#11 LGBTペアレンツのための、社内パネルディスカッション

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昨夜、突然夫から、「明日、会社でLGBTのダイバーシティ・イベントがあるけど、一緒に来る?」と誘ってもらったので、本日行ってきました。ランチタイムに1時間半ほど行われた、パネルディスカッションのテーマはこちら。

[The Modern Family: What does ‘family’ mean in 2014?]
(現代家族ー: 2014年に置ける”家族”の在り方とは?)

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配られた資料、Stonewallという英国のLGBTをサポートする組織による、小冊子)
こんにちは、みっつんです。ということで、夫のリカの会社で行われたこのイベント、LGBTが家族を作ることに関して、以下5人のそれぞれ違うパネラーの方々のお話を聞く事ができました。

・ 進行役で、会社の人事の方。
・ 不妊治療や人工授精に関しての倫理や、クリニックの検査・統制を行う政府系機関の方。
・ ロンドンにある不妊治療クリニックに勤める、不妊治療のカウンセラーの方。
・ 現在3歳になる息子さんがいる、社内のレズビアンの方。
・ ロンドンでLGBTペアレンツをサポートする組織、創立者のひとりで、自身も4歳の息子さんがいるゲイの方。(他金融系企業勤務)

このパネルディスカッション、みなさんそれぞれ違う立場、観点からの意見をうかがう事ができたのが、興味深かったです。このイベントはリカの社内のイベントで、公のイベントではないので、ことこまかにはお話しできませんが、できるだけご紹介したいと思います。

リカの会社の人事の方は、どのように会社側としてLGBTペアレンツをサポートしていくか、産休や育児休暇のことを含め、ヘテロセクシュアルの社員と同じ待遇が受けられることを話してくれました。また、会社全体では育児休暇を取得をする男女の比率が50%ずつだそうで、最低でも26週間(6ヶ月)の給料とボーナスの受給が保障されているとのこと、などを説明してくれました。

政府系機関の方は、英国での不妊治療の簡単な歴史から話し始めました。英国でIVF(体外受精)が始まったのが1978年、それ以来ずっとヘテロセクシュアルの人のみを対象としていたのが、2008年に法律が変わり、2009年よりレズビアンの人も治療を受けられるようになったと改めて説明してくださいました(ゲイカップルは2010年より)。また、ゲイカップルの養子となった子どもの幸福度が高いという、ケンブリッジ大学でのリサーチなども紹介してくれました。

不妊治療カウンセラーの方は、医学的見地からの意見を発信してくれました。英国全体において不妊治療を受ける人の割合はヘテロセクシュアルの人が93%を占めるそうですが、彼女の勤めているクリニックでは60%をLGBTの人が占めているそうです。自ら妊娠ができる女性の方がIVFを受けることが多いという事でそのほとんどがレズビアンのカップル、もしくは独身の人もいるとのこと。「妊娠というデリケートな人体のプロセスにはストレスが大敵、会社での仕事のし過ぎや、コーヒーのとり過ぎなどにも気をつけてね」と、アドバイスなどもありました。あと、「男性もおっぱい吸わせてれば、母乳(父乳?)が出てくるのよ」なんてことも言っていました。

3歳の息子さんがいるレズビアンの方は、現在リカと同じ会社で働いていますが、フレキシブル・ワーキング・ポリシーという制度を使い、正社員ながらも時間を融通しながら働き、子育てとの両立をしているところです。彼女は精子バンクを利用し自ら妊娠し、20年連れ添ったシビル・パートナーの彼女と共に息子さんを育てています。精子提供者を匿名のままにするか、明らかにするか、2人の間で意見が分かれたそうですが、結局匿名のまま提供を受け、現在の息子さんを授かったそうです。彼女の話で印象的だったのが、「今までは自分を定義する言葉は、自分のセクシュアリティだったけれど、今自分を定義するとしたら、『母親』という言葉になる」ということでした。

そして最後、LGBTペアレンツをサポートする組織を立ち上げた創立者であるゲイの方で、本職は金融系企業の部長さん。現在4歳になる息子さんを養子として迎え、9年連れ添ったご主人と育てているそうです。息子さんは、彼らふたりと肌の色が違うそうで、そのことで起きる日常をユーモアを交え紹介してくれました。彼ひとりで息子さんを連れていると「まあ、かわいい。奥さんはきっときれいなカリビアンかしら?」と聞かれ、親子3人でいると、「え? あ? えーっと、どういうご関係?」と聞かれ、説明したりするそうです。そして周囲の人の彼らへの反応はネガティブなイメージではなく、それよりも『どうやって??』ということについて興味があるんだそうです。また、子どもが学校などでいじめにあうかもしれないという心配については、「LGBTの子どもだろうがなかろうが、結局子どもはそれ以外の理由でもいじめにあう可能性がある、それをどうサポートしていくのかが親の役目」という、改めて聞けば至極もっともなことをおっしゃっていました。

さて、みなさんのお話の中で、本当に何度もでてきた言葉がいくつかあります。

「世界は動き出している」
「この10年で大きく変わった」
「モダン・ファミリーとは何か? それもどんどん変わり続けている」
「ニュー・ノーマル」

これらの言葉を直接、実際にLGBTペアレンツとして子どもを育てている方だけならず、様々な立場の人から聞くことができたのは、本当に心強かったです。そしてこうやって、子どもを授かるプロセスのひとつとして心の準備というのを、僕らも少しずつ出来てきているのかなと思ったのであります。

このようなイベントが会社の中で行われるというのはありがたいしラッキーなことだと思います。まだロンドンでも全ての企業が同じようにLGBTをサポートしている訳ではないのも事実です。リカの勤めている会社は金融系なのですが、日系も含め世界的にこの業界はどの会社もLGBTのサポートに力を入れているのを感じます。ということで、来週は「なぜ、金融系企業はLGBTにやさしいのか?」ということについてお話したいと思います。

ではまた来週、お楽しみに!

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初回から続けていた “黄赤系アプリで使える英会話” ですが、連載自体に重点を置きたいこともあり、今週からおやすみさせていただきます。たまに特集のような形でまたご紹介できたらと思っています。

 2014/11/27 06:00    Comment  連載   みっつんのLondon Days              
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