ミス・インターナショナルクイーン日本代表、アナベル結羽さんインタビュー

 Comment  インタビュー   GID  アナベル結羽              

 

908_3

GID(性別違和、性同一性障害)である悩みを乗り越えて、MTFのミスコン、ミス・インターナショナルクイーンの日本代表として昨年から2年連続で選ばれた、アナベル結羽さん。その活躍の裏の苦悩などを含めて、お話頂きました。

__まずは、アナベルさんの生い立ちからお聞かせいただけますか。

アナベル結羽(以下、アナベル):埼玉で生まれてから中学卒業までは日本にいました。卒業と同時にイギリスの高校へ単身留学。単位を修得した後に日本で2、3年親と再び同居しました。21歳頃からタイに仕事の都合上、長期滞在する中で、昨年頃からタイのミス・インターナショナルクイーン、フィリピンのスーパーセレーナというミスクイーンを決めるTV中継もあった大会で日本代表として参加しました。普段はタイでモデル活動をしながらガモン病院のイメージガール、大学にも通学していました。

__ありがとうございます。実際、その時々における苦悩や苦労があったと思います。ご自身の性的指向や性自認について、初めて向き合ったのはいつ頃でしたか?

アナベル:イギリスに移った17歳頃、今でも忘れません。以前から男性は好きでしたが、性同一性障害であると気づいたのは、当時の恋人の男性と恋を育ませていた時の出来事でした。当時、あまり性同一障害という名前は有名ではなく、自分自身もゲイだと思ってました。男性器についても、自分のあることに嫌悪感はありましたが勃起衝動がある事でゲイなのかな?と片付けていました。今思うと型に押し込んでいたのかもしれません。

当時の彼氏と付き合っていくうちに、セックスは避けられませんでした。ある日に彼に挿入をお願いされたのですが、その時に自分の中から大きな拒絶反応があって、言い換えるなら自分の中にそのセンスがなくて…。私はその瞬間にゲイじゃないのかな?すぐにネットで調べると「GID」性同一性障害という答えにたどり着いきました。その後はすぐに両親に電話で相談したのですが、電話という事もあってあまりうまく伝えられずにその時は終わりました。イギリスではGID団体のサポートもあってうまく過ごしてましたが、両親とはその後揉めましたね。

__ご両親にも葛藤があったのでしょうね。

アナベル:おそらくそうですね。今は理解し合っていますので大丈夫です。その時いくら衝突しても、自分の心の中で確信したから、もうとにかく突き進んでいたって所もあります。GIDと分かった次の日から、女性として過ごす事となりましたね。メイク用品を彼氏と一緒に買いに行ったりして、あっという間に生活の必需品が変わった記憶があります。

日本に帰ると、すでに髪は伸ばしていたのですが、さらに女性らしい容姿に変わっていたので、さすがに両親も気づいてはいたのでしょうけど、まずは詳しく話はしませんでした。嵐の前の静けさのような微妙な距離感でした。

でもとうとう打ち明けました。性同一性障害をイギリスや、帰国後の日本でも治療している事。日本で有名な浦安市にある、GIDガイドライン「阿部メンタルクリニック」という病院で、先生から「君は女性だ」と言われた時に両親にも話そうと決心つきました。診断書も持って親に報告したのですが、親は体を変える事は許せないと言いました。

__きっと急には受け入れられなかったのでしょう。

アナベル:そうですね。自分も意地になってしまって、話もケンカ混じりと言う事もあってなかなか進みませんでしたし、両親もこの障害に対する理解や知識がなかったので、まずはみんなで病院にいって阿部先生の助けの元で話しあう事に決めました。阿部先生は両親に理解できるように、細かく性別適合手術までのプロセスを説明してくださって、私の両親もそこでようやく首を縦に振ってくれました。

908_1

__戸籍上で女性になるためには、男性器を女性器に変える必要があって、体と心が一致して初めて変更ができると聞きました。言葉では簡単ですが、それに至るまでには言葉以上に険しい道ですよね?

アナベル:はい。女性として生きるには性別適合手術が必須なのです。当時はそれが不条理な取り決めだと思っていましたが、女性になるためのためらいはなかったので、タイのガモンホスピタルで手術しました。

__手術前後には大変な心境の変化があったと思うのですが、お聞かせいただけますか。

アナベル:手術前は親からもとことんやりきりなさいと言われていて、自分もそれしかないかなって堅い気持ちがあったのですが、手術直前は「誰のために女性器を作るの?」など自問自答の連続でした…。

術後にする治療の一つですが、ダイレーションと言って膣を維持する医療行為をするのですが、ハタから見たら大人のあそび?みたいですごく恥ずかしい。それに何よりすごく痛くて、出血しながら誰のためにこんな事してるんだろう…って思ってました。

