第23回 突き抜けたら叱られると知って 振り切るほど 蒼い蒼いあのシート

先日、お花見の時期はとうに過ぎたというのに、twitterのHOTワードに「ブルーシート」が登場するという、2丁目ブルーシート騒動が起きました。

まずは今月に入って、こちら2CHOPOでも2回に渡りレポートされていたこの問題。

2丁目モラル:真夏の“バー路上”現象とゴミ問題

この状況で、もともと平日にも関わらず会場周辺に人だかりが出来る「学生LGBTのための老舗クラブパーティ」が開催された結果、
ついに路上にブルーシートを敷いて、持ち込んだお酒で酒盛りを始める若い子ちゃんたちが現れてしまったのです。

この事実が画像とともにtwitterに流れると、LGBT寄りのTLは一気にブルーシート祭りへ。
BBA勢による、若者への「ありえない」「恥を知れ」コールが続くと、
どこまでネタか分かりませんが当事者が「ブルーシートじゃなくてグリーンシートですぅ」って返したという情報がかけ巡り、さらにヒートアップ。
当事者晒しに近い情報までが流れたり、
「そんなことで怒られるなら、BBAゲイたちが公のプールや銭湯で、ハッテンやスレスレ行為をしてる件はどうなんだ」という反論が飛び出したりと、
深夜の祭りがクリヒロゲられたのでした。

実はアタシ、偶然にもこの日、男装で現場にいたのよね。
若い子ちゃんがタムロってる状況自体は、ここのところの週末と大して変わらなかったので、その奥のほうの足元にシートが登場してることに気付かなかったんですよ。
アタシ、顔がイケるかどうかしか見てないから!

逆に言えば現場での印象変化はその程度なんですが、
ブルーシートという行楽における「占有領域」を象徴するブツが登場したことで、一気にBBAハートに火がついちゃったのね。
人間って、領有権にはほんとに敏感!

そもそも、2丁目というのは、新宿遊郭からの~赤線青線地帯からの~、ゲイタウンなんですよね。
60年代頃から、空家となった元赤線の店などを利用して、当時「日陰者」だったゲイたちが、同好の人たちと密かに集まるカフェやバーをオープンしていったんです。

アタシなう40歳が遊び始めた20数年前の仲通りは、今のような舗装もされておらず、路上でたむろする人は皆無でした。
人通りはそれほどでもないが、ゲイバー店内に入るとお客さんでギュウギュウ、というのが基本だったんです。

世の中的に、バブリーナ時期‥じゃなかった、バブリーな時期でもあったので、店内では当時のBBAたちが姐御風吹かせてオネエトークを仕切り、新参者の若い子ちゃんはBBAたちにタダ酒を奢ってもらうかわりに、2丁目社会の基礎知識を叩き込まれたような時代でした。

きっと当時の若い子ちゃん(アタシアタシ!)だって、このネエさんめんどくせーわと思いながらも、お酒奢ってもらえるし、オカマ琴線に響く古いネタはいろいろ教えてもらえるしで、お互いバランスが取れていたんだと思います。

それがアータ、時代の変化とツールの発達でコミュニティは細分化。
上下の世代がつながる場はどんどんと減っていき、同世代や似たようなジャンルの子だけが集まる空間へとシフトしていったんですね。
ええ、ここにもお笑い熟女装ばかりで身を寄せ合う空間が‥(辺境すぎ)。

BBA目線でいえば、何もない荒野(というかパンパンの皆さんが稼いだ跡地)に、社会的に抹殺されかねない危険を承知で作り、拡げていった男色家たちの秘密のパラダイスだったんですよ。パラダイスを作ったのさ!(また言ってる)

そして歓楽街の血となるのは当然、酒とお金。
それが廻るから街が成立するはずなのに、最近の若いコたちは、ゲイが集まる街の店舗にはお金を落とさず、持ち込んだ安い缶酒で『バー路上』を楽しむようになってしまった。

このスタイルは、街を作ってきた側にはまず嫌われがち。なんせお客さんじゃないですから。でも作り手側の意識がある人は大多数ではないので、「カッコ悪いわねー」というイヤミを言われる程度だったと思います。

