第85回 わが家のケンカ事情?!

こゆき:「ひろこさんとこゆきさんも、ケンカしますか?」これ、よく聞かれますね。

ひろこ:よく聞かれますね。

こゆき:ケンカ、しますよ〜。

ひろこ:でも、最近減ったよね?

こゆき:そうだね。ケンカしてもすぐに仲直りするよね。最近はお互いの怒りポイントのスイッチがわかってるし。こだわりどころというか…。

ひろこ:あとは、現実的な問題として、一緒に会社を経営しているから、ケンカしてしまったら仕事にならないもんね。業務に差し障るから、できるだけ早く仲直りしようという意識が働くね。最近は…茶碗を洗ってないとか、なんでそこにゴミを捨てるの、とか、ささいなことが多いね。なんで窓の鍵をパチッていうまでしめないの!?とか。我ながらくだらない(笑)。

こゆき:最近はそんなに大きなケンカはしなくなりましたが、ボーダーライン(境界性パーソナリティ障害)だった私は、見捨てられ不安から、ひろこさんを試したり振り回したりすることが多々ありました。ケンカがきっかけでキレることもしばしば。私たちのコミックエッセイ「レズビアン的結婚生活」の中に出てくるのが、その一番ひどかった頃のエピソードのひとつです。

私がこうして書いているからか、「実は彼女がボーダー気質なんです」とか、「私は被虐待児で、今一緒にいてくれる同性パートナーを振り回してしまう。大好きな人なのに、安心できなくて辛い」と話してくれる人がとても多いの。レズビアンであるないに関わらず、ボーダーラインとパートナーシップの問題ってあると思うのだけど、セクシュアル・マイノリティの場合、本人もパートナーも相談できる人がいなかったり、必要なときに支援につなかれなかったりと、そんな問題もあります。

ひろこ:最初は私もどう接していいのやら、かなり困惑しましたね。

こゆき:本当にごめんなさい。でもね、私がボーダーラインになったのは私のせいだけではないとも思うの。私が別の家庭に生まれて育てられていたら、違ったのではないかと思う部分もあります。お父さんお母さんから暴力を学んで育つのか、優しさや信頼を学んで育つのかは、大人になってもその子の持つ世界観に大きな影響があると思う。でも、私の両親もそのまた両親に育てられているわけだから、そういった連鎖の責任を誰かに求めるのは難しいんだよね…。

ひろこ:誰かのせい、というふうに原因を考えるよりも、今じゃあどうやっていい関係性を築けるのか、ということにフォーカスした方がうまくいくように思います。

こゆき:わが家は、ケンカよりも、ケンカから派生する私のボーダーライン特有の不信感、不安感の方が根が深い問題だったと思います。

ひろこ:もうこりゃかなわないわーーーーーー。っていう時も少し前には時々あったけど、その都度、私もこゆきちゃんとの接し方とか、いろいろ学んできて、今はお互いにだいぶ思いやりを持てるようになっていると思います。

こゆき:ありがとうね。
一緒に暮らしたり、仕事したりする上で、意見が合わないことがあるのは当たり前のこと。ケンカになっちゃったら、いったん離れる。そのとき、安心して離れる。そして相手に関わらない何かで気分転換してから、余裕があるときにあらためて向き合うのがよいのではないかと思います。経験上。
私は「安心して離れる」なんてとてもできなかった。でも最近はできるの。なんでかっていうと、ひろこさんを信頼しているから。それからふたりで積み重ねてきた関係も信頼しているから。「このケンカでダメになったりしない。今はふたりとも気が立っていて、思いやりを持てないだけで、数日したら治る!」と理解しているからだと思います。
でもそれは自分ひとりでそんなふうに思えるようになったわけではなくて、やはり専門のカウンセリングを受け続けたことが大きかった。必要と思われる人は、恐れずにカウンセリングに通ってほしいと思います。

ひろこ:先日、『二人で生きる技術─幸せになるためのパートナーシップ』の著者の大塚隆史さんにお会いしました。パートナーシップを考える全ての人に読んでいただきたい、素敵な一冊。ぜひ手に取ってみてください。

 

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一緒にパチリ

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ご著書に素敵なメッセージ入りのサインをいただいて、感激。

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