第80回 200人に聞きました!義務教育での性教育、どうだった?どうすべき?

 

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まきむらよ!

毎週月曜日に、世界のニュースから性を考える時事コラム「まきむぅの虹色ニュースサテライト」を連載してまいりました。

第80回となる今回からはお引越しして、毎週金曜日連載となります!

今回のテーマは、「200人に聞きました!義務教育での性教育、どうだった?どうすべき?」です。

過去の記事「日本の性教育を改善する10年に1度のチャンスが到来」で、異性愛以外のあり方がないことになっているという日本の学習指導要綱の現状、またその改善を求める署名活動についてご紹介しました。

それに伴い、222人のみなさんから、「義務教育での性教育、どうだった?どうすべき?」というそれぞれのご経験とご意見をWEBアンケートで伺いました。ご協力ありがとうございます。早速結果をご紹介してまいりたいと思います!

2014年11月24日~2015年1月5日まで実施。回答総数228件/うち、二重送信等を除いた有効回答222件。またご回答の一部は、太字強調等、文意を損ねない範囲の編集を加えてご紹介しています)

本稿での義務教育とは、現代日本でいう小学校と中学校、またはそれに相当する諸外国での教育機関を指します。6~15歳の間、日本の学校の外で教育を受けられた方には、その時のことを思い出してご回答いただいています)
★ 異性愛以外のあり方について教わったという人は、222人中59人
同性愛や両性愛など、異性愛以外のあり方について学校で教わったことがあるかどうか伺いました。

その結果、「ある」と答えた方は222人中59人でした。

以下がグラフ画像と、グラフが見づらい方向けの文字でのまとめです。

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異性愛以外のあり方について、

  • 教わっていない………………163人
  • 保健体育で教わった…………38人
  • 雑談など授業外で教わった…12人
  • 家庭科の授業で教わった……4人
  • 社会科の授業で教わった……3人
  • その他の授業で教わった……2人

具体的な経験として、こんな例を挙げてくださった方々もいらっしゃいました!

「先生が授業中にエロ本をクラス全員に回覧した。しかも3冊。先生は言いました。これはお金で売り買いされている性、皆がこれから学ぶのはお金で売り買いできない性です。性=エロいだけの概念は捨てて話を聞いてくださいと。」

「家庭科で人生設計をしようという授業があり、その準備として結婚についてのディスカッションをしました。その時に先生が、『どうして結婚をするのだと思いますか?結婚はしないという人ももちろんいると思いますが、その人はどうしてでしょう?女性と結婚したいという人もいるでしょうね。そもそも結婚とはなんなのでしょうか、考えてみましょう。』と言っていました。(ちなみに私立中高一貫の女子校です。)」

ところが、中にはこんな残念な例もあるようです。

「『同性愛は性同一性障害という病気』と言ってる体育教師がいた。」

「保健教師が余談で『胎児の時期に上手く分化ができない人はゲイになる』と言い、『先天的なものだから仕方ない』みたいに憐れみを込めて説明された。」

「『思春期の』同性愛は普通であると言われた。あくまでも、『思春期』と強調された。」

「性同一性障害は病気の人たちですと先生が言いクラスに笑いが起こる→それは違うのでは?とあとで言いに行ったらそうでしょと言われてトランスとして悲しくなった

勉強していかなければならないのは生徒たちばかりではなく、先生たちも同じことですね。

ただ、教える側の先生たちにも、性教育の際にはこんな難しさがある……ということがアンケートから浮き上がってきました。たとえ先生が真面目に話していても、性のことだというだけでわき起こってしまう「変な笑い」です。

★ おかしいことなんかじゃないのに……性的なことに対する「変な笑い」
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写真:PAKUTASO

「小学生のころ、保健体育の授業が授業参観だったことがあった。そこで担任により順番に指名され、わたし(男)が女性器の名称を答えることになった。起立し、発表したところ、クラス内の数名の男女から『変態』と笑われることになった。」

「ただ、教科書を教師が棒読みしているだけなのに、男子はゲラゲラ笑っていた。」

「保健体育の授業中、教師が同性愛について軽く触れたことがあった。いたってまじめに『そのような人も居る』ということを教えていたのにも関わらず、大部分の生徒が笑い、とても真剣に聞いている生徒がいるようには思えなかった」

性に関する話題は、「面白おかしい下ネタ」として茶化されてしまいがちです。特に「オネエ」のイメージで語られるようなものごとというのは、いわゆるホモネタが代表例としてあげられるように、「笑いものにしてもいい対象」扱いされがちですね。

こういう「変な笑い」は生徒だけでなく、先生たちの間にもみられるようです。
★ 「笑いをとっただけ」のつもりでも……
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写真:PAKUTASO

「誰にたいしても「お前、こっちの人じゃないのか」と言って口元に手を当て、笑いをとる男性教諭が多く、自分も合わせて笑っていた。素のままの自分は、存在しているだけで嘲笑されてしまうのだと思いました。」

「音楽の先生が一人の生徒を(きっかけは忘れたが)レインボーとあだ名して毎授業からかっていたのが忘れられない。なんだかとても腹が立った記憶があります」

「お菓子持ち込み禁止の中学校で、部活の女の子同士で友チョコ交換をしていたのが顧問の女の先生にばれてしまったとき、私の部活はレズの集まりだったのね、気持ち悪いわと、冗談のように笑われた

