第0号 日本で年を重ねるセクマイに役立つ情報を 〜連載スタートにあたり〜

はじめまして!9月からの新連載「老後の新聞 〜こちら東中野さくら行政書士事務所〜」、担当の永易至文(ながやす・しぶん)です。

フリーのライター/編集者で、おもなテーマは、ズバリ「ゲイと老後」。自身の著書のほか、『AERA』など一般雑誌、そしてゲイ雑誌やHIV啓発等のゲイ向け媒体に執筆してきました。

また、昨年、行政書士という法律の国家資格を取得し、以前に取得していた2級FP(フィナンシャルプランニング)技能士とあわせて、セクマイの〈暮らし・お金・老後〉サポートに強い「病気、介護、相続……老後の来ないゲイはない」(DIAMOND on line)も、ぜひご覧ください。

2010年からは、生命保険、不動産、親の介護、自分の老後、死と相続、養子縁組などなど、ゲイの一生を考える「同性愛者のためのライフプランニング研究会(LP研)」というものを立ち上げました(その内容は、拙著『にじ色ライフプランニング入門』にまとめました)。

それに先立ちフィナンシャルプランニング技能士(FP)の勉強をし、お金や保険、不動産、社会制度に関する知識を体系的に学んでみると、私たちの暮らしや老後にとって「世の中、じつはそうなってたのか!」「これは使える!」と思える知識がいろいろありました。

同時に、「テキストは〈標準家族—会社員の夫に専業主婦の妻、子ども二人〉を例にしているが、これがシングルだったり法律に規定のない同性パートナーとの暮らしだったらどうなるの?」「ゲイに多いHIVやセクマイ全体に多いメンタル不調の人はどうすればいい?」「マイノリティに対して職場の理解がともなわず、離転職が多く、非正規や低所得の人は?」という疑問もつぎつぎ沸いてきました。

でも、きちんと法律や制度にのっとったある程度の対処法があることもわかってきました。

当初は私一人で始めたLP研でしたが、いつしか仲間が集まり、昨年春、特定非営利活動法人パープル・ハンズというNPOを設立しました。セクマイの高齢期の支え合いネットワークづくりに、じわじわと取り組んでいます。

また、おひとりさまであれ同性カップルであれ、現行の法制度を十分活用した対処法によるサポートを専門家として提供したい、と思うようになり、行政書士の資格を取得して去年、事務所を開いたことは最初に述べたとおりです。

●「老後の新聞 〜こちら東中野さくら行政書士事務所〜」毎号の内容は

さて、そんなワタシに2CHOPOさんがお声をかけてくださり、こうしてみなさんとお目にかかることになりました。

これから毎週、「老後の新聞 〜こちら東中野さくら行政書士事務所〜」と題して、みなさんに週替わりで月4回、セクマイの暮らしや老後を考えるのに役立つ(かもしれない)情報をお届けしたいと思っています。

第1週、第2週は、「『もしも』に備える〜同性カップル編」
現在の日本の法律にはまだ規定がない同性カップルのパートナーシップを守るための書面やいろいろな制度についての情報を、行政書士やFPとしての知見から、少しでもわかりやすくご紹介したいと思っています。
同性婚がない日本でも、じつはここまでできる! あとは実際やるかやらないかだけ!
同性カップル編のあとは、おひとりさま編も予定しています。

第3週は、「ボクの老後はどこにある?」
パープル・ハンズ(さっき紹介した老後を考えるNPO)の基幹イベント、ライフプランニング研究会(LP研)では、今年は社会一般の事業者(介護、社会福祉協議会、葬儀、行政……)のかたをお招きし、セクマイの老後を考えるセッションを行なっています。そんなノンケさん(だけどアライ)とのトークの模様や、私の東中野さくら行政書士事務所でのご相談者のエピソードなどなど、セクマイの老後を考えるエッセーをお届けしたいと思います。

そして第4週は、「90年代世代の同窓会」
最初に述べたように、1990年代から活発化した日本のゲイムーブメント。さまざまなメディア—-一般書籍や雑誌からコミュニティイベントのパンフレットまで—-に、多彩な人びとが顔を出して登場してきました。
もちろん、それは若き日のパワーのほとばしりだったかもしれません。でも、それを目にし、手にとった、私をはじめ多くのセクマイたちは、おなじゲイの姿にエンパワーされ、自分を肯定していったことでしょう。
そんな勇気をくれた彼/彼女らは、その後どんなエイジングを重ね、いま、高年期や老後をまえになにを考えるのか。
私を励ましてくれた書籍や雑誌、はてはミニコミやパンフレットを手に、毎月ひとりずつ、「久しぶりーー、あれからどうしてた?」と言いながら、訪ねてみたいと思います。

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表紙や本文をいろどった人びとは、いま、どこで何を思うのか……。

ということで、ビッチでパンチの効いた2CHOPO連載陣のなかで、地味〜な連載をお届けすることになりそうですが、私と同世代のみなさまには老後準備のなにかのご参考になることを、そして下の世代のみなさまには、いい年をしたニイさんネエさんたちがいかにじたばたして日々を送っているか、でも、そこに上の世代とあなたとがじつは「地続き」だということを感じ取っていただければ、と願っています。

では、これから毎週火曜日に、お目にかかりましょう!

※本文中に言う「ゲイ」は男性同性愛者に限定せず、性的マイノリティ全体を意図して用いています。マイノリティ内部の差異を無化する点でご批判はあえて甘受しますが、あらかじめ読者のご寛恕をお願い申し上げます。

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