第23回 お茶を飲みながら、凛々しいオネエ=“りりオネ”の生き様を考える。ロバート・アンダースン『お茶と同情』

昔。On Sundays」が、ラプサン・スーチョン。気分を変えてすっきりしたいときは、キャバレー』に出てくるサリー・ボウルズを思い起こさせるキャラクターだ。彼女が与えようとしたお茶と同情以上のものとは、はたして、トムの身の潔白を証明するためだけだったのか。いや、彼女はむしろ、寄宿舎というヴィンセント・ミネリ。『キャバレー』のサリーが当たり役となったジュディ・ガーランド! 血統証付きのホモに好かれる女である(笑)。ヴィンセント・ミネリが映画化を希望したのも、うなずけるではないか。

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口絵より、1953年、エセル・バリモア劇場での初演の様子。ローラ役は、ジョーン・フォンテーン

劇中でトムは「シスターボーイ」と和製英語に変換され、キャッチフレーズとして使われた。「シスターボーイ」は流行語となった。いまでいう「オネエ系」みたいなものだ。当時のシスターボーイの代表といえば、丸山明宏(現 TSUTAYA」がオンデマンド形式でDVDを発売してくれたのだ!

ハリウッドでは、ホモセクシャルをテーマにすることはタブーであった1956年当時、映画化のため(ヴィンセント・ミネリ)自ら脚色に挑んだ。率直さは押さえられたが、力強さは健在の見事なできばえである。
(DVD『お茶と同情』のカバーより)

ハリウッド流に翻訳されてしまってはいるが、ゲイであるわれわれなら、元の戯曲の持つ意味と込められたメッセージを汲み取ることができるはずである。この機会にぜひ、この観てみて欲しい。

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ロバート・アンダースン 著、杉山誠・江本澄子 共訳『お茶と同情』(白水社/1956年 発行)

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ヴィンセント・ミネリ監督『お茶と同情』(ワーナー・ホーム・ビデオより、TSUTAYAオンデマンドDVDとして発売)

さて、僕の青春期は、自分の中にあるsissyな部分をどうすればいいのかを悩みに悩んでいた時期だった。ウジウジ、ウジャウジャ、考えてばかりであった。男のくせに“女みたい”に男が好きになること、つまり、自分が同性愛者であることをどう受け止めればいいのか、その問題ばかりにかかずらわってきたのである。ようやくそれが“持ち合わせた資質”でしかないことに気づき、自分のオネエな部分を生かしていく生き方に切り替えられるようになったのは、二十代も終わりにさしかかる頃だった。ようやく“ウジャ子”から凛々しいオネエ、“りりオネ”になりつつあったのだ。ドラァグクイーン活動を始め、『バディ』で仕事をし始めた。遅れてやって来た“ゲイライフ”を堪能していた僕に、ある日、知らせが届いた。ヨーロッパで友人がエイズで亡くなったという。なんたることだ!“りりオネ”の先輩であり、長きにわたる友。ずっとずっと眩しい存在であった、君。悲しかったけれど、同情なんてしなかった。君は、いつまでも凛々しいオネエとして、僕の中に輝いているのだから。ひさしぶりに吉祥寺の街を訪れて、君のことを思い出したよ。

剛くんへ。君とまたお茶でも飲みながらおしゃべりしたいと思っているけど、まだもう少し先のことになりそうだ。それまでは“りりオネ”として、頑張って生きていくことにするよ。見守っていて欲しい。

 

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「VOGUE Fashion’s Night Out」 9月6日(土)、東急プラザ表参道にて。詳細は、http://omohara.tokyu-plaza.com/newsevent/31040/

てなわけで、老いさらばえた女装姿で“りりオネ”としての生き様を晒しているわけだが、9月6日(土)、「VOGUE Fashion’s Night Out」というイベントに出演する。表参道の東急プラザをドラァグクイーンが占拠!するというもの。ホッシーにバビエ、名だたる“りりオネ”達が集結。参加は無料。ふらりとショッピングついでに立ち寄って、やさしく見守っていただきたい(笑)。

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