第78回 2014年のLGBTニュース総集編

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年の瀬ね。

まきむらよ。

毎週月曜、こちらの連載「まきむぅの虹色ニュースサテライト」をお送りしております。(過去の記事一覧は→こちらから

今回のテーマは、

2014年、世界のLGBTニュース総まとめ

です。

2014年1月~12月に起きた、性にまつわる世界のニュースを、できるだけどの国にもどのセクシュアリティにも偏らないようにチョイスしました。今年一年を振り返る気持ちで、さっそくご紹介してまいります!

【1月】
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★ロシア・プーチン大統領、反同性愛法で「ゴールデン・エネマ賞」グランプリを受賞
アンチ同性愛の代表的な人物を(皮肉をこめて)表彰する「ゴールデン・エネマ賞」で、反同性愛プロパガンダ法を推進したロシアのプーチン大統領がグランプリを受賞しました。ちなみに「ゴールデンエネマ」って、「黄金のカンチョー」って意味よ。

PinkNews

★クウェート、「異性の装いをした罪」でMtFを逮捕
クウェートのMtF(男とされて生まれ、女として生きる人)が数名、「異性の装いをした」「女性専用の場所に入った」といった罪状で逮捕されました。クウェートでは2007年以降、女性が男性の/男性が女性の格好をすることが禁じられていますが、さて、その「男性/女性」を決めてるのはいったい何なのかしらって話よね。

【2月】
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★facebookが性別欄の選択肢を大量に追加 「男/女」以外も設定可能に
2月13日から、アメリカ版facebookの性別欄に「男/女」以外の選択肢が50種類以上も追加されています。内訳はたとえば「FtM」「MtF」「トランスジェンダーの人間(Trans person)」などだそうで、公開する範囲はプライバシー設定で選べるとのことです。

CNN

★「同性愛嫌悪者は寿命が短い」との研究結果が発表される
医学雑誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・パブリック・ヘルス」において、同性愛嫌悪者はそうでない人に比べ寿命が短いとの研究結果が発表されました。研究は1988-2008年の間に約2万人を対象に行われ、「同性愛者が教師になることを認めるべきか」「同性愛者に公共の場でスピーチを認めるべきか」などといった質問にNOと答えた人々はそうでない人々に比べ2~5年短命であったとのことです。

PinkNews

【3月】

★「アナと雪の女王」日本公開 百合百合しいと話題に
ディズニー最新作『アナと雪の女王』は同性愛プロパガンダか?」でもご紹介したとおり、従来の「プリンセスが王子と幸せ」なディズニーとは大きく異なる同作品について、「百合百合しい」「同性愛プロパガンダだ」などの反響が寄せられました。なにげにTokyo SuperStar Awards2014にもノミネートされてましたね。

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★イタリアで「ヘテロ・プライド」が初開催 「反同性愛が目的ではない」
「ゲイ・プライドの友人の皆さん……遅れてごめんね!」イタリアで異性愛について考えるイベント「ヘテロ・プライド」が初開催となりました。「異性愛は当たり前のことで、異性愛者は何の問題も抱えていないと思われている……そんなのは誤りだ」と公式サイトには書かれています。イギリスで反同性愛を訴えた「ストレート・プライド」と違い、こちらは「反同性愛が目的ではない」と明言しています。

VICE

【4月】

★アメリカで女性同士での三人婚
アメリカにおいて女性三人での結婚式が行われ、またうち一人は匿名のドナーからの精子提供を受けて妊娠中であることが報じられました。結婚式が行われたマサチューセッツ州は同性婚OKですが、「結婚は二人の間のもの」と定められているため、三人は家族としての法的権利を得ることはできません。

2CHOPO

【5月】
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★ついに同性愛を合法化、キプロスで初のプライドパレードが開催
2014年1月まで同性愛を違法行為としていた北キプロスが、ついに同性愛を合法化。続いて同国ではじめてのプライドパレードが行われました。北キプロスの同性愛合法化を受け、ヨーロッパで同性愛を違法とする地域はついにゼロになりました。

