第69回 同性カップル間のカミングアウト温度差問題

こゆき:今回のテーマはこちら。「同性カップル間のカミングアウト温度差問題」について考えてみたいと思います。前回はレクチャーモードだったので、今回はディスカッションモードで進めてみましょう。

ひろこ:うーん、カミングアウトの温度差かぁ…。私たちはふたりとも、家族、友人、職場、全方向的にカミングアウトしているよね。

こゆき:そうなの! でもそれって、まだまだレアケースでしょう? 私が知っているカップルを数えてみても、ふたりともが全方向的にカミングアウトしているカップルはとても少なくて、Lカップルだとさらに少ないよね。

ひろこ:マイノリティがまだまだこんなに生きにくい社会だから、この状況はとてもよくわかるよね。

こゆき:私の周りにもね、カップルのうち一方は「カミングアウトしてLGBTコミュニティにも積極的に参加したい!」派で、もう一方は「カミングアウトの必要性はとくに感じていないし、積極的にはアウトしたくない」派で、そこの擦り合わせで悩みを抱えている人たちがいるよ。もちろんカミングアウトは、したい人が、したいタイミングでするものであって、強制されたり「した方が偉い」などという性質のものではありません。でもね、例えばカミングアウトしている方がメディアへの露出があったりすると、その人と一緒にいることで「バレる」可能性も出てきてしまうわけです。一足飛びにマスメディアでなくても、SNSなどに写真を投稿したり、タグ付けされることはよくあることだもんね。

ひろこ:その人と一緒にいることで「バレる」かぁ…。お互いを尊重するのが一番いいはずなのに、お互いに不都合がでてしまう場合もあるわけだよね。カミングアウトしたい人は遠慮してしまう場合もあるだろうし、カミングアウトしたくない人は自分も「バレる」可能性がでてきてしまう…。ジレンマですね。

こゆき:この問題を考えていたときに、「最終的な責任を引き受けるのは誰か考える」ということを思い出しました。これはアドラー心理学に出てくる考え方のひとつで、例えば、宿題をしない子どもがいた場合、親はなんとか宿題をさせようとするよね? でも、宿題をしないことによって引き起こされることの最終的な責任を引き受けるのはその子自身だから、まあ怒って無理矢理やらせたりはしないようにしようと、ざっくり言うとこういうことです。『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)は大ベストセラーになっているから、お読みになった方も多いと思います。私も興味深く読みました。この本にでてくる事例の多くは、セクシュアル・マイノリティにも当てはめて考えることができると思うので、ぜひお読みいただきたいです。

話がそれましたが、ひろこさん、前述の「同性カップル間のカミングアウト温度差問題」の場合、「最終的な責任を引き受けるのは誰」だと思う? そのカップルの両方じゃないかと思ってね、私は悩ましくて答えが出ないままなのですよ…。だって、アウティングにつながってしまうわけやん?

ひろこ:それでも最終的には自分だと思うけれど、相手の立場に立ってお互いよく考えて話し合った上で、その時々で最良の方法をふたりで出していくのが理想だよね。

こゆき:一方がカミングアウトしていて、もう一方がクローゼットの状態でも、長く続いているカップルはたくさんいらっしゃいます。時間が解決することもあるし、ふたりでよく話し合って、もしすぐには折り合わないところがあっても、なるべくお互いを尊重しながら関係性を築いていけるといいよね!

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