第3話 SF映画と漫画、それからゲイ映画のミカタ

最初にですが、前々回、封切り前だった映画『インターステラー』(クリストファー・ノーラン監督)の話をしたと思うんだけど(第一回目の記事を参照)、この前、その映画を観たのでまずその話からです。

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前回『インターステラー』ってSF映画を観る前に多分こういう感じに展開にするんじゃないの!?みたいな事をお話したと思うんですが、クリストファー・ノーラン監督自身が言っているように、スタンリー・キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』をかなり意識しているという事なので、これは哲学的な映画になるのかなと思いながら観ていたんです。
前半は地球上の話で、なかなか宇宙に飛び立たないので、早く宇宙に行ってくれよ!(笑)と眠いながらに観ていたんですが、宇宙に飛び立ってからのストーリーが、ほうほうなるほど!そっちの方向にいくのか!!となっていったんです。観ていない人にバラシちゃうのはあれだけど、要はある種のタイムスリップというか、思ったより哲学的な内容ではなくて、わかりやすい活劇でもあり、ドキドキハラハラもあり、ちょっとした泣かせもあり、上手くまとめていて良く出来た映画だなと思いました。機会あれば観て欲しいですね。

そして上にも述べましたが、『2001年宇宙の旅』(1968)も、今更ながら是非観てほしいなと思いますね。

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その当時、それまでのSF映画っていうと子供向けの冒険活劇的だったんですが、この映画は、これは哲学!?これは!?って言うくらい、凄く新しくてリアルだったんですよ。モノリスっていう石版が、サルに知恵を与えて、そこから人間へと進化がおき、そして人間は宇宙へと。モノリスは宇宙人なのか神なのか!?曖昧であり、謎の存在で、劇中の登場人物のセリフも極端に少なくて、とにかく自分自身で考えて観るしかないという映画だったんですよ。最後は木星の果でモノリスに出会った宇宙飛行士が、進化したスターチャイルドになって地球に戻っていく、さもキリストが地球に降臨していくかのように。とても哲学的なストーリーで、その後、多くの映画監督や色々な人達がこの映画に影響を受けただろうし、僕も初めて観た時は滅茶苦茶興奮しましたね。そして暫くの間、何故かわからないけど影響を受けたね。  

次にですが、『インターステラー』や『2001年宇宙の旅』を観て面白かったと思った方々にお薦めな漫画を2冊紹介します。

1冊目は高山和雅さんの『天国の魚(パラダイスフィッシュ)』(2014年、青林工藝舎)です。この作家さんはネットで探してもなかなか情報が出てこないんですが、独特のSF世界を描く作家さんです。

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小惑星衝突によって巨大な津波がやってくる状況下で、ある島に残った主人公たちは、島で過去に造られた核シェルターに逃げ込むんだけど、シェルターごと波にのまれてしまい、気づいたら1970年にタイムスリップしてしまうというところから始まります。津波に飲み込まれた時の記憶もありながら新しい家族としてそこで生活をしながら色々な事が起き、新たな謎が生まれ、もう理由のわかない状況になっていくといったストーリーです。これこそ娯楽作品なんだけど、どっちかというと『2001年宇宙の旅』のような複雑怪奇なSF漫画作品でお薦めです。

二冊目ですが、こちらはポピュラーなんだけど、星野之宣さんの『2001夜物語』(1985年 – 1986年、双葉社、全3巻)というSF漫画です。この作家さんはたくさんのSF作品を描いているんだけど、なかでも、この作品は『2001年宇宙の旅』に完全にインスパイアされた短編集です。高山和雅さんの作品より、複雑ではなく、わかりやすく「インターステラー」のような大衆的な冒険物に近いから『インターステラー』を気に入った人はこの漫画を見てみると面白いと思います。

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最後にSF映画からは離れるのですが、映画をもう一本だけ紹介しましょうかね。
『ボーイ・ミーツ・ラブ』((2004年、英題:Touch of Pink、カナダ・イギリス合作映画イアン・イクバル・ラシード監督[2005年第14回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭上映作品])というゲイのカップルのハートウォーミングラブストーリー映画です。

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主人公はインド系カナダ人でイギリス人の恋人とロンドンで幸せに生活を送っているんですが、イスラム教徒の主人公は親や親戚にはゲイであることや、男性の恋人がいることをカミングアウト出来ずにいるんです。そんな中、主人公の母親が息子に結婚を勧める為にロンドンを訪れて、と話は展開していきます。

意外というかパロディー要素で、主人公には子供の頃から守護霊というか空想上の友達というか自分にしか見えない往年の俳優ケーリー・グラントが出てくるんですよ(笑)。この時代、彼は既に亡くなっているので、本人ではなく役としてですが、映画『ボギー!俺も男だ』(1972)でハンフリー・ボガートの幽霊が出てきて主人公にアドバイスをするのと同じように、このケーリー・グラントが主人公にお前もっとこうだろ!もっと頑張れよ!などなど色々なアドバイスをするんです。でも母親に打ち明けることには反対で、そのアドバイスがきっかけでドタバタとしていく、そんな主人公が同性愛を隠さず正直に生きれるようになるまでのストーリーですね。

あまり良く出来た脚本ではないけど、ゲイをテーマにした映画作品の中では、どこか辛い話だったり、上手くいかないけど社会に立ち向かっていく話のような重いストーリーの映画ではなく、この作品は、どちらかというと、お気軽な感じで観れます。

僕が一つ思ったのは、ケーリー・グラントではなくて、なんでロック・ハドソンにしなかったのか。ロック・ハドソンはプライベートでゲイだった人で、AIDSを発症してからゲイであることをカミングアウトして、有名人では最初にAIDSで亡くなった俳優なんだけど、ロック・ハドソンにしておけばもっとストーリーが深くなるし、おれは最後まで出来なかったけど、お前はカミングアウトしろ!!とか、もっとうん蓄のある内容になったのだろうけど、噂はあれどケーリー・グラントにしたところが良いのか悪いのかミソだなと思います。

あと、ケーリー・グラントの映画をよく知っていれば、シーンとかセリフをパロディーとして使っているから、もっと楽しめるとは思うんだけど、流石にセリフまでは覚えてないよ(笑)

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この「ボーイ・ミーツ・ラブ」は、もうレンタル屋さんとかには置いていないのかもしれないですが、心温まる映画ですので、探して是非観てください。

次回はコメディー映画を!!

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