★「性同一性障害→性別違和」に?
アメリカ精神医学学会による診断ガイドライン「DSM-V」において、「性同一性障害(ジェンダー・アイデンティティ・ディスオーダー、GID)」が「性別違和(ジェンダー・ディスフォリア、GD)」と改められました。日本では「性同一性障害特例法」にみられるように、行政手続き等の場で性同一性障害の名が引き続き使わています。

2CHOPO

【6月】
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Patrickringgenberg, via wikimedia commons

★イラン人レズビアン、男性への性転換手術を強要されたと告発
イランではトランスジェンダーの性別適合手術が合法、同性愛が死刑(ただし、イラン政府は死刑にしていないと主張)。そのため同性同士のカップルは、共に生きるためにどちらか一方が望まぬ性転換手術を行い、無理やり男女カップルになって暮らす例が続発しています。中には家族や周囲に手術を強要される例も。このことをロイター通信に告発したイラン人レズビアンはこう語っています。「男性になりたいと思ったことなんかない。(中略)私は私のことを、男性ではなくて、女性を愛する女性だと思っています」

TRUST

★ワールドカップでゲイ蔑視発言? FIFAを巻き込み一大議論
ブラジルで行われたワールドカップにおいて、メキシコチーム側サポーターがカメルーンの選手達に「オカマ野郎!」というようなことを叫んだことが問題になりました。

2CHOPO

【7月】
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公式サイトスクリーンショット/2014年12月27日閲覧

★百合界のカリスマ華麗に復活 新セーラームーンで同性愛表現の検閲が廃止
人気作品「美少女戦士セーラームーン」が、20周年を機に「美少女戦士セーラームーンCrystal」として復活。同作品には「百合界のカリスマ」と名高い、天王はるかと海王みちるのカップルがいますが、英語版では「同性愛表現が子どもにふさわしくない」として検閲され、「いとこ同士」設定を付与されるというよくわからない対応がとられていました。それがリメイク版ではついに廃止。20年という年月が変えたもののひとつの象徴ね。

PinkNews

★反同性婚の政治家、息子の同性婚を祝う
フランス東部、ヴィール・ド・グラン市の市長が、反同性婚の立場でありながら息子の同性婚を祝福して話題になりました。同氏はこう語っています。「いくら私が同性婚に反対しているといっても、結婚式に出席することは自然なことだと思ったんだ」

2CHOPO

【8月】

★ソチ五輪に対抗しての競技大会「ゲイ・ゲームス」で、99歳の女性が新記録樹立
ロシアにおいて、反同性愛法への批判の中で開催されたソチオリンピック。そんな中、「同性愛者に自信を持ってもらうため」の競技大会ゲイ・ゲームスが開催され、99歳のイダ・キーリングさんが新記録を樹立しました。記録は、95-99歳部門での100メートル走で59.8秒。これはそもそも今までに選手自体がいなかった、正真正銘の世界新記録だそうです。

★9月28日の「バイの日」を前に、英語圏ツイッターで「バイ自撮り」が流行
バイセクシュアル(両性愛者)が存在することを世に示すために、バイセクシュアルを自認する人々が自撮りをアップするキャンペーン「#WhatBiLooksLike(バイってこういうの)」が英語圏のツイッター上で行われました。

PinkNews

【9月】
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★コンドームを使った料理本「作ってあげたいコンドームごはん」が発売
「カレシが突然おうちに来ちゃう! でも、どうしよう。冷蔵庫の中には余り物の具材とコンドームしかないよぅ★」……これは「なぜ冷やした」と言わざるを得ませんが、とにかくそういう本がAmazonで電子書籍として出ました。プレスリリースによれば「コンドームを意識する機会を増やそう」という啓発のためなのだとか。まじめな啓発も大事だけど、こういうのだっていいわよね。

★MtFの受験を拒否した女子大学で、学生による抗議運動が行われる
日本でも、男性の願書を拒否した女子大学が憲法違反なのではないかと提訴されていますね。なぜ女子大学は「女子でないもの」をつくりだし排除するのか、そしてなぜ「男子大学」がほぼないのか、時代が変わった今あらためて考えたいところです。

