#13 なぜ金融系企業はLGBTをサポートするのか?

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「外資系の金融機関を中心に、東京でLGBTの従業員ネットワークが作られています。お金に厳しい金融機関が、なぜこのネットワークを支援しているか?それはメリットがあるから、に他なりません。LGBTが働きやすい環境を整備すると、従業員の生産性が上がるのです!」(出典:Twitter)

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テムズ川の水上バスからキャナリーワォーフの夜景

こんにちは、みっつんです。先日こんなツイートを見つけました。ここには具体的なグループ名は出されていませんが、おそらく夫のリカの東京での同僚も参加しているものと思われます。リカも東京にいた際は、その同僚と一緒にに社内でのダイバーシティイベントの運営を手伝っていたあるそうです。確かに外資系の金融機関というのは、そういった活動が盛んのような気がします。

ただ、いくら従業員がそれに力を入れようとしても、会社としては業務外でコストのかかること。人事権や福利厚生が担当の人事部が、会社側の味方になり従業員と相対する構図になりかねません。会社勤めをほとんどしたことのない僕はよくわからないのですが、ドラマ【ショムニ】みたいな感じでしょうかね??

でも先日参加した、リカの会社のダイバーシティイベントでは、LGBT当事者でもない人事部の人が「私たちは応援しますよー」と諸手を広げサポートしてくれてい(るように見え)ます。さぁそこでこの疑問、なぜ外資系金融機関はLGBTにやさしいのか? また、なぜそれで従業員の生産性があがるのか? リカは人事部の人ではありませんが、現役金融系サラリーマンということで聞いてみました。どうやら、企業イメージを良くするためだけではなさそうです。リカ曰く、こんな感じじゃないかと、大きく分けて3つ理由があるそうです。

まず基本的に、金融系はグローバルに展開しているので、様々な文化・考え方をもった従業員を抱えることになり、ダイバーシティ(多様性)を認めることが必然であること例えばアメリカが本社だからといって、他の国に法人を立ち上げる際、自分の国の法律を持って行けませんよね。だから、たくさんの従業員を抱える際、最初から「みんなちがって、みんないい」と金子みすゞのような気持ちでやりましょう、っていう感じになるわけです。

そして二つ目はフェミニズムからの流れのようです。その昔、ある会社で良い成績をあげていた女性社員が、自分より明らかに成績の低い男性社員が昇進・昇給されたことを男女格差だと訴え、その改善を求め訴訟を起こし、それによって多額の賠償金を会社側がその女性社員に支払ったケースがあったそうです。それ以降、莫大な賠償額を支払い、かつ企業イメージを損なうくらいなら、男女平等、ひいてはLGBTを含めたジェンダーの平等にお金を使うほうがメリットがあると見ているようです。

三つ目は、金融系はヘッドハンティングも含め、転職の多い業界。同じ会社でいろんな部署を経験するような終身雇用制ではなく、自分の最大限の能力を発揮できる分野のエキスパートとなって、転職によって複数の会社を渡り歩くことがキャリアアップの道なんだそうです。そんな環境なので、有能な社員を引き抜かれない為、もしくは有能な社員を誘うため、福利厚生を良くする競争が他社と行われているんじゃないということ。

人事部は従業員の首を切る力もあれば、従業員の前にあるハードルを下げる力もあると、リカは言います。このように、まだまだ社会の中で生きづらいことの多いLGBTの社員を企業側がサポートしたり、障害になるうることを取り払い、社員が本来やるべき仕事に集中できる環境を整えているというのは、社員の生産性を上げるということに、確かにつながるのかもしれません。

LGBTをサポートするビジネスリーダーのランキング・トップ50人(出典:Outstanding)を見ても分かるように、LGBTをサポートしている企業は金融だけでなく、世界的に展開している企業、特にIT企業の名前もたくさん見かけます。LGBT問題に積極的に取り組む日本IBMの担当者の話、としてこんな記事をみつけました。

「カミングアウトするとすっきりして15%も生産能力があがるというデータもある。会社としてはカミングアウトのメリットをつけたい」(東洋経済オンラインより)

そのデータの出典がなかったので確かな理由については謎ですが、そういうことを日本でも、企業側が発信しているのは素晴らしい事だと思います。また日系金融機関でも、海外に拠点があるような企業だと、日本国内での意識として、ヘテロもゲイも特別扱いはしないかわりに同じ権利は可能な限り守るってスタンスに落ち着きつつあるという話も聞きました。

しかしまだまだ、日本の企業ではLGBTに対するサポートが少ないのは事実。グローバル企業と日系企業の温度差については先週の記事でもお話ししましたが、それを裏付けるような話を某IT企業勤務の友だちが教えてくれました。

「うちの会社、LGBTコミュニティに入っているのが、UK(英国)だとアライも含め250人いるんだけど、それが日本法人だと14人になる。」

僕は企業と呼ばれるところで働いた経験がほぼないので、今回リカの話や会社勤めしている友だちの話を聞くのは非常に興味深かったです。片やロンドンの演劇の現場にいると、資本主義を目の敵のように見る人も少なくなく、金融系企業を批判する話を聞く事も多いです。バンカー(Banker/銀行員)と聞くと、『派手、お金を湯水のように使う、資本主義を操り、庶民を虐げる悪の根源』みたいなイメージらしいです。映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」にでてくる主人公みたいな感じですかね?

しかし、LGBTのことを含めダイバーシティや、人権に関するサポートをすることには、その彼らの潤沢な資金をもって、社会に還元していって欲しい、そしてこの流れが業種の壁を越えて、様々な企業や社会に広がっていってほしいなと思います。

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グリニッジパークから望む金融街・キャナリー・ワォーフ

 

 2014/12/11 06:00    Comment  連載   みっつんのLondon Days              
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