#12 日本の中年銀行員、LGBTを語れるのか?

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この原稿、実は二稿目です。というのも、先週予告したように、今週は「なぜ、金融系企業はLGBTにやさしいのか?」についてスタバで書いていたのですが、もうほとんどフィニッシュ!という時に、目の前に現れたジャパニーズ・サラリーマン。中年の部長クラスのおじさんとその部下、若手の二人の三人組。彼らがこの原稿を書き直させたのです。この締め切り間際に。。。

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こんにちは、みっつんです。ということで、まだスタバです。この目の前に現れたサラリーマンたち、盗み聞きするつもりはなかったのですが、やはりそこは母国語、まわりが英語だと耳が勝手にシャットダウンしてくれるのに、すんなり耳に滑り込んできます。

どうやら日本から出張で来ていた銀行マン、他の銀行とのミーティングを終えたばかりのようで、『さっきのベンジャミンは◯◯バンクのなんちゃらで〜、リチャードはナントカサックスのなになにで〜』と上司が名刺を眺めながら語り、部下はせっせとノートをとっています。そして僕はというと、彼らが視界の端に入って来てから、この原稿書き直しだなと思ったわけです。なぜかというと、もともとの原稿は先日見かけたこんなツイートを紹介するところから始めていたのです。

「お金に厳しい金融機関が、なぜこのネットワークを支援しているか?(中略) LGBTが働きやすい環境を整備すると、従業員の生産性が上がるのです!」(原文こちら)

先週ご紹介した、リカの会社(金融系)で行われたLGBT関連のダイバーシティイベント(記事はこちら)からの流れで、グローバルに展開している金融系企業はLGBTにやさしいですよー、というお話をしようとしていました。しかしこの銀行マンたち、特にこの中年上司を見ていると、このツイートとのミスマッチ感が半端ないのです。「このおじさん、LGBTって言葉も知らないだろうな。」って思った訳です。見た目で判断してごめんなさい。

確かに金融系企業はダイバーシティのサポートをしているイメージがあります。イメージだけでなくLGBTをサポートするビジネスリーダーのランキング・トップ50人(出典:outstanding)を見ても、ITや大手会計事務所と並び金融系企業の名が多く見受けられます。僕とリカの共通の友達の一人は、東京でLGBT映画祭やプライドパレードをサポートしている東京LGBTインターバンク・フォーラム(外資系証券会社など複数の東京の金融業界に勤務するLGBTの人々で創るコミュニティ団体)に参加したりもしています。

リカが金融系に勤めていることもあって同じ業界の友達も多く、彼ら自身がLGBTだったり、アライとしてサポートするというのは、ロンドンに住み始めてからものすごく実感として当たり前になっていたのですが、この目の前のジャパニーズ・サラリーマンたちが、『金融系だったとしても日系だったら、まだまだそうじゃない』ということを思い出させるのです。実際彼らが日系企業の方なのかどうか未確認ですが・・・

お、どうやら彼らが席を立ちます。彼らがまだいたら、このもともとの原稿を見せたいところです(←実際その勇気はない) 。というのも、その原稿「なぜLGBTをサポートすると生産性が上がるのか?」ということを、リカをはじめ、他にもダイバーシティを押し進めているIT系企業に勤めている友だちに聞いてまとめたところだったのです。もったいないので、その原稿は来週にまわすことにしましょう。

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上空から眺めるロンドンの金融街、キャナリー・ワォーフ
閑話休題。今ここロンドンのスタバで気づかされた事、それは今当たり前に思っている事が、当たり前じゃないんだという事。ロンドンは多文化主義を標榜したり、金融の世界的中心地という事もあり、LGBTやダイバーシティという話題が当然のようにでて来ます。ありがたいことです。

しかし前出のとおり、LGBTをサポートするビジネスリーダーのランキング・トップ50人のみならず、トップ100人(出典:outstanding)にまで広げて見ても、日本人はひとりもいないのです。これからしても、まだまだ日本の企業ではLGBTに対するサポートが少ないのは事実だと思います。

よく日本では同性婚やLGBTの権利など、まだまだ変わらないという声を聞きます。確かに僕の持論としても、日本という社会は伝統や文化を大切にすることで、新しいものへの変化が起きにくいのは事実だと思っていますが、しかしそれは皆無ではなく起きにくいだけ。変化が起きる時は、一気に180度転換してしまう可能性を秘めている社会だとも思っています。

歴史的に見て、明治維新の西洋化、第二次世界大戦後の戦後復興と高度成長など、みんなで変われば怖くないみたいな心理。それはまるで大きな水風船が満たされるまでは時間がかかるけれども、ある一点を過ぎるとそれが一気に破裂して一面溢れ出した水で満たされてしまうような感じ。

僕もここでの連載を始めるにあたって、今まで手をつけていなかったツイッターに手を出したのですが、LGBTのために活動をしている人が日本にもこんなにいるのかと目から鱗でしたし、本当に嬉しいことだと思います。社会の中に隠れているその小さな努力という名の水が満たされ、その大きな水風船が破裂してみんな一緒に濡れてしまえば、日本の中年銀行員も一緒になって、LGBTのことを語りだすのではないでしょうか。僕の個人的な意見では、わりとすぐ、5年以内にそれはくるのではと考えています。みなさんは、どう思われますか?


動画は最近お気に入りのYouTube, Slomo-Guysより
 

 2014/12/04 05:00    Comment  連載   みっつんのLondon Days              
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