#2 親になるワークショップ(Part 1)

こんにちは、みっつんです。ロンドンは天気が悪い悪いなんて言われますが、今年の夏は天気がいい日が多く、日が短くなるのを感じる今に至るまで、気持ちよく毎日過ごしています。前回の最後に、『次回は結婚したときの話を、、、』と締めくくったのですが、今週参加した『LGBT+のための親になるワークショップ』、新鮮な気持ちのうちに書き留めたいなと思い、急遽予定を変更してワークショップの様子をお届けしたいと思います。

先週、少しだけ書きましたが、夫のリカと僕は以前から子どもを持とうというプランがあり、実際にそのプロセスは進んでいます。もちろん親になるというのは初めての体験、不安があったり未知の世界と感じているし、そう思うのはLGBT+じゃなくても経験することだと思います。そんな中、少しずつ周りの友達にも「子ども、考えてるんだよねー」とかって言い始めてたら、友達の一人がこのワークショップ、『Baby Steps Workshop for LGBT+』のことを教えてくれました。『PACE』(ペイス)と呼ばれる、非営利でLGBT+の人のメンタルヘルスをサポートする団体が開いたこのワークショップ、親になりたいと思っているLGBT+の人のためで、3時間のセッションが2回行われます。まずは1回目のセッションを2週に渡りお届けします。でてくる人物は、僕とリカ以外は仮名です。

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カレドニアン・ロードという駅の近く、閑静な住宅街のなかにあるPACEの事務所はまるでそこだけ深い森に囲まれたお屋敷のよう。ちょうど入り口に着くと同じタイミングで参加者の女性がいます、名前はリンジー。「ワークショップにきたの?」なんて聞かれ、「そうそう、うちの彼は仕事で遅れてるんだけどね、あなたのパートナーは?」って聞いたら彼女、パートナーは現在いないのだそう。失礼なこと聞いちゃった、って感じたのと同時に、自分はここに来るのはみんなパートナーがいる人だけが来るもんだと勝手に考えてたことに気づかされます。今日の参加者は全部で4人、僕ら以外のふたりは、今現在シングルで、シングルのまま子どもをもつことも考えているようです。

さて、緑に囲まれた、気持ちのいい部屋に通され、カウンセラーのリンダを含め5つのいすを円にして、ワークショップは自己紹介から始まります。今日のテーマをざっくり言うとこんな感じです。

・あなたにとって家族の意味とは?
・親になるためにどんなオプションがあるか?
・LGBT+が親になるために何をどう克服するのか?
・あなたにとって親になる為に必要不可欠な要素とは?
・Q&A

と、こんなところでしょうか。ワークショップのほとんどは、参加者がそれぞれ自分の意見を発して、それら違う意見を交換していく作業でした。カウンセラーが話をして参加者は聞いているだけとかではなく、自分の意見を伝えることで、また人の話を聞く事で、自分の希望や悩み、不安な部分だったり、いろんな思いに気づくところから始めよう、といった感じです。

○家族とは。
一番始めの『家族の意味』について話したときには、まず一人ずつ紙に自分の考える家族の絵をかいて、それを見せ合い、伝えていきます。リンジーが書いたのは、とても一般的な家族の姿、ソファーに座っていたり、台所で料理をしたり、家族写真の一枚だったり。その中のみんなが、手をつないでいたり寄り添っている姿で描かれているのが印象的です。 またその横には簡単なヨーロッパの地図が描かれていて、いろんな都市が線で結ばれています。それは自分の元の家族は一つの場所にいるのではなく違う場所にいて、離れていてもつながりがあるというのが彼女の家族のイメージのひとつだということです。またそれはきっと未来の自分の家族にもあてはまると考えているようです。それを聞いたリンダは、家族というものを考えるとき、親と子だけではなく、延びていく家族・親戚を含めてとらえるのは、実は結構大切だってコメントを言います。

またもう一人の参加者・マリオは、自分の生まれ育った家庭を描いていました。自然の中の小さな教会がある小さな村のまんなかにいる彼は非常に小さく描かれていて、青く大きく描かれた父親と、赤く小さく描かれた母親は、少し距離があるようです。その絵について語るマリオは時折何かを思い返すように、間をとりながら、天を仰ぎながら、自分の思いを交えて、僕らに自分の育った環境をシェアしてくれました。

