第1回 ドラァグ界のカリスマ、ル・ポール様って?

Hello Hello Hello! ドラァグ文化に注目しているf.o.x.y.です!「誰でも分かる!ドラァグレース入門講座」では、アーティストやクリエーターとして活躍するドラァグクイーンの魅力をお伝えします。「ル・ポールのドラァグレース」をはじめとして、世界にはばたくドラァグクイーンたちの活躍を読者のみなさんと一緒に応援しながら解説していきます。

「ドラァグクイーン」とは女装をした男性で(多くが同性愛者ですが全員とは限らない)、歌やダンスなどのパフォーマンスをしたり、エンターテイナーとして活動する人たちです。女性の特徴を強調するので、メイクやドレスはド派手なことで知られます。今、アメリカを中心に「ル・ポールのドラァグレース」(RuPaul’s Drag Race)と呼ばれる番組が密かな人気を呼んでいます。LogoTVで放送されている「ル・ポールのドラァグレース」は、カリスマ的存在でもあるル・ポールが司会と審査員長を務め、次世代のドラァグクイーンを発掘し、スターとなる素質を兼ね備えたナンバーワンを決めるリアリティー番組です。
※日本からリアルタイムでの視聴は出来ませんが、過去のシーズンはアマゾンで購入可

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シーズン4のタイトル画像 http://www.logotv.com/shows/rupauls_drag_race/ 

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シーズン7キャストの発表 http://www.logotv.com/shows/rupauls_drag_race/ 

2009年にアメリカでシーズン1の放送が開始されて以来、「ル・ポールのドラァグレース」は進化を続け、過去に番組に出場したクイーンたちの活躍は世界各地に及んでいます。そして先日遂に見事オーディションを通過し、2015年新年に予定されているシーズン7に出場予定のクイーンたちの名前が発表されました。シーズン7を今から楽しみにしているファンは多いはず!?ということで、この番組をプロデュースし、ドラァグクイーンからも尊敬を集める大御所ル・ポール様とは何者なのか少し紹介しましょう。

1960年、カリフォルニアに生まれたル・ポール(本名RuPaul Andre Charles)は1980年代からバンドを組んだり、ミュージックビデオに出演したり、ショービジネスで活動を始めます。1990年代から本格的な音楽制作を開始し、1992年にSupermodelをリリース。

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生まれたばかりのル・ポール

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Supermodelの公式PV

Supermodelは、アメリカのポップチャートでは45位、ダンスチャートでは2位に輝き、ル・ポールはLGBTのコミュニティだけでなくメインストリームで活躍するドラァグクイーンの先駆けとなったのです。(もっと知りたい方は、1996年に発売されたル・ポールの自伝、Lettin it All Hang Out: An Autobiographyも要チェック!)

ル・ポールの人生に大きなインスピレーションを与えてきたお母さんは、ル・ポールが生まれたときからこの子はスターになる、と予言していたそう。


 実家で撮影されたお母さんの貴重映像も残っています。
(3分あたりから、ひたすらプチプチを潰すシュールな映像はこちら↑)

★「ル・ポールのドラァグレース」とは??
各シーズンでは、オーディションやネットのファン投票から10数名が選抜されます。出場者の中には、地元のクラブやバーで働いていたり、ミュージシャン、ダンサー、俳優、エンターテイナーとして仕事をしている方たちが多いようですが、ドラァグ歴数年の若手もいれば、長年活動してきたベテランもいます。毎週いろいろなチャレンジが与えられ、勝負に勝ち残れなかったクイーンが一人ずつ削除(Eliminate)されてしまうのです。ゴミ箱から拾ってきた材料を使ってドレスを作ったり、役を分担してミュージカルを上演したり、女装経験のないゲストの男性にメイクアップやドレスを着せてドラァグクイーンにしたり、毎回高度な課題が課されます。

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ゴミ箱から拾ってきた材料を使ってドレスを作るというお題でのワンシーン。

