【同性婚特集⑥】西田卓矢さん&聖哉さんカップルインタビュー

 Comment  インタビュー   同性婚特集              

___まずは、お二人の出会いからお聞かせ頂けますか。
聖哉:以前、同じマンションにお互い住んでいて、エントランスでよく見かけていました。それから2年前にあったビーチパーティーで初めてちゃんと話をして、その後、SNSをきっかけに、お互い独り身になっていたのが分かったので、ご飯を食べたりしました。現在、付き合って2年弱くらいです。

___挙式することになった経緯をお聞かせ下さい。
西田 卓矢(以下、西田):仕事でブライダル関係の知人がいるのですが、東小雪さんとひろこさんの結婚式のニュースを見て「同性婚挙式を手掛けたいのですが、どなたか挙式されたいお知り合いはいませんか?」と相談されました。たまたまその打ち合わせの場にいた聖哉が「自分たちが挙式しよう!」と軽い気持ちで答えてしまったんです。付き合い始めて1年半くらい経った頃でした。

でも結婚式というものは、カップルとしていろいろとプロセスを経てから行うものだと私は考えていたので、まだ20歳で学生の聖哉が、結婚について真剣に考えた上で発言したとは思えませんでした。そこで本当に一生添い遂げる覚悟があるのか聖哉に確認をしたところ、「ストレートでも離婚率高いんだから、そこまで深く考えなくていいじゃん。」なんて軽い答えが返って来たので、そこでまず大喧嘩になりました(笑)。結婚式はお金もかかるし、神前で皆さんの前で結婚を誓うわけだから、ノリで挙式する様な事はしたくなかった。彼にもきちんと責任を持ってもらいたかったんです。

聖哉:それから何度も衝突があって、結婚するかどうかの話よりも、今後の二人の関係をどうするか?について考えることが多くなりました。一緒に住むのか、本当に一生添い遂げられるのか…。そんな話し合いを繰り返すうちに、それぞれの価値観や未来予想図が食い違っているのが分かって、別れ話をする事もありました。殴り合いの喧嘩や家出もしました。

西田:でも聖哉が家出をして一人の時間ができたおかげで、お互いが将来について冷静に考えることが出来たのは良かったですね。距離を置いてみてお互いが必要だという事が、確認できましたし。これまで付き合った人とは、ここまで二人の将来や自分の考えや価値観について話はしませんでした。でも紙の誓約がない分、お互いが持つビジョンについて話し合いをするプロセスを乗り越えないと、結婚とは言えない、結婚とはこういうことなんだと実感しました。

聖哉:現在の日本では同性婚は認められていないのに、何故それでも結婚という選択をするのか?このことを納得するのにとても時間がかかりました。卓矢さんに対する信頼や一緒にいる時の安心感は、これまで付き合った人には感じなかったもので、それを結婚という形で確かなものにしたいと自分の中で決着がついてから、卓矢さんに話をしました。二人の結婚に対する思いやビジョンがまとまったのは、挙式の3ヶ月前くらいでした。

845_3

___挙式にはご家族も出席されましたか?また挙式についてはどんな反応でしたか?
西田:家族で妹だけは私がゲイだと知っていたので、式について事前に話したところ「出席できない」と返答が来ていました。ですが式の前日に「私はお兄ちゃんが幸せなのが一番で、お兄ちゃんの笑顔がみたいから、やっぱり出席させて欲しい。」と連絡をもらい、妹と姪とその娘が来てくれました。

式の最後に妹から「お父さんもお母さんもお兄ちゃんが男性と結婚すること知ってるよ。」と告げられ、両親には自分のセクシュアリティさえ話していなかったので大変驚きました。親って何もかもお見通しなんですよね。妹からまだ両親には私から直接の報告は避けて欲しいと言われていますし、このままグレーにしておこうと思っています。そのうち両親の心の整理がついた時に、きちんと話をするかもしれません。

聖哉:僕は家族へのカミウングアウトは既に済んでいて、挙式をすることを一番最初に伝えたのは兄でした。その時の兄は驚いてはいましたが、応援すると言ってくれました。それから卓矢さんと二人で実家の福島に行く機会が出来たのですが、いきなり挙式の話をするのは驚くだろうからと、その時は両親への紹介だけで終わりました。

意を決して結婚の話を両親にした時、二人とも反対でした。それは同性同士であるからでは無く、僕がまだ学生の身分であることやメディアに出ることへの抵抗感からでした。結局その場で、充分な説明もせず、口論になって式当日を迎えることになってしまいました。

家族には、式の翌日にある自分が主催する大学のシンポジウムに来て欲しいと伝え、予め休みを取ってもらいました。挙式の日、少し早めに会場に家族全員が揃ったところで、僕と卓也さんとの結婚までの経緯や、それに対する二人の思いを説明しました。そして、家族全員納得してくれて、僕には「おめでとう。」卓矢さんには「どうぞ宜しくお願いします。」と言ってくれました。

式が終わって控え室に戻る際に、父とエレベーターで二人きりになりました。僕の父は、LGBTの知識には疎く、カミングアウトした当初は、それに対して否定的な考えでした。そんな父がエレベーターの中で、「今日は来てよかった。良い式だった。」とボソッと呟いてくれたことが嬉しかったです。

西田:挙式後、聖哉のご家族が泊まるホテルでご両親と私たちのこれからのことや、聖哉の将来について等、色々なお話をしました。私はこうして実生活の話が出来た事で、本当の家族になれた、家族の一員なんだなと実感できてなんだかとても嬉しかったですね。