うちのリカは北スウェーデンの大自然の中、祖父母や親戚ととても交流が多い家族の中で育ったので、こんな絵になったそうです。

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「ちょっと刑務所の塀みたいになっちゃったけど、、、」と照れながら説明した庭の柵には開け放しの扉が描かれており、いつでもだれでも遊びに来てほしいという思いが込められているそうです。ここでもまたリンダは家族はそれが単体ではなく、周りのコミュニティとの関係によってもまた築かれていることがこの絵から見えると言います。

そしてこれが僕の絵、実はこの絵は2年前に参加した家族をテーマにした演劇ワークショップから、触発されてでてきた絵です。

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自分の絵を説明するのは恥ずかしいので、皆さんの見方にお任せしますが、ひとつだけ言うなれば、僕にとって食事をするテーブルというのが、家族団欒の象徴であり、僕にとっての家族・家庭なんだと思います。また、それはもし子どもがいなかったとしても、パートナーとふたりだけの家族であっても変わらない、と思っています。

リンダが僕ら二人の絵をみて「興味深いのは、二人ともに共通しているのが、家族というのは、守られていて安全な場所としてみていることだよね、リカは柵で、みっつんのは大きなテーブルの天板で守られているところ。」と、自分たちでも気づかなかった共通点を気づかせてくれたのは嬉しいことでした。

○親になるための方法と、その選択肢。
さて、ワークショップも中盤にさしかかり、どんな方法で子どもを授かるかという話題にうつっていきます。参加者それぞれが、今自分が考えている方法と、実際そのプロセスがどこまで進んでいるかを、語り共有していきます。

マリオは子どもを持ちたいとは考えているけど、まだ具体的な方法まではわからない事が多く、1)サロガシー(代理懐胎)か、2)養子をとること、を考えていて、どちらにしてもLGBTの親としては、出身のイタリアよりも、イギリスのほうが理解とサポートがあり、可能性・オプションが多いと話します。リンジーは、1)養子をとる、2)精子バンクからの精子提供を受け自ら妊娠する、3)コー・ペアレンツ(共同養育)を知り合いのゲイカップルと行う、ということを考えているようです。ふたりとも、まだ具体的なプロセスには入ってはいないし、法的な手続きなどまだわからないけれど、ネットで調べたり、友達と話す事、そしてこのワークショップに来たのが、その第一歩だったようです。

僕らはサロガシーをアメリカで行うことを選び、仲介してくれるエージェンシーとの契約も既に済ませていることや、全てスムースに事が運んだら来年中には出産になるかもしれないことなどを話します。サロガシーをすることを決める前には他のふたりと同様に様々な他の可能性についてもふたりで話し合いました。しかし、今回このワークショップに来て改めて他の選択肢の話を聞くのはとても意義がありました。それはリンダが気づかせてくれたことでした。

「サロガシーがうまくいかなかったときのこと考えたことはある? その時のために、他の可能性を知っておくのはいいことよ。」

正直、それは考えていませんでした。あたりまえだけど、妊娠というプロセスを踏む以上、赤ちゃんがこの世に出て来てくれるまで、確実なことなんてないのは通常妊娠と同じなんだということ。もちろん全てうまくいくことを願い、努力をするし、悪い結果を考えたくはないのだけど、いろんな可能性を考え準備をすることが大切なんだと、気が引き締まる思いでした。

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さて今週ははここまで。来週はワークショップ後半の様子、前半に話したそれぞれのの選択肢をベースに、話がどんどん広がっていきます。お楽しみに。

 

ー黄赤系アプリで使える英会話ー

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Points!
*Pints は、ビールを飲むパイントグラスのこと。
*hook-ups = ひっかける、と fun = 楽しい事、はここではほぼ同義語
*lol は laugh out laud の略。 直訳だと大きな声で笑う、です。
*Old Red Lion はイギリスでありがちなパブの名前。
*around the corner はよく使うフレーズ、「そこの角をちょっと曲がったらあるぐらい近いところ」
*wha!!?? はただwhatを短くしてるだけで、若者が使います。

 

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