戸籍をかえるのは苦痛が多く待っていました。術後の大きな変化として、この性別適合プロセスの最終地点までたどり着けた満足感もありました。帰国後は膣の経過も良くて、ダイレーションの治療も一通り終わり、セックスできるようになるまでコツコツ積み重ねていきました。戸籍が女性になると、確かな満足感はその時に得られましたね。

__タイではたとえ性別適合手術を施しても、戸籍は変更できないですよね。それに比べれば日本は確かに険しい道でも、性別変更というゴールがある以上、恵まれているとも言えますよね。

アナベル:そうですね、タイに住んでいる中でタイのトランスジェンダーの方々とふれあう機会が多かったので、話しているうちにもう一つの答えに気づいたんです。適合手術はゴールじゃない。やらなくてもいいって選択肢もあったなって。

__戸籍変更後は、女性としての「はじまり」でもありますよね。

アナベル:それには快適さがありました。男性のままで生活している人もいます。

__周囲からの目は、どう変化しましたか?

アナベル:術後から何年か経て、メディアの仕事も増えました。でもやっぱり立ちはだかる事はニューハーフは隠せないって事です。100%女性として生きれないと言うひどい現実を面食らいましたが、それを個性と主張して自分の「仕事」にできました。気にしていたら苦しくて生きていくけなくなるんですよ。ムチを自分には打ち続けられませんから…。

今の社会は自殺が多いですし、自分に嘘をついていたらやっぱりどこかで破綻するから、私は言いたい事を言って強くなりました。手術による心境の変化が後押しして今胸を張れているのがうれしいです、間違ってなかった。

__ちなみにまわりの友達などに、自分の悩みを打ち明けて支えてくれた方はいらっしゃいますか?

アナベル:私の場合、まわりは元から気づいてたらしいです。今言われても驚かなくて抵抗はなかったとも言われます。昔から心のどこかで女性であるという確信があったのかな?ありのままでいれたのは、それこそ周りのサポートと言えますね。子供の時から性格なんかは変わってないって言われます。

__周りのサポートは重要ですが、中にはサポートを得られない人もいらっしゃると思います。

アナベル:日本にはGID団体などがあるので、一人で悩んでいる人はすぐに相談して下さい。自分の性別が分からない場合は、精神科医に相談してみたり、この病気は浸透しつつあるので、怖くはないですよ。身近に意外と性同一性障害の人はいるので、相談する環境を整えつつ、それからゆっくり自分の方針を決めていけばいいんです。

女性である確信があるなら堂々と生きる!見た目は関係なく、自分に自信をもって生きるんです!今では悩みはネットでも相談できるから活用するもの重要です、もちろん私も相談乗ります!

908_2

__アナベルさんが辛かった時、自分が欲しかった言葉を、今同じ悩みを抱えている皆さんにぜひお願いします。

アナベル:大きな選択なのでまず言いたいのですが、手術は無理にやらなくてもいいんです。私自身、気持ちや環境は手術では変わりませんでした。戸籍が変わっても戸籍には結局男性であった履歴が残りますので、そこが重要ではないんです。確かに手術で気持ちの整理がつく事は人生の安定に繋がるので、経験者としては手術も大きく私を変えてくれましたが、それによって子供ができるわけでもないんです。さっきも言ったけど100%女性にはなれません。

国にも充実した配慮整っていないのでそれに頼らず、まわりに求めるよりも自分が、男性としての過去があっても自分を貫くという確固たる決意が重要なんです。それがあれば手術の有無は関係ないのです。手術によって自分の違う世界は見える。でも欲望はつきないからどこまでも求める危険もあります。男性器を切除するとは、生殖能力を捨てると言う大きな決断です。

全てを経験したからこそ言えるのかもしれないけど、どちらの決断でもみんなは間違っていないんだよ。一人じゃなく、まわりと相談して決めましょう。

__アナベルさんも華やかな現在があるからこそ、自信に繋がったと言うのもあるでしょうね。同じ悩みを持つ方が世の中で活躍している姿を見ると、同じ境遇のみなさんが勇気を貰えると思います。それでは最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

アナベル:トランスジェンダーの方に勇気を与えるような存在でいたいと思います。去年同様に今年もまわりのサポートもあり、ミス・インターナショナルクイーンの日本代表に選ばれましたので、代表として胸を張って頑張ってきます!トランスジェンダーとして美しく居続ける努力が最近は報われつつあると確信しています。涙を乗り越えてやっと努力が身になってきたので、コンテストがどんな結果でも満足できると思います。今後も応援よろしくお願いします!

__以上、アナベル結羽さんでした。今後のご活躍に期待しましょう。

 2014/10/10 06:00    Comment  インタビュー   GID  アナベル結羽              
Top