第82回 「同性愛?そういう年頃なだけよ…」“うっかり差別”に立ち向かう学生たちの作戦とは

 

3114914967f3724453ad8b5f9eba1c8e

まきむらよ。

毎週金曜、世界のニュースから性を考える時事コラム「まきむぅの虹色NEWSサテライト」をお送りしております。

今回のテーマは「日常の“うっかり差別”に学生たちが立ち向かう」です。

日常会話の上で、悪気はないのに人を傷つけてしまう。そんなことを少しでも減らそうと、アメリカの学生たちが立ち上げたあるキャンペーンをご紹介していきます!

★冗談や励ましのつもりでも……
「同性を好きになった? そういう年頃なだけよ、大人になれば治るから大丈夫!」
「あの人、なんていうか、オカマっぽいよね~」
「まじホモじゃんそれwwwwwww」
「男なら言い訳するんじゃない!」

軽い冗談のつもりだった。

ポジティブな励ましのつもりだった。

そういう日常の一言で、人を傷つけてしまうことが人にはあります。

4d82997c392b19f0b0aa17a7725e6724

そんな“うっかり差別”に立ち向かおうと、学生たちが立ち上がりました。バスケの強豪校として知られるアメリカ・デューク大学の有志による、「You Don’t Say ?」キャンペーンです。学生たちが顔出しでキャンパス内のポスター・twitter・facebookに登場し、こんなメッセージを伝えています。

★You Don’t Say ? キャンペーンのメッセージ
e54530b63d51c341ea9a3db89f1eb660
「自分は“ダイク(※日本語の「オナベ」「レズタチ」をもっと悪く言った感じの悪口)”なんて言わない。
なぜなら自分の性的指向は、そんな悪口で言い表されるべきではないと思うから」

4a971b0cf17c78ec261b3ec97baac971
「自分は“そういう時期なだけ”なんて言わない。
なぜならその言葉は、人のアイデンティティをないものにしてしまうから」

a3c0a9928929feb580b15fa91403bdc7
「自分は“ホモ”なんて言わない。
この言葉はゲイの男性たちを痛めつけ、抑圧するから」

a0a3457a62bd28f47374bd51f744e188
「自分は“シーメール(※日本語の「オカマ」に近い言葉)”なんて言わない。
なぜならトランスにとっては、自認する性を生きることこそふさわしいのだから」

※全て公式facebookページより許可を得て転載・翻訳

そこに並ぶのは、いわゆる「LGBT当事者/非当事者」の境なく、「言葉に対する自分自身のスタンス」を語る学生たちの姿です。

偏見がにじむ言葉で傷つけられるのは、もちろんいわゆるLGBTだけではありませんね。学生たちは他にも、日常会話にひそむ、より広い意味での性差別にも言及しています。

★LGBT関係に留まらないメッセージ
20c1ccc041dc8db331747ab1075b93e4
「自分は“そっちが求めてきた”なんて言わない。
なぜなら性的暴力は絶対に被害者のせいじゃないから」

b5eae47103eb7271422a581463b515f1
「自分は“女子みたいに投げる”なんて言わない。
だって私の力は、私のジェンダーによって制限されるものじゃないから」

f95e59476d90a8e7271ae845a9731161
「自分は人を“マンコ”“穴”呼ばわりしない。
なぜなら自分は、体の特定のある部分よりもより価値のある存在だから」

399d002862cc63eab76b18df1c69344b
他にも、人種差別・移民差別・障害者差別などにとれる表現について、学生たちは広くメッセージを発しています。

★「言葉狩り」との批判も
キャンペーンは学内ポスター・facebook・twitterで展開され、多くの人に触れるものですから、反応は好意的なものばかりではありませんでした。

「こんなの、ただの言葉狩りだ」
「『オカマ』って言葉を誇りに思ってる人だっているじゃない」
「自分は『cunt』(マンコ、割れ目、ネットスラングでいう「ま~ん(笑)」)って言葉、大好きだけどな。イギリス英語でのエレガントな使い方を見てみなよ』」

