#3 親になるワークショップ(Part 2)

こんにちは、みっつんです。さて今週は前回に続き、親になるワークショップ『Baby Steps Workshop for LGBT+』の後半戦をご紹介したいとおもいます。前回はLGBT+の人が親になる為にはどんな方法があるかというオプションについて考えて話をしたところまででしたね。登場人物は、主催の団体『PACE』で働くカウンセラーのリンダ、参加者のリンジー、マリオ、そして夫のリカと僕の5人です。

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○LGBT+の親としての選択肢とそのプロセス。
その後もリンダは、僕らの質問に答える形で、それぞれの選択肢のその後のプロセスに関して簡単な概略を説明してくれます。

養子(アダプション)のシステムに関してはここイギリス(イングランドとウェールズ)では非常にシステムや法整備、多くの人に受容されていて、それは異性・同性カップル両方にもあてはまるそうです。そのプロセスはざっくり言うと3段階、

1)エージェンシーに登録する、
2)審査:社会福祉士による面接、家庭訪問、経済状況の確認、
3)子どもを探すマッチング、そして数日間のトレーニングの後、子どもを迎え入れる

という流れになるそう。パートナーのいない人はいる人に比べ、審査が厳しくなるということ。パートナーがいる場合でも、それが結婚しているのか、シヴィル・パートナーシップなのかによっても、審査の基準や法的な申請の仕方、法的な親権の優先順位などが細かく変わってきます。しかし逆に言うとそれだけきちんと法整備がなされているそうで、親のいない子どもを助けるという意味合いでも、ここイギリスでは非常に支持されているようです。しかしだからこそ、審査やマッチングプロセスに時間がかかるのが当たり前で、それにたいしての忍耐強さが求められるということを、リンダは強調します。

コー・ペアレンツとは、もとは“離婚後も子どもを共同で養育する親“という意味だけれど、この場ではパートナーではない2人(例:レズビアンとゲイとか、ゲイとその友達のストレートの女性など)、または3人(例:ゲイから精子提供を受けたレズビアンカップル)で、子どもを持つスタイルの事で、ある一定の定義ではあてはめにくいのですが、基本的にはリレーションシップにない人の間で行われる養育方法。リンジーが考えている方法の一つです。これは、その各ケースによって誰がメインの親になるのか、どの法律が適用されるのかが微妙に違うけれど、実際に妊娠し出産した女性がまずは確実に親権があり、その他の人間は出産前に法的な手続きをとる必要があり、親権や、親になにかあった場合の保護者が誰になるかなど、申請をしなければならないとのこと。法律的な問題も含め権利などが複雑化し、トラブルになるケースも少なくないそう。

サロガシー(代理懐胎)は、LGBT+の中でも、女性よりも、自身で妊娠ができない男性にとって可能性の高いオプションの一つではないでしょうか。これは僕らもよく調べたりしたことだったので、興味のあったマリオに僕らからも説明しました。イギリスにおけるサロガシーは法律で認められており、不妊治療のひとつとしてIVF(体外受精)とともに受ける事はできるけれど、商業的なサロガシーは認められていないことで、代理母に謝礼を払うことが認められておらず、ボランティアでやってくれる代理母を探さなければならないこと(すなわち、事実上無理に近い)。そしてサロガシーの場合でも、実際に妊娠し出産した女性が法的に実母として親権を持つ事で、出産後「やっぱりこの子は私の子!」と言われてしまったら、それは法の下で守られてしまう可能性があるということを、リンダにも補足してもらいながら話しました。僕らはアメリカのエージェンシーを選びました。サロガシーに関しての法律が整備されているのは、僕らが調べた中ではアメリカが一番だと思います。リンダは他国でサロガシーを行うメリットや注意点、そしてどの選択を選んだとしても、付いて回る経済状況など、非常に知識が豊かで、どの質問にも丁寧に、そして慎重に答えてくれます。

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○ 親子として必要な要素。
ワークショップの最中から、何度かリンダが口にした言葉があります。

「What’s important to you as a parents?」

“親としてあなたにとって重要なことはなにか”、という意味ですが、もっと言えば、“親になるために、これは譲れるけど、これだけは譲れないということがあるか”、という質問にもできるとリンダは言います。かなり質問の仕方が抽象的だなって感じたのですが、話が進むにつれ、ようやく核心がみえてきました。