その次に、彼らはバー路上に空き缶や食べ物の袋など、ゴミを残すようになってしまった。
これで、街の担い手じゃない一般客としてのBBAたちの反感も買うようになりました。
経済的に貢献せず、通行の邪魔である上に、街を汚すんですから、キレイが大好きな美意識高めの先輩オネエ様がたからしたら、お小言の一つも言いたくなって当然です。
(ここで念押しですが、バーの料金には、酔った本人のかわりに後片付けをしてもらえることも含まれているのです。酔ったらいろんなことがキチンとできなくなるでしょ?)

そこで、2CHOPOさんをはじめとする、有志によるゴミ拾い活動が始まりました。
お若いし世知辛い時代だし、バー路上はひとまず置いとくとしても、ゴミを出されると現実的にホント汚くて困るってことと、新宿2丁目という街は「想い」がつないでいる共同空間なんだというアピール作業ですよ。

※こういうアピールをすると、すぐに「偽善的、いいカッコしたいだけ」などという批判も出ますが、社会貢献活動ってのは、やった人が最低限「あの人エラいわね」って言ってもらえるのも重要です。アンジー&ブラピだって、全くイメージアップがないなら、あんなに寄付しまくってないからね! 少々褒められたい気持ちのかわりに、実際に他人が呑み散らかした汚いゴミを拾ってまわるなら、十分すぎるくらい立派な行為だと思います。批判するくらいくやしかったら、自分もいいカッコしてみなってこと。アタシはくやしくないし面倒くさがりなので、よほどヒマな時じゃないとゴミ拾いは手伝わないと思いますが、してくださっている皆さんには感謝しています。好みのタイプに、2丁目のゴミを拾ってくれる人って入れてもいいくらいよ(違う意味にとられそう)。

つまり、ここまではBBAがイライラしながらも折れてた、と言ってもいい状態でした。
そこに来てのダメ押しが、文字通り「我が物」顔な路上占有シートだったわけです。

そら、カッとなったBBAたちの気持ちは痛いほど分かりますよ。

ただし、そうなっちゃった彼らのことも想像しないとね。

はぁ、お金もねえ、品もねえ、な状態で、それでも
オラ2丁目へ出るだーって出てきたかったわけ。

生のコミュニケーションが希薄になりがちなこのネット時代に、リアルでお仲間と集まってわいわい騒ぎたい!と思ってくれる気持ちは、まさに60年代に大先輩たちが集いたかった気持ちと同じだと思うんです。
お金のかわりにゴミを落とすようになってしまったとはいえ、2丁目という街がLGBTの若いコを家から引っ張り出す魅力がまだある証拠だもの。

今のBBA世代が、あんまり下の世代に奢ったり教育してないかわりに、そして子供が作れないかわりに、
下の世代のゲイというものを「もー仕方ない子だねぇ」という母性を多少出して包んであげてもいいのかもしれません。まあ口で言うのは簡単ですけどね。ほら! アタシのオッパイ吸ってごらん!

個人的に、「ブルーシートじゃなくてグリーンシートですぅ」って返しには、クソオカマとしてなかなかイイものを感じましたよ。

若いコちゃんにそれだけの気概があるなら、まずオカマの世代間とか関係ない基本マナーとして、ゴミだけは出さないで2丁目を楽しんでほしい。それくらいはカッコつけられないとホントにモテなくなるわよ。
そして、将来ちゃんとお金を稼げる立場になったら、街の血流を後押しできるイイ男になってほしいものです。

お金はあるけど気持ちが屈折しがちな時代を生きたBBAたちが、仲間と触れあいたくて作ってきた街だもの。
伸び伸びしてるけどお金のない若いコたちも、今その場所を利用して仲間と楽しみたいのなら、その想いには、つながりと安心を感じます。

いつかBBAたちが、そんなホームを作ってくれたって事実に、ちょっとでも感謝してくれたのなら、ステキなことよね。
いいコに育っておくれよ‥(と、オッパイを出す)。

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