※facebookに寄せられたコメントの一部を引用・翻訳

だけどこのキャンペーンのいいところは、言葉の責任を自分が引き受けていて他の人に押し付けていない、っていうところよね。

★自分の言葉を自分で引き受ける態度
メッセージは必ず、「自分は○○と言わない」という形で発されているんです。

「常識的に考えて、○○なんて言うべきじゃない」
「○○という言葉を使う奴は差別者だ」
「みんな、○○だなんて言わないようにしようね! みんなが傷つくからね!」

というような物言いはせず、自分の言葉を自分で引き受ける態度を徹底しています。

そしてキャンペーンのタイトルは、「You Don’t Say ?」(あなたが言わないことは何?)って問いかけているのよね。

もちろん、例えば「自分は“ホモ”なんて言わない。あなたは?」っていう物言いだとぶっちゃけ無言の圧力になってしまうってことも否定できないわけだけれど、それにしてもよ。あくまで言葉に対する態度を決めるのは自分自身だ、って姿勢を貫いているのはすばらしいと思うんです。自分は。

★何よりも自分の言葉が自分を傷つける
私にも昔、やたら自分のことを「レズ」って呼ばないと気が済まない時期がありました。

410aca26d0cbbec7313c2819882153f2

写真:PAKUTASO

女性アイドルにキャーキャーする時に「やだぁ私レズレズしいwwwww」

女友だちと久々に会った時に「あっ、香水変えたぁ? ごめんめっちゃ嗅いでwwwww レズいよねwwwww」

男性有名人の話題についていけなかったときに「えっごめんよく知らなぁい……ほら私ってレズだからさぁwwwwww」

自分が女性に惹かれることを、「レズ」という言葉でしか正当化できない。

「『レズ』は侮蔑だと感じる人がいるから『レズビアン』といったほうがよりよい」ということを知っているのに、『口うるさくてめんどい自分』になってしまうのがこわくて言えない。

なにより「レズ」という言葉で自分を軽く表現することによってフワッとうす~く楽しく人と付き合いたい、「レズキャラ」として仲間に入れてもらいたいと思ってしまう。

そういう気持ちでいたと思います。

「レズ」っていう言葉をあえて誇り高く掲げて生きていくのもかっこいいことだけど、私はそうではなかったのね。

自分をやたら「レズ」って呼ぶことで、その場にいたかもしれない(そして見た目ではわからない)他のレズビアンを私は傷つけてきたかもしれないし、少なくとも私は私自身の言葉に縛られてきたと思うわけです。

自分を「レズ」って呼べる自分は、やっと自由になれたんだと思っていたの。だけど結局、自分が何をするにも「レズだから」って言い訳をしてしまうことは、ものすごく不自由だった。そう言いたいならいいんだけど、私の場合、「レズ」っていうのはちゃんと自分の心に向き合ってみれば「別に言いたくもないし言わなくてもいいこと」でしたからね。私は私として女の子が好き、それだけだったんです。

★あなたなら、何を「言わない」ことにしますか? そしてそれはなぜですか?
「私は○○と言わない」

もしあなたがキャンペーンに参加するなら、ここにどんな言葉を当てはめるでしょうか。学生たちのメッセージは続々と公式facebookページにアップされ、また学生でなくても、twitterハッシュタグ#YouDontSayから自分のメッセージを自由に投稿できるようになっています。

広く「言葉」というものの向き合い方について、それぞれが自分自身のこととして考えるこのキャンペーン。私はぜひ応援していきたいと思います。

ということで、今回も読んで下さってありがとうございました!
今回の記事についてのご感想や、キャンペーンについて感じたことなど、もし学生さんたちに伝えたいことのある方は、ぜひこの記事についているツイートボタン/facebookいいねボタンからご投稿くださいね。私のブログのメールフォーム(※2CHOPOサイト内ではありません)からメールをくださってもOKです。個別にお返事はできませんが(すみません)、2015年2月6日までに頂いたメッセージはすべて「You Don’t Say」キャンペーンを運営している学生さんたちにお伝えします。日本語でも英語でもOK、日本語メッセージは私のほうで英訳させていただきます。

それじゃ、また来週金曜日にね! まきむぅでした◎

Top