第63回 「レズビアン いじめ」10ヶ国語の検索結果が日本だけ浮いてる

注意※本記事は一部、アダルトビデオのパッケージ写真(モザイク加工済)、アダルトビデオのタイトル(一部伏字)などといった性的表現を含みます。直接的な表現のないように配慮してはありますが、性表現が非常に苦手な方、および職場のパソコンで背後を気にしながら読んでいらっしゃる方はどうぞご注意ください。

まきむらよ。

毎週月曜、こちらの連載「まきむぅの虹色ニュースサテライト」をお送りしております。

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突然ですが、想像してみてください。

A子さんは中学生。レズビアンであることを親に言えずにいます。ある日ふとしたきっかけで、レズビアンであることを理由にいじめを受けるようになりました。

身の回りの人には相談しにくい。いじめのことだけでも話しにくいのに、まして自分がレズビアンだということがこれ以上広まってしまったらどうしよう。だから親にも、担任にも、保健の先生にも言えない。

顔を知られずに匿名で相談できる場はないかと、ひとり隠れてすがるような思いでインターネットを検索します。

「レズビアン いじめ」

そして出てきた検索結果が……

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レズビアンいじめ――アダルト動画ナビ
いじめられっ子の身代わりになり屈辱のレズいじめを受ける女子
【XVIDEOS】奴隷少女が同級生や教師にレズいじめを受ける

こんな状態だった、としたら。

実は上の画面、どうしようもないことに、現代日本での実際の検索結果なんです。

他の国々の言語ではいじめ相談窓口などの適切な情報が出てくるにも関わらず、日本語だけはエロまみれ、しかも「レズビアン」というキーワードがわいせつな単語としてセーフサーチにひっかかってしまう始末。

今週の虹色ニュースサテライト、テーマは「レズビアン いじめ」10ヶ国語の検索結果が日本だけ浮いてる件です。

★ 「レズビアン いじめ」日本語とあの国の検索結果だけが悲惨なことに
★ LGBTのうちレズビアンだけが突出して性的な検索結果
★悩む人を孤立させないため、ネット上でできること2つ

以上の流れでお送りします。

★ 「レズビアン いじめ」日本語とあの国の検索結果だけが悲惨なことに
日本語での検索結果が性的なものだらけになってしまうことは以上お伝えした通りですが、それが国際的にどれだけ浮いていることなのか、日本語含め10ヶ国語分の検索結果を順にご紹介してまいりましょう。

※検索は2014年9月12日、筆者の現在地と検索履歴が影響しないように設定した状況下で、各国版のGoogleから行ったものです。読者の方が再現された場合、情報更新などの理由により、若干異なる検索結果が表示される場合もあります。

※検索キーワードは10ヶ国語分の「レズビアン いじめ」という単語を調べて設定しています。間違いがあった場合はご指摘いただけると助かります。

▼英語……約 14,100,000 件

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トップの検索結果は、連邦機関CDCによるLGBTへの暴力対策提言。検索結果上位10件中、アダルト動画につながる情報は0件。

▼フランス語……約 112,000 件

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トップの検索結果は、フランス語/英語の二か国語で提供される24時間相談窓口「Jeunesse J’écoute」。検索結果上位10件中、アダルト動画につながる情報は0件。

▼韓国語……約 141,000 件

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トップの検索結果は、LGBTであることを理由に行われたいじめの裁判を伝えるニュース。トップ10件中、アダルト動画につながる情報は0件。

▼中国語……約 195,000 件

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トップの検索結果は、同性愛を理由にいじめられた高校生の経験談を伝えるニュース。トップ10件中、アダルト動画につながる情報は0件。

……以下は詳細を省略しますが、性的なものの含まれない検索結果が続きます。

▼イタリア語……約 89,500 件
▼ベトナム語……約 360,000 件
▼ギリシャ語……約 518 件
▼アラビア語……約 203 件

必ずしも日本だけが問題だというわけではありませんが、「レズビアン いじめ」の検索結果が性的なもので埋め尽くされているのは日本語くらいのものです。

……あ、あとね、もう一か国見つかったのよ。

それは

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ロシア!

G8で言えばロシアと日本だけが、「レズビアン いじめ」の検索結果をエロコンテンツまみれにしている国なんです。

そんな日本、続いて「レズビアン」以外での検索結果はどうなのか見てみましょうか。

★ LGBTのうちレズビアンだけが突出して性的な検索結果

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2014年9月12日現在、Google日本でLGBTそれぞれへのいじめについて検索すると、上の画像のようにレズビアンだけが突出して性的な結果になります。それぞれの大まかな検索結果は下記の通りです。

「ゲイ いじめ」……約 825,000 件
・いじめを苦に自殺したゲイの少年の顔写真
・元いじめられっ子の有名人まとめ
・ストップいじめ!ナビによる性的マイノリティといじめの情報 ほか
(検索結果トップ10件中、アダルト動画に繋がるものは0件

「バイセクシュアル いじめ」……約 398,000 件
・いじめられた過去を語るレディ・ガガの写真
・NHKオンライン、ハートネットTVのセクシュアルマイノリティ特集
・Yahoo!知恵袋などでのバイセクシュアルに関わる相談 ほか
(検索結果トップ10件中、アダルト動画に繋がるものは0件

