第10号 もしも~私が~家を建てたな~ら~♪~「もしも」に備える 同性カップル編⑥

前号の保険につづき、今号もライフプラン上の重要課題について考えてみましょう。小坂明子も懐かしい(古っ)、「住まい」についてです。

 ●購入か賃貸かは、ライフプランに合わせて

賃貸と購入、どっちがトク? 子育てがない人の住宅を考えた場合、1~2人向き住宅なら、購入してもローンの利子や固定資産税、修繕積立てや管理費などを合わせれば、同様の物件を賃貸し続けた家賃合計と大差ないでしょう。生涯住宅費用としては、賃貸も購入も、ほぼ変わらないと言えます。
賃貸はほどほどの負担が一生(死ぬまで)消えない、購入は繰上げ返済に努めればあとがラク(ただし現役中は負担重)、どちらをとるかは「性格の相違」によるかもしれません。

購入も賃貸も金額的に差がないとすれば、どちらにもメリット・デメリットがあります。日本は戦後、「持ち家政策」しかなく、景気浮揚のために政策はつねに家を新築しそれを購入させるほうへ向いています。この流れは2020年へ向けていっそう加速しそうです(その一方、全国に820万戸も空き家があるといいますが……)。世の中の(政策や経済界の)流れは流れとして、ご自身のライフスタイル上、家はどうしたほうがいいのか、じっくり考えてみましょう。
購入優先の流れに逆らって(すいません、天の邪鬼で)、あえてその「デメリット」をあげるとすると……

引っ越せない(急に「沖縄に住みたい」とかの気持ちの変化や近隣トラブルに対応が難しい)
収入状況の変化に対応困難(失業や会社自体の倒産などのリスクに、安いところへ転居での対応が難しい)
身体状況の変化にも対応困難(高齢一人暮らしで介護必要になっても、介護ホーム等へ転居しづらい)
持つこと自体のリスク(予想される巨大地震、火山爆発・火山灰などによる損壊損傷もすべて自己責任)

もちろんその反面、ついの住処ができて気持ちが落ちついた、仕事を頑張る励みになった、すでにローンを返し終わって家賃がいらなくなった、自分好みにリノベーションしたなど、「購入」にもおなじぐらいメリットはあります。ペットも賃貸では難しい場合があるでしょうか。
現役時代は賃貸を続け、老後の生き方が見えたころ中古マンションを退職金などの即金で安く買う、親の家をもらう、空き家を仲間とシェアハウスにするなど、多彩に考えてみてはどうでしょうか? また、よく言われる高齢期の賃貸困難も、この超高齢時代、さまざまな対策がとられつつあります。

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新居が引き渡され、神官を呼んでお祓いをした午後、東日本大震災が起こり、津波が家を土台ごと押し流していった……。世の中にはこんな悲劇もあるのか、と思った記事です。(朝日新聞2011.5.18)

 ●パートナーとの同居はURがおすすめ

カップル編ですので今回の「住まい」話、パートナーとの同居について考えてみましょう。

同性2人での賃貸は、若い人のルームシェアへの理解は広がっているようですが、一般に非親族の2人名義での賃貸は困難だと言われています(中年期以後はなおさら)。そのため、一方の名義で借り、もう一方が居候することがよくあります。契約書にない住み方や住人がいることは、大家との関係でリスクがあるかも、と言われています。
しかし、日本は賃借人の保護が手厚いので、そのことがバレたとしても、通常の使用をし、家賃の滞りもないなら、即解約の事由とはならないと思われます。ただし、名義人が死亡したなどの場合は、居住の継続はむずかしいでしょう。もっとも、2人で払っていた家賃を1人で払うのは困難でしょうから、遅かれ早かれ1人で住める物件へ転居することになるでしょうが。

居候作戦ではなく、2人名義での契約(2人ともが賃借人になる)はトライする価値があると思います。最近はLGBTフレンドリーをうたう不動産屋さんもありますので、そういうところで相談・紹介してもらうのもよいでしょう。一般の不動産屋さんでも現在は借り手市場ぎみですので、ちゃんと住んでくれるなら大家に交渉してくれる店も増えているようです(最近引っ越ししたさいの私の周辺調査)。

