイ、墓地に埋葬を拒否される…同性愛者のお墓問題

です。

お墓って、LGBTsにとってはけっこう頭痛い問題になりうることよね。

今回は特に同性カップルをフィーチャーしますけども(全てをもらさずなおかつ簡潔にまとめられる力がなくてごめんよ)、たとえばトランスジェンダーなら「自認する性別の戒名をつけてもらえるかどうか」とか、ポリアモリーなら「愛し合うどうしみんなでお墓に入れるかどうか」とか、それぞれの不安があると思います。

なんせカミングアウトせずに死んだらまずシスジェンダーでヘテロセクシュアルでモノアモリーな人間だという扱いを受ける社会状況ですからね、いまの日本っていうのは。

日本だけじゃありません。ほかの国でもお墓については、いろんなニュースが報じられています。
今回は、世界のニュースから具体例を引き、

★ セネガル、アメリカ……世界各地で続く同性愛者のお墓問題
★ 日本で一緒にお墓に入りたい同性カップルはどうすればいいの?
★ 国際同性カップルはどうすればいいの?

以上の流れでお送りします!

★ セネガル、アメリカ……世界各地で続く同性愛者のお墓問題

さて、お墓問題について、同性愛者にまつわる2件のケースをご紹介しましょう。

ほんとはシスジェンダーでモノアモリーな同性愛者のことばかり書きたいわけじゃないんだけど、話が広がりすぎちゃうので、せめてシングルの場合とカップルの場合をそれぞれご紹介するにとどめさせてください。

まずはシングルの場合。
2014年8月7日、アフリカ・セネガル共和国にて、著名なオープンリーゲイ(※自身のセクシュアリティを公言しているゲイのこと)であったセリーニュ・ンバイエ氏が、自宅にて死後3日以上経った状態で発見されたとの報道がありました(出典:Dakaractu / leral.net)。

事件性があったかどうかは報じられていませんが、注目されているのは、ンバイエ氏の遺体がムスリム向けの墓地に埋葬されることを許されるかどうかということです。

現地メディアの電話インタビューによれば、反対派はンバイエ氏の埋葬を「夜も眠れないほどの問題」だと語っています。墓地近辺にはンバイエ氏が埋葬されないように見張る役がついているとのことで、そもそも火葬されたかどうかの情報すらない状態だそうです。

それから、カップルの場合。

2014年7月7日、元海軍兵士だった74歳の女性マデリン・テイラー氏が、カリフォルニア州法に基づいて結婚した妻とともに埋葬される権利を訴えて裁判を起こしました(出典:AP通信)。

テイラー氏の妻ジーン・ミクスナー氏は、2012年に死去。よってテイラー氏はアイダホ州立の墓地に、ゆくゆくは婦妻ともに埋葬されることを希望しましたが、墓地側に拒否されたとのことです。

テイラー氏は心臓疾患を患っていますが、メディアには「私に心臓発作が起こる前に勝訴するだろう」と勝ち気に語っています。

シングルでも、本人の属する宗派や現地の社会状況によっては埋葬すら拒否される。
カップルでも、法律で認められた配偶者であってすら墓地側に拒否されて裁判を起こす必要にせまられる。

そういう事例が、この1、2か月の間ですら、この地球の上で起こっているというのが現状なのです。

それでは続いて、具体的にどうすればいいのを考えていきましょうか。
あなたがまだお若いとしても、自分をLGBTs当事者だと思わないとしても、自分がこの世を去った後のことを考えるのって、大事なことよね。いつかわからないいつかに、わたしたちはみんな旅立つのだものね。

★ 日本で一緒にお墓に入りたい同性カップルはどうすればいいの?

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散骨とは、いわゆる「俺が死んだら灰は海にでもまいてくれ」ってやつです。火葬して細かく砂のように砕いた骨を、お墓に入れずに自然の中へまく、という方法ですね。

専門業者も存在しますが、自分の手で行ったとしても、散骨それ自体は違法行為にはなりません。ただし、明らかに遺骨とわかる状態のものをまいたり、私有地や観光地や漁業が行われる海などにまけばもちろん別の法律に触れるトラブルになりますから、散骨の際は専門家に相談することがより望ましいでしょう。

ということで、日本の法律内での場合を考えてきました。続いては、国際同性カップルの場合を考えてみましょう。

★ 国際同性カップルはどうすればいいの?
国際同性カップルの場合、考えなければならない点は以下のふたつになるでしょう。

1.お墓にお参りしたい人が、海を越えて遠く離れた2か所以上の場所にいるという点。
2.法律・宗教観・埋葬方法にまつわる習慣が、それぞれの出身地で大きく異なる場合があるという点。

それぞれの出身地によって大きく異なるため一概には言えませんが、基本的に当事者間と家族とで話し合っておくことが大事になります。

カミングアウトしないことを選ぶ場合はやはり、それぞれの出身国に埋葬されることになる可能性が高いでしょう。もしそうなったとしても、お墓がどこにあるかはともかく「ふたりで同じ星に還るんだ」と考えておくことが心情的にいちばんよいでしょうね。

ちなみに、妻とわたしはそれぞれフランス人と日本人ですが、結局「自分が死んだら自分の身体は自分のものじゃない(=遺族の好きなようにしてもらおう)」ということで話が落ち着きました。どちらの国に埋葬されるかで無用な言い合いがないように、それぞれの家族に話したうえで、遺言書をつくっておこうねと話し合っています。

 

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写真:PAKUTASO

性のあり方を理由にお墓にすら困る人がいるなんて、本当はあってはならないことです。だけれどもそれが起こっているというのが、この星、地球の現状なのよね。

何が正しい性のあり方なのか、何が正しい埋葬方法なのか、わたしたちはわやわやとモメながらも、同じ星に生まれて死んでいきます。

だから、遠くから見れば、「なにはともあれ同じ星に還るんだ」という気持ちが、近くから見れば、「できるだけ遺される人がモメなくて済むように話し合いと遺言書をしっかりしておく」ということが、それぞれ大事になるのではないでしょうか。

妻とわたしは、離島を旅行した時、かつての流刑人が埋葬されたお墓をたずねたことがあります。そこは流刑人のお墓だということで、隔離され、荒れ放題で、あらゆる面での差別を受けていたそうなのですが、いまは流刑人をしのんでお参りする人が絶えないということです。歴史を記した石碑が建てられ、きれいに掃除されて花が手向けられていました。

LGBTsと流刑人を簡単に同列に語るのもよくないですけれど、いま世界中で亡くなった後まで不当な扱いを受ける人々も、遠く先の時代の人々にいつかこうしてしのばれる日がくるとわたしは信じています。現代に生きるわたしもまた、自分の意思表示をしっかりしておきたいと思います。そして、今まで亡くなられた方々がせめて安らかにあることを願います。

ということで、読んでくださってありがとうございました! また来週月曜日にね。まきむぅでした◎

 

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