「トランスジェンダー いじめ」……約 43,000 件
・ガールスカウト参加許可を得たトランスジェンダーの女の子の写真
・東京都人権啓発センターによる性的少数者の自殺リスク特集
・シノドス、OKWave、週刊金曜日などのトランスジェンダーにまつわる記事 ほか
(検索結果トップ10件中、アダルト動画に繋がるものは0件

「レズビアン いじめ」……約 1,720,000 件
・レズビアンものAVのパッケージやサムネイル
・レズビアンマザーに育てられた女の子についてのブログ記事
・「レズビアン いじめ」をタイトルに含むアダルト動画の紹介
(検索結果トップ10件中、アダルト動画に繋がるものは9件

ここまで紹介したところで、パソコンにお詳しい方はこうお思いかもしれませんね。

「エッチなのがダメならセーフサーチをオンにすればいいじゃない」

ところが、ところが。

なんと、「レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー」のうち、

レズビアンだけが不適切なキーワードとして除外されてしまうんです。

これは、やはりロシアと日本でだけ起こっていること。他の言語の検索では不適切キーワード扱いされないことを合わせて考えれば、恐らくGoogleが「レズビアン」をわいせつ扱いしているわけでも、ロシアや日本が国家レベルで情報統制をしているわけでもなく、ロシアと日本でレズビアンものエロコンテンツがあふれかえっているからこそ結果として起こっている現象だと受け取れます。

大人たちがエロコンテンツをあふれさせた結果、子どもたちが適切な情報にアクセスできなくなっている。冒頭のA子さんのようなことが今、この日本で起こっているのです。

もちろん、レズビアンものAVを観たいと思う事自体は悪い事ではありません。「レズビアンものAVをネットで検索するのをやめろ! レズいじめとかいうタイトルのAVで興奮する変態は逮捕されろ!」とか声高に叫ぶ気は、わたしにはぜんぜんまったく一切毛頭ありません。それは個人の自由として、他者の自由を侵害しない範囲で楽しめばよいことでしょうし、ぶっちゃけわたしもAVはどっちかというと好きです。

だけれども、だからこそ。悩みに悩んでひとりネットを検索した子が、AVまみれの検索結果にショックを受けないためにも、大人としてやるべきことがあるのではないでしょうか。あなたが大人でないとしても、できることがあるのではないでしょうか。

★ 悩む人を孤立させないため、ネット上でできること2つ

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1.お使いのSNSで、良質な情報を拡散する。
いじめに悩む人が必要とする情報にすこしでもアクセスしやすくなるよう、良質な情報を積極的に紹介していきましょう。何が「良質」かは悩ましいところですが、わたし個人が選ぶ、レズビアンを理由にしたいじめに悩む人たちに見て欲しいページはたとえばこちらです。

子どもと親と教員のためのLGBT入門ガイド

WEBページに限らずとも、書籍や映画などでもいいでしょう。あなたのつぶやきやfacebookポストをきっかけに、誰かが心の支えになる言葉をみつけるかもしれません。

2.タイトルに「レズビアン いじめ」のキーワードを入れてブログを書く。
例えば「レズビアンを理由としたいじめに悩んでいる方へ」「レズビアンだと言ってもまわりにばらされず安心して相談できるいじめ窓口まとめ」みたいな、「レズビアン いじめ」をタイトルに含むブログ記事を書いてみましょう。

2012年にはAVばかりだった「レズビアン いじめ」の検索結果ですが、2013年にブログ「みやきち日記」で「ママがふたりいて、いじめられたことはあるかって? レズビアン・ママを持つエマさん語る」という記事が公開されてヒットしたおかげで、トップ検索結果にこの記事が食い込むようになっています。このようなことが繰り返されれば、日本での検索結果もすこしずつ変わってゆくでしょう。

……ということで、「レズビアン いじめ」の検索結果が日本とロシアでだけだいぶえげつないこと、そしてそれはすこしずつでも変えてゆけることであるということをお話してまいりました。

この記事も、検索結果に入るといいんだけれど。私が人生初めて「レズビアン」って検索した時は、東小雪さん&ひろこさんの結婚式レポートとかが出てくる今と違って本当にエロコンテンツと芸能スキャンダルまみれで、「レズビアンってエロ産業に従事して生きるしかない存在なんだ、私レズビアンなんかじゃない!」みたいな気持ちになっちゃったことを覚えています。まぁその後で「GL」とか「百合」っていう便利な検索ワードを覚えるんですけど。

今、「レズビアン」での検索結果はだいぶマシになりました。でも「レズビアン いじめ」の検索結果は到底いじめに悩む当事者向けではないですし、それはロシアと日本くらいでのことです。

いつか「レズビアン いじめ」なんて検索する必要に迫られる子がいなくなって、そんなキーワードを検索するのはそういうAVが好きな人くらいっていう状況になるまで、

いつか学校で「私は女だけど、女の子が好きよ」と言った生徒が、わざわざ「レズビアンだ!」と指差されることも「レズビアンなんだ」という自己受容を強いられることもなくなる日まで、

日本が国際的に浮いてるこの状況が、ゆっくりでも改善されていくことを望みます。
読んでくださってありがとうございました!

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