第71回 「決めつけられたくない」カミングアウト物語の型にはめられないセレブたち

同性と付き合ってますって言った程度で「衝撃告白!」「感動のカミングアウト!!」とか言われる世の中、そろそろいいかげん、ちちくさいわ。

まきむらよ。

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毎週月曜、こちらの連載「まきむぅの虹色ニュースサテライト」をお送りしております。

今回のテーマは、

「決めつけられたくない」カミングアウト物語の型にはめられないセレブたち

です。

カミングアウト物語――つまり、「ずっと悩んできましたが、勇気を持って告白します。僕はゲイです。同じ悩みを持つ皆さんに少しでも希望を与えられればとカミングアウトを決意しました」みたいなやつ――の型にはめられず、さらりと「同性と付き合ってまーす☆」とだけ言うセレブが近年増加しています。

これは、今よりもっと厳しかった時代にカミングアウトしてきた多くの先人たちのおかげであるといえるでしょう。

そうよね。そもそも「勇気を持ってカミングアウトします。私は異性愛者です」は必要ないのに「勇気を持ってカミングアウトします。私は同性愛者です」ばかりが強いられる世の中が根本的にはおかしいのであって、そろそろそこに疑問を呈しはじめてもいい時代が来ているのではないかしら。

ということで、カミングアウト物語にはまらないセレブたちの言葉を、

★「レズビアンだろうがなんだろうが、なんとでも呼べばいいわ」
★「異性愛男性が異性愛男性の性的魅力をわかることの何がおかしいの?」
★「レッテルにはうんざり。私は人間を愛する人間、それだけよ」

以上の流れでお送りします!

★「レズビアンだろうがなんだろうが、なんとでも呼べばいいわ」

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「人は私をレズビアンとか、バイセクシュアルとかヘテロセクシュアルとか呼ぶけど、私は自分が誰と寝てるのかわかってる。それだけ。私は性欲モリモリだし、グレートなセックスライフを送ってるわ」

原文:PinkNews

つええ

ヴィクトリア・ベッカムを輩出したイギリスの女性ユニット、「スパイスガールズ」のメル・Bが語った言葉です。

メル・Bは2007年に男性と結婚していますが、過去にはゴシップ誌によって女性との関係が報じられたことがありました。

男性と結婚している女性が過去に女性と交際していたと聞くと、「男と偽装結婚したレズビアンだ」「いやバイセクシュアルだ」「今は結婚して子どももいるんだから結局ヘテロなんじゃないの」みたいな感じで外野がうるさくなることって、セレブじゃなくてもありがちよね。

しかしそれだけに、「何とでも呼べばいい、私は自分が誰と寝てるのかわかってるから」という態度、ほんとにまったく強いなって思います。

メル・Bは続けて、「スパイスガールズの他のメンバーに惹かれたことはあるの?」という質問にこんなふうに答えています。

「ええ、いつもよ。だって彼女たちは私の仲間だもん」

かっこええにもほどがあるじゃろ……

★「異性愛男性が異性愛男性の性的魅力をわかることの何がおかしいの?」

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「(バイセクシュアルをカミングアウトしたと報道されたけれど)そんなこと、ちっとも言ってないわ。それは人が勝手に言ってること。私はただ、他の女性の美しさを感じることができるって言っただけよ。(中略)

(自分がバイセクシュアルだと言わない理由を聞かれ)物事にレッテルを貼り、どんな人間になりたいか選ぶことを人々に強いるなんて、誰も幸せにしないでしょ」

原文:PinkNews

今年春にキャメロン・ディアスが「女性に性的魅力を感じる」と発言したところ、それだけで「バイを告白!」「41歳、まさかのバイセクシュアル化か!?」などというペラペラの記事がたくさん書かれました。

そんな状況を受けて、本人は「自分がレズビアンなのかヘテロセクシュアルなのかバイセクシュアルなのか決めなくちゃいけない、選ばなくちゃいけない、そういう風潮がそもそもおかしいでしょ」という要旨の発言をしています。

「もし人々が自分に自信を持ち、自分自身がどういう人間かわかっているならば、異性愛者男性だって他の異性愛者男性を見てこう言うことができるでしょう。『うん、彼は魅力的だね。セクシーな男性だと思うよ』」

ちょっと同性を魅力的だと言っただけで「バイなの!?」「ゲイなの!?」って騒ぐような空気は、確かに幼稚だし息苦しいわよね。

★「レッテルにはうんざり。私は人間を愛する人間、それだけよ」

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「人種でもセクシュアリティでも、レッテルにはもううんざり。私はアメリカ人よ、アフリカン・アメリカンじゃなくて、アメリカ人なの。

それから私には、とっても素敵なパートナーがいます――女性のパートナーと幸せな関係にあります。私は自分自身であることに誇りを持っています。

レズビアンというレッテルを貼られたくはないの。私はただ、人間を愛する人間だというだけ。レッテルを貼られることには、もう疲れちゃった」

原文:PinkNews

アメリカの女優レイヴン・シモーネが、テレビのトーク番組で上記のように語り、賛否両論の一大議論を巻き起こしています。

今年10月YouTubeにアップロードされた公式動画は、1か月で600万再生を突破。「レズビアンやアフリカン・アメリカンというレッテルに疲れた」という彼女の発言は、以下のように批判もされました。

「レズビアンであることを悪いことみたいに言うなんて、彼女は彼女自身の同性愛嫌悪に気付いていないんだろうか」

「難しいこと言って、もっと注目されたい、もっとインタビューされたいって思ってるだけでしょ。『私を見て、私を見て、私を見て!!』」

※YouTubeやニュースサイトへのコメントを要約

なんていうかもう、全部まとめて「アンタらがそういうこと言うからレッテルに疲れたって彼女は言ってるんじゃないの」って反論したい気分です私。人間がレズビアンであるかどうかは、アイデンティティの問題であって、本人にしか決められない。「女性と付き合っている女性なんだからレズビアンでしょ」と外野が決めつけるのは、長きにわたりLGBT権利運動が戦ってきたはずの「女性なんだから男性が好きでしょ」という決めつけにとてもよく似ていて、「もういい加減そういうのやめようよ」と言いたくなります。

私は夢見ています。幸せそうな女の子カップルが、無邪気に「レズビアンってなに?」って聞いてきてくれるような未来を。

たかが同性を愛したくらいのことで、「ありのままの自分を受け入れよう!」「親との確執、そして涙のカミングアウト……」「レズビアンであることを隠さずに生きる勇気」とか大騒ぎされなきゃいけないような現代は、そもそも同性愛者が処刑されたり心中せざるを得ない状況に追いやられたりする社会よりだいぶマシではありますが、それにしてもまだまだ幼稚です。お子ちゃまです。ちちくさいのです。

異性愛者の自分を受け入れよう、異性愛者として涙のカミングアウト、異性愛者であることを隠さずに生きる勇気、そんな使い古された物語から異性愛者は自由で居続けてきたじゃない? 異性愛者じゃない人だって、そろそろ自由になってもいいと思うのよ。なにかしらの名前を強いられずに生きられる時代が近づいていることを、「カミングアウト物語」にはめられないセレブたちの存在は、きっと知らせているのではないでしょうか。

ということで、今週も読んでくださってありがとうございました! また来週月曜日にね。まきむぅでした◎

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