また、笑いものにするまでいかなくても、恐らくよかれと思ってのことであろう性にまつわる教育が、結果的に生徒を傷つけてしまうという例を挙げてくださった方々もいらっしゃいました。
★ 性にまつわる正しいことを言った、つもりでも……
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写真:PAKUTASO

「学年に3年間関わっていた女性の先生に、『そんな事もできないようでは男性の所にお嫁に行けない』『今のあなたのような女をもらってくださる男性はいない』等と異性愛を強要されているように感じられる事や、何かにつけて『この男性はその辺の女より美しい』『女はキャピキャピうるさいのよね』等の女性を比較してけなしているような事をよく言われていて、当時中学生で性について悩んでいた私と友達はとても傷つきました。今は高校生なのですが未だにこの言葉を思い出して落ち込むことがあります。」

「小学5年の性教育で体育館でスライドをみたあと、突然女性教師が『男子起立!』といって、男子はなんだなんだ?と帰っていき自由時間の間、女性は月経と初潮になった人を聞き込み開始してナプキンを配布していた。GIDな自分は目まいがきて、人生に絶望し、そこから夜眠れなくなった」

※GID……性同一性障害。Gender Identity Disorderの略。

男女別室での性教育や、「男はこうあるべき」「女はこういうもの」という発言に傷つけられたという例を挙げてくださった方が少なくありませんでした。

それでは、今後の性教育、いったいどうしていくべきでしょうか?

★ 義務教育での性教育、どうしていくべき?

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「男子に対する丁寧な教育は男女両方の心と身体を守る為に必要だと思います。性教育に男女差が有ってはいけない

「多様な性があるということを『認知』させるべき。『理解』の強要はさせるべきではないと思う。」

改善すべき点としては、大きく分けて以下の2点が挙げられました。

  1. 男子生徒と女子生徒を分けて、別々の内容で性教育をしている
  2. シスジェンダー異性愛以外のあり方がないことになっている

しかしながら、いわゆるセクシュアルマイノリティについての記述をを学習指導要綱に含め、義務教育で必ず教えるようにすることには反対や慎重論も寄せられました。以下、実際にご記入いただいたご意見をご紹介します。

「性の多様性について理解のある大人が増えてほしいとは思うが、義務教育でわざわざ教えることでもないと思う。個々人が理解できるタイミングで知ればいいことだし、理解力のない時に知っても変に誤解や好奇心を招くことになりかねないと思う。年齢的に大人でも、理解できない人はたくさんいますから。ただ義務教育の段階では、性について疑問に思う子や違和感のある子をしっかりとフォローできる人が教育現場に必要だと思う。」

特に今までと変える必要はない。 まして、セクシャルマイノリティーに『過剰に配慮した』教育は必要ない。」

「セクマイの人が傷付かない授業も大事だと思いますが、上に述べた(セクシュアルマイノリティについての)先生の話があった時、私は周りの生徒がどのような反応をするのかが怖く、内心とても怯えて聞いていました。恋愛や自己の認識にいろいろな形があることを知ってもらうことも大切だけど、それをわかっていてもやはり怖いものは怖いです。相手に悪気がなくても自分を否定されることに変わりはないのですから。幸い私のクラスでは皆真剣に話を聞いていましたが、そうでないクラスで授業を行った場合、今までの授業以上にセクマイの子を傷つけることになることも十分に考えられます。義務にするのではなく、各学校で判断して授業を行うのが理想的ではないかと私は思います。現実的でないのもわかっていますし、私自身まだ20にもなっていないし、自分以外のセクマイの人と関わったこともないので、的外れなことを言っているのかもしれませんが、これが今の私の率直な意見です。長文失礼致しました。」

学習指導要綱改定に関する署名「セクシュアル・マイノリティの子どもたちを傷つける教科書の訂正を求めます」は、2015年1月14日現在15,000件を超える賛同署名を集めています。このことは、週刊SPA!、AERA、産経ニュースなど多くのメディアで取り上げられ、2016年の指導要綱改定に向けて中央教育審議会への働きかけなども予定されているとのことです。

ということで何かが動きそうな気配は十分にありますが、同時に、

  1. 子ども達をかえって傷つけてしまうような状況になることをいかに防ぐか
  2. 記述を加えるとして、なにをどう書き、どう教えるか

ということも考え始めなければならない時期に来ているのではないかしら。

少なくとも、「思春期になるとみな異性に惹かれる、それが正常な発達」っていう物言いは、教えるべきか否かという話の前にそもそも嘘です。焦りは禁物だけれども、せめて「みんなシスジェンダー異性愛」「シスジェンダー異性愛が正常」っていう記述だけはなんとかしなければならないなあ、と私は思っています。

ということで、今回も読んでくださってありがとうございました!

また、ご回答くださった200名以上の皆さまや、ツイッターでアンケートを広めてくださった皆様にもあらためてお礼を申し上げます。おかげさまのことです。本当にありがとうございました。

それじゃ、また来週金曜日にね。まきむぅでした◎

追伸:最後に、私が拝読した中から、教育現場向けにいいんじゃないかなぁと思った本を何冊かご紹介します。ステマじゃないわよ! あくまで私が読んだ中からのおすすめです。

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