845_1

___挙式して良かったな、これまでとは変わったなと思うことを教えて下さい。
聖哉:二人の関係を友達や家族に紹介して認めてもらえたことですね。話がだんだん大きくなって、ゼクシィプレミアなど媒体に取り上げてもらうことも不安になってしまって、マリッジブルーになりました。ですが挙式後にSNSで、まったく知らない方たちから御礼のメールを頂いてとても嬉しかったです。

西田:私もこれまでLGBTや同性婚については深く考えてはきませんでした。衣装デザインの仕事をやっていると、ゲイであることがプラスに働いていたのもあって、ゲイで苦労した事が無かったんです。聖哉との挙式をきっかけに、LGBT当事者として老後のことや財産や税金などを考える様になりました。同性婚、パートナーシップ制度に関する法律の必要性や、当事者が向き合っていかなければならない問題など、この挙式をきっかけに考えてもらえたこと、挙式という新しい選択肢ができた、と喜んでもらえたことですね。ストレートの出席者のみなさんが、感動して挙式の映像や写真をシェアして下さったことも嬉しかったです。

聖哉:出席者はストレートの方が多かったのもあって、ゲイカルチャーに触れて欲しいという思いから、現在活躍されているパフォーマーの皆さんをお呼びしました。

西田:初めてパフォーマンスをご覧になる方が多かったのですが、今後ウェディングやファッション業界でも、ドラァグクィーンやゴーゴーボーイのみなさんの活躍の場が広がるといいなと思ってお願いしました。ストレートの方にもPRすることで、パレードなどのLGBTイベントがもっと大きなものになればいいですよね。

___お互いのどんなところに惹かれましたか?どんなところが好きですか?
聖哉:一番尊敬しているのは、仕事に対しての責任感や追求感ですね。完璧主義者なんです。仕事に関してはまったく妥協しない。こういう大人になりたいなって憧れています。普段は穏やかで怒ったら怖いんですけど、そのギャップも好きです。あとは年の差を感じさせない、子供っぽいところですね。

西田:見た目が遊び人っぽいけど、実は真面目なところかな。就職のこと、将来のことを考えてる姿勢をみると、愛らしいく思うし手を差し伸べてあげたいなと思います。強がったりするところも可愛いですね。あとはあまり物欲がないところかな。

___お互いのイヤなところ、この機会に直して欲しいところがあれば教えて下さい。
聖哉:感情的なところですかね。僕が論理的に話すことが多いんですけど、それがまたムカつくみたいで。

西田:大学生っぽく論理的に喋るのがムカつくんです(笑)。私が我慢が出来ない性格なんですよね。黙ってられないんです。こちらから言わせてもらうと、我儘なところかな。どんな事でも彼なりの理想に合わないとすぐ怒ります。怒ると口も聞いてくれないし、すぐ家出します(笑)。

845_2

___大手メディアでもお二人の挙式が記事になりましたが、周囲からの反響はどんなものがありましたか?
西田:挙式の記事を見た友人からは、「10年付き合っている彼氏との関係をあらためて考えるいい機会になりました。」と連絡があったのは嬉しかったですね。

聖哉:当事者の方からは賛否両論ありました。これまで遊んでいたゲイの友人たちは、同性婚やLGBTの人権について深く考えていないタイプの人が多かったのですが、僕たちの挙式について話題にしてくれていました。賛否両論どちらにせよ、いちばん届けたかった人たちに届けることが出来て良かったです。

西田:挙式の記事がゼクシィプレミアに掲載されてから、既に2組のカップルが問い合わせがあったと聞きました。

聖哉:僕のSNS経由でも挙式の相談がきています。同性挙式のニーズが高まっているのを実感しています。

___お二人の関係についての法的な手続は何かされていますか?今後する予定はありますか?
聖哉:養子縁組しないの?とよく周囲には聞かれるんですが、僕たちの関係をしっかりとフォローしてくれるのは、新しい法制度でないと難しいかなと思っています。

西田:既存の制度を利用するというのは、足踏みしている感じがしますしね。

___最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
聖哉:「同性婚」と向き合うことは、将来のことや当事者である自分自身の人権などについて、自分がどういう意見をもっているのか、将来どうしたいのか、をしっかり考えるいい機会だと思います。これまでそういった真面目なことを考えることはダサい、カッコ悪いと思っていましたが、真剣に考えて良かったと思うし、何よりも挙式して将来を約束したパートナーが出来たことが幸せです。パートナーや友人、家族などそれぞれ考えていることを議論して欲しいと思います。

西田:普段は絶対に泣かない聖哉の涙を挙式で見る事が出来たのは、かけがえのない思い出になりました。同性間の婚姻関係が認められていない現状で、二人の今後の関係についてしっかり話しあって考えた結果、今までと違う関係性を築く事ができました。また私たちの場合、日本で挙式することで、日本にも同性カップルに挙式という選択肢があることを社会にアピールしたかったのもあります。ファッションやビューティー業界のストレートの方々にご協力頂いたことで、LGBTの理解者を増やす事も出来ました。みなさんに挙式を勧めるわけではありませんが、挙式するカップルが増えることで、例えば行政がパートナーシップ制度についての審議をスタートさせる等、世の中を動かす事が可能だと思います。もっとLGBTを世の中にアピールしていくことが大切なのではないかと思います。

___ありがとうございました!末永くお幸せに♡


W gay weddings
http://www.gayweddings.jp/

Photo by Packychong Song

 2014/08/27 10:00    Comment  インタビュー   同性婚特集              
Top