チャレンジでの成績と、テーマにあわせて作ったり持参した自前の衣装を身に着けたりする「ランウェイ」での成績が総合的に判断され、上位にランクインしたクイーンは次のラウンドに進めます。審査委員長はル・ポール様。そしてデザイナーのサンティーノ・ライスや、歌手のミシェル・ヴィサージも審査員としてコメント、アドバイス、時には酷評を与えます。最下位になってしまった2人は生き残りをかけてガチ対決をします。その対決とは、Lip Sync!リップシンクというドラァグクイーンのショーではおなじみの「口ぱく」芸です。有名な音楽に合わせてリップシンクし、パフォーマンスが優れていたと審査員に認められた方には、「留まりなさい」という意味でShantay, you stay!という言葉が送られます。残念ながら落選してしまったもう一人は、「去りなさい」という意味のShasay awayという言葉と共に番組を去らなければならないのです。


ガチ対決の様子はこちら↑

最後の週まで残ることができた出演者が冠を手にしますが、番組の注目度も高まり、シーズン4からはファンを交えた大きな会場で第1位の発表と表彰セレモニーが行われるようになりました。

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2014年放送シーズン6のトップ3
左からアドア・デラノ(Adore Delano)、1位に輝いたビアンカ・デル・リオ(Bianca Del Rio)、コートニー・アクト(Courtney Act)

ドラァグレースの原点にせまるには、ル・ポールも影響を受けているというドキュメンタリー映画「パリ、夜は眠らない。」(1990)(Paris is Burning)を見るのもいいかもしれません。ニューヨークのハーレム(彼らはそこを「パリ」と呼んでいる)での黒人でゲイの人々が集まるコミュニティに密着し、仮装をしてランウェイでウォーキングやダンスをする様子が映し出されます。現実の社会では貧困や差別問題などに妨げられて実現できないキャリアでも、仮装してその姿になってしまえば一瞬「夢」が見られるのです。ハーレムで実際に行われていたボールと呼ばれるランウェイはコンテスト形式で、優勝者にはトロフィーが贈られます。参加者のスタイルは様々で、男性らしいブッチや女性らしいフェム、綺麗でモデル体型のタイプから体格のよいクイーン・・・。ドキュメンタリーでは、一人ひとりの個性にあわせて「カテゴリー」があるから、みんな必ず居場所がみつかる、という内容のメッセージが出てきます。

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最近人気急上昇中の「ル・ポールのドラァグレース」ですが、その背景や歴史には深いものがあります。ショービジネス界で長年キャリアを積んできたル・ポールならではの経験を生かし、ル・ポールは次世代のスーパースターたちに厳しさのなかにも暖かいメッセージとアドバイスを送ります。番組中、色々な場面で飛び交う名言は、人生の教訓として視聴者にも人気です。

If you can’t love yourself, how in the hell you gonna love somebody else?(自分のことを愛せなくて、一体どうやって他人を愛せるの?)は、ドラァグレースでも毎回使われる決めゼリフ。まず自分を受け入れて愛することで、周りにも愛をもって接することができる!!
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テレビ番組の司会を務めたり、またドラァグ界のカリスマ的存在として、ドラァグクイーンの「母親」のような一面も持つル・ポールは、男性の姿と女装の姿を巧みに使い分けます。「ル・ポールのドラァグレース」でも、ドラァグクイーンたちがメイクアップをしている様子、メイクを落とした普段通りの格好で課題に取り組む様子が両方見られるのが特徴です。外見の美しさをうまくプロデュースして、プレゼンテーションするのも大事だけれど、一人の人間としての個性に、性別はあまり関係ないのかな?とも思わせてくれます。

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次回から「ル・ポールのドラァグレース」を経て活躍しているドラァグクイーンたちの素顔にどんどん迫っていきますね!次回更新は1月20日(火)の予定です。お楽しみに!

著者f.o.x.y.のツイッター(@foxyfordrag)でも情報発信していきます。

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