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【10月】
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Wikimedia Commons

★過激派組織「イスラム国」、男性2人を同性愛者であるとして殺害
シリアにおいて、18歳と20歳の男性が、イスラム国により同性愛者であるとされて殺害されました。ちなみに「イスラム教=反同性愛」というのは早とちりで、ゲイであると公表したイスラム教指導者やLGBTフレンドリーモスクも世界にはあります。というかそもそもイスラム国メンバーは単なるテロリストだというべきであって、イスラム教徒扱いすること自体間違ってる気もするしね。

★アメリカの元兵士(74歳女性)、妻とともに埋葬される権利を勝ち取る
同性カップルには一緒にお墓に入る権利すらなかったのかよって思いますけど、アイダホ州ではそういうことだったみたいです。米軍に所属していた74歳の女性が、元米軍兵士のための墓地に妻と埋葬される権利を求めた裁判で勝訴。彼女はこんなコメントを残しています。「思い出の場所であるアイダホでこそ、二人で永遠を過ごしたかったから」

【11月】
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Par kallerna, via Wikimedia Commons

★フィンランドが同性婚法制化 賛成105票-反対95票の僅差で
11月28日、フィンランドが同性カップルと異性カップルの間の法的不平等を撤廃し、事実上同性婚を法制化しました。フィンランドといえば「ムーミン」作者のトーべ・ヤンソンさんが同性パートナーと暮らしていたことが有名ね。

2CHOPO

★「思春期になるとみな異性に惹かれる」は嘘 教科書表記改正求め署名
あたかも人間が全員異性愛者であるかのような虚偽表記をしている日本の保健体育教科書に異を唱え、改正を求めた署名運動が始まりました。個人的には、なんとあの「SPA!」でこの問題についての記事が掲載されたのが感慨深かったわ!

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★山梨の高校で男女の制服を交換するイベントが開催
山梨県・富士北稜高校で、男女の制服を交換して着るイベント「セクスチェンジ・デー」が開催され、海外メディアにまでとりあげられるほど話題になりました。生徒はジェンダーについての講義も受講。とある男子生徒は女子制服を着てみて、「スカートって足が寒いんだなぁ」という感想をもったのだそうです。

PinkNews

【12月】
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★性的マイノリティへの迫害続くウガンダで、LGBTIマガジンが決意の創刊
ドキュメンタリー映画「Call me Kuchu」に詳しいように、ウガンダでは同性愛権利活動家が殺害されその葬儀まで荒らされるなど、厳しい状況が続いています。そんな中で、状況を打開すべくLGBTIマガジンが創刊されました。その名も「ボンバスティック・マガジン」。名前からして頼もしいじゃないの!同誌は無料配布され、ネット上でも英語で読めます

※LGBTI……LGBTにインターセックスのIを加えたもの。LGBTの問題とIの問題をまとめて扱うべきかはいまだ議論が分かれる。

★中国・北京の裁判所、「同性愛の治療」は違法との判決下す
いまだ同性愛をタブー扱いし、同性愛にまつわる表現について中国語辞書すら検閲される中国で画期的判決です。「同性愛の治療」と称し、電気ショックや催眠療法を行っていたクリニックが有罪となりました。こういう判例が出てくれれば、被害者もこれ以上出なくなるかしらね。ソースはイギリスのメディアですが、中国メディアもこのことを大きく取り扱ってくれることを望みます。

……ということで、だだーっと2014年の虹色ニュースを振り返ってみました。「あれがない!」「これがない!」っていうのもあると思うんですが、あなたにとって印象的だったニュースがあればぜひこの記事と一緒にtwitterやfacebookで紹介してくださいね。

さて、あなたにとってはどんな一年だったかしら? この連載もおかげさまで、来年6月に2周年を迎えます。これからも多様な性にまつわる世界のニュースをお届けしてまいりますので、ぜひ引き続きお楽しみに!

それでは今年一年、読んでくださってありがとうございました。また来年の月曜日にね! まきむぅでした◎

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