UR(都市再生機構、旧住宅公団)は、全国の300余か所の団地に「ハウスシェア」を導入しており、非親族でもそれぞれが賃借人になって同居が可能です。部屋の数まで住めるので、3DKなら3人暮らしも可能。URは中堅所得層向け住宅で、かならずしも家賃が安いわけではありませんが、古い団地には安い家賃のものもあります(高島平など)。URは保証人や礼金不要、更新料なしなど、民間にはないメリットも。意外に知らない人が多いのですが、2004年から導入されており、当時ゲイ雑誌『ジーメン』のコラムニストをしていた私はUR本社広報に直撃取材、「同性愛のカップルのお申込みがあるだろうことは、予想しています」とのコメントをいただいたことがあります。より多くのカップルが利用し、ニーズ顕在化→適用団地の拡大、を期待したいものです。私たちの存在は、そうやってこそ可視化されます。(URのウェブや営業所などで「ハウスシェア可」の物件をお探しください。)

* 都営や区営など公営住宅の、同居親族要件をめぐる新しい動きについては、またつぎの機会に。

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URのチラシには、「シェア」と表示された団地がたくさん載っていました。隣りは当時、朝日新聞に投書した拙稿。「ほとんどの社会制度が法的結婚者や親族だけを対象とし、そこから取りこぼされる人は同性愛者を含め少なくない」「性的指向により社会生活上の不平等を受けずにすむ社会の実現を切に希望する」と。(朝日新聞2005.3.19)

 ●2人で家を買う場合は、専門家に相談して必要な対策を

さて、購入の場合、たいてい住宅ローンを組みますね。同性2人の場合、夫婦ローンのような2人で借りられるものの適用はありません。一方が購入者となり、購入者の名義でローンを組み、その不動産の登記も一方の名前でなされるのが多いでしょう。パートナーがローンを半分負担していても、あくまで家の所有権は、購入者おひとりにあることになります。
もちろん、パートナーが頭金部分をポンと負担し、それに見合った共有持分で登記することもできるかもしれませんが(それぞれが2分の1ずつの共有持分など)、法律上の配偶者ならともかく法律上関係のない人の持分がついた物件に、銀行はローンを組んではくれないでしょう。
また、ローンの半分負担分として相手に渡したお金は、税務上、どう取り扱われるのか、じつはややこしい。家の半分に住まわせてもらっている賃借料? 対価の対象としての登記がないなら、相手への贈与? 贈与なら年額110万円を超える場合、贈与税の対象となります(じつは法律婚の夫婦間でも同様)。名義のないほうがまとまった額の頭金や繰上げ返済の負担をする場合は、じつは要注意なのです。
もちろん、不動産の名義人になっている側に万一があったときは、なにもしていなければ名義人の法定相続人(親やきょうだい)に渡すことになります。いままで払っていたお金はもちろん、住む家さえ失う事態にも……。きちんと遺言などを作成しておくことが大切です。

2人がお金を出し、ローンを組んで不動産を購入する場合は、一度専門家などにご相談になり、必要な対策も考えておかれることをおすすめします(当事務所でも相談可)。ただ、これは法律婚夫婦でさえも起こる問題で、一部に夫婦ローンや親子ローンなどの融資商品もありますが、同性婚さえできればウチらも明日から万歳! とはいかない問題だということも知っておいてください。とはいえ、銀行や住宅会社も入籍しない事実婚夫婦の相談まではフォローしても、さすがに同性カップルには意識が及んでないのは事実ですが……。

さて、最後にちょっと言いにくい話ですが、途中で別れることになった場合、どちらがその家を取得するのかなども、本当は考えておいてほしいことです。購入者(所有権者)にならなかったほうは、それまで払った頭金やローンの折半分は、ちゃんと記録をとっておきます。市販の家賃通帳などを使うのが便利でしょう。もし別れて出ていく場合は、その家でルームシェアしていたとしての家賃を近隣相場などを参考にして決め、それに同居年(月)数をかけて累計家賃額を出し、これまで払った金額との差額を返金または追加払いなどして清算するとよいでしょう。

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【おまけコーナー】
今月の4回の連載に、「おまけコーナー」がつきます! おなじみキャミーちゃんのイラストで、東中野さくら行政書士事務所のご紹介4コマ漫画、第2話は「悩める40代ゲイ の巻」。実際のワタシはこんなエラそーじゃないです(笑。本当はダメダメのアラフィフゲイ)。これからご一緒にいろいろ準備していきましょ。初回のご相談は無料です。

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