『親子であるために、“血のつながり・遺伝的な要素”が、必要かそうでないか。』

という話になってきました。どうやらリンダは誘導尋問にならないように、あえてオープンクエスチョンにしたようです。またその答えがどうであれ、正解も間違いもないといいます。僕らはサロガシーを選び、血のつながりのある親子になる方向です。しかし、リカと僕はふたりとも[親子のつながり=血のつながり]という考え方が必要不可欠とも思っていない、と答えました。これって矛盾しているように聞こえますか?

この文章だけを読んだら、矛盾に聞こえるかもしれませんが、僕らが今に至った経緯は、少しずつ、いろんなことを考えて選んで来た道です。一朝一夕に決めた事ではありません。それについてはまた機会があれば少しずつお話できればと思いますが、今言えるのは、今僕らが選んだ選択に対して、矛盾や迷いはないということです。

○ 声に出すということ
ワークショップも終わりの時間が近づき、何か質問があればということで、わりと無意識のうちにこの質問をしていました。

「LGBT+の人が子どもを持ちたいというのは、とても“自然”だと個人的には思っていて、(もちろん持つべきだ、ということではないけれど)それと同時に、“自然”を謳うのであれば、同性間で子どもができないのも“自然”なんじゃないか、という意見もあるし、自分もそう思っていた。そのふたつのジレンマについてどう考えますか? もしくはそのジレンマはないですか?」

この質問を声に出しながら、これは質問というより、僕の中ではもう答えが出ていることなのにという気持ちも正直ありました。どこか不安だったりうまくまとめられない気持ちがあったのかもしれません。だからこそ、他の人の考えや答えを聞きたかったのかもしれません。それは、何か確実な答えが欲しかったとか、自分と同じ考えを持っている人を探したかったとかではなく、もしこれから先、こどもを育てるにあたって、どんな人が現れても、その人に対して自分の意見や決断を言える練習の場になるかもと、無意識のうちに考えていたような気がします。そしてきっとそれは、将来子どもができ、彼らが大きくなった時に、しっかりと自分の口で彼らが産まれて来た理由を伝える時のために役立つんじゃないか、と。そんなことを思いながら、1回目のワークショップはお開きとなりました。

ロンドンでは、LGBT+に関してのみならず、何かと多様性を重視します。LGBT+はよくその多様性の代表の様に言われますが、もっと言うと、LGBT+の中にもまた多様性があり、4つや5つの性だけではないし、子どもを持つ・持たないとか、パートナーを持つ・持たない、結婚する・しない、またオープンリレーションシップを選ぶ人もいるし、もちろん、人生の各ステージによって一人の人生の中で変化もします。それら全て正解も間違いもなく、それぞれが彼らの自然なカタチで生きていけるといいなぁと、最近は思っているし、このワークショップへ参加した事によって、さらにそれが肌感覚で感じられるようになった気がします。とは言っても、誰しもが自分の希望通りにはならないのも現実です。それでも、それが実行できるかできないかに関わらず、まずは、自分の意見を、もしかしたら未だ自分で気づいてない部分も含め、声に出していける場所があるのは、すごいいいことだなと思ったよ、なんてしゃべりながら、リカとふたり家路につくのでした。

さて、このワークショップはこの翌週に2回目が開催されるのですが、始めたばかりのこのコラム、なんだか堅苦しくなってしまいそうなので、来週は少しお休みして、ロンドンのクラブシーンについてざっくりお話ししたいと思います。ワークショップのつづきはまた再来週!

 

ー黄赤系アプリで使える英会話ー

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Points!
*look for~ = 探す、buddy=(男の)仲間、(look for a buddy, ここだと、すこーし、やらしい感じもしたりする。)
*Not really, but why not は、実は結構その気だけど、がつがつしてるとこ見せたくないなって、ときにいいかも。
*fit =適合するとか、合うという意味。でもここでは、(セクシャルに)魅力的だって割とはっきり誘ってる感じになります。(イギリス英語らしいです)
*tbh = to be honest = 正直に
*it seems like~ = ~にみたいに見える、思われる

 

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