第4話 喰始のコメディ映画の見方

※超ネタバレ注意(編集部注)

昔みたゲイのコメディーを見直してみようと思って。今回はゲイに関するコメディー映画、2本紹介します。

まず最初の1本目ですが、18年前のそこそこ古いアメリカのコメディー映画で「イン&アウト」(In&Out 1997年アメリカ)という作品です。

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主人公はアメリカのインディアナ州の田舎の高校で、英語を教えている人気者のハワード・ブラケット先生。そんな彼は3日後に結婚式を控えていて、公私ともに充実した幸せな日々を送っている。年間交際している婚約者とは関係はキスまでしかなく、プラトニックというか、そんな彼に突如起こる大事件。

卒業生でかつての教え子キャメロンが映画スターになって、アカデミー賞にノミネートされたのです。街中が話題の受賞式当日、自宅で婚約者と共にアカデミー賞の発表をテレビで観ているブラケット先生に思わぬことが。

みごと主演男優賞を獲ったキャメロンが受賞スピーチで、「ゲイというこの難しい役を演じられたのも、今日この自分があるのも、高校の時の先生のおかげです!この賞を恩師のブラケット先生に捧げます。彼はゲイです!」と語ったのです。

受賞式を観ていた街の人々は「エッ!?あの先生はゲイなの!?」って大騒ぎ。隣で一緒に受賞式を観ていた婚約者も「そうなの!?」って聞く始末。本人は唖然。「なに言っているんだ、そんな訳ないよ!僕はゲイじゃないよ!これから結婚するんだよ!」

次の日から街中でも学校でもマスコミでも大騒ぎになり、本人は一生懸命ゲイ疑惑を否定する、と。

まぁ、ここまでの話なら、本人はゲイではないのに、そう言われることによって色々なトラブルが起こるといった、ごく普通の話なんですね。

だけど、ここからのストーリーが変わっているんですよ。つきまとう男性リポーターに「君はゲイだよ!!絶対ゲイだ!」って、しつこく言われる。挙げ句の果てにリポーター自身が「自分はゲイだ!」って告白して先生に強引にキスをしちゃうんです。でも先生は拒絶せずに、まんざらでもないような感じになる。潜在的に自分の中にあったゲイの部分を否定していたんだけど、実はあったんだと段々思い始めるという意外な展開。

そして結婚式当日を迎えて、誓いの言葉を交わす最中に「愛を誓えません。私はゲイです!」って宣言しちゃう。

結果、結婚はご破産、学校でも問題になって、プライベートでは構わないけど、生徒に悪い影響がでるから教育者としては・・・みたいな事になるんですが、卒業式の時に、先生の名誉を回復する為に「ブラケット先生の教えが間違っているなら、そして悪い影響を受けているなら、俺もゲイだ!」「私もゲイだ!」と。街の人たちも「俺もゲイだ!」「そうだ!そうだ!」ってウソのカミングアウトをして。とまあ、ノーテンキなエンディングで終わる。

まぁ懐かしい時代だなと思うよ。今ではゲイの先生がいたりそんなの当たり前だからね。当時はカミングアウトされ始めた時代、カミングアウトとはなんなのかとか是非論とかあった時代の映画かな。面白いコメディー映画なので機会があったら観てください。
映画をもう一本ですが、「メルシィ!人生」(Le Placard 2001フランス)というフランス映画なんですが、この作品は本当に良く出来たコメディーで本当にお薦めです!これはネタバレしてしまうよりも観て欲しいので内容話を少しにします。

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うだつの上がらない、平凡な中年サラリーマンで、奥さんに離婚され子供からも疎んじられているそんな男が主人公です。偶然に自分のリストラ話を社内のトイレで聞いてしまい、絶望から自宅マンションのベランダから身投げをしようとした時、お隣に引越してきたばかりの60才位のおじさんが彼の自殺を止めてます。人生が何もかも上手くいかない、妻子にも見放される、会社も解雇になる、だから死のうと思ったんだって事を話たら、そのおじさんは、じゃあ一緒にいい方法を考えようと。

そのおじさんのアイデアはゲイクラブでのおしり丸出しの誰だかわからない写真に主人公の顔を加工して会社に送りつけよう!!主人公をゲイだと思わせる作戦なんです。ゲイの社員を解雇したら差別だって事になるから大丈夫だっていうんですが、主人公は、自分はゲイのマネなんか出来ないよって言うんだけれど、マネなんかしなくていい、普通で大丈夫だからってアドバイスをして、作戦は決行される。

当然、会社中に噂が広まり、会議で社長にも知られてしまう。実は勤めている会社はコンドームを作っている会社で、ゲイの人間をクビしようものなら差別だってことになり不買運動とかになってしまうという流れで解雇は免れる。ここから物語はさらに・・・・・・。

この作品はコメディーとはこれだ!というくらい面白いんですよ。
主人公はアドバイス通り、普通に会社で過ごすので、ゲイを演じているという訳ではないのだけれど、自分に自信がついてきて、人間的にも成長してきてという落としどころがあって、ドラマとしても良く出来ている、ゲイに対しての偏見の部分もほとんどないんですよ。

一人だけ偏見を持っていて主人公を目の敵にしている上司が出てくるんだけど、偏見を治せと同僚に言われ、仕方なくゲイの味方であるようなフリをしていくなか、神経衰弱みたいな病になっておかしくなってしまう。その結果、自分の味方とは誰なんだ!本当の仲間とは、というような展開も、在り来たりじゃない者を考えさせられる。

学校のクラスの生徒や先生がゲイや、オネエだったり、というような話は今なら普通の話。映画の中では、ゲイだから解雇されないって逆さにとっているけど、実は相談していたお隣のおじさんも実はゲイで、自分は過去にゲイを理由に会社をクビになったってことが描かれている。昔はそういった時代だったんだね。

差別のことを言うと、今のアメリカでも黒人の青年射殺が問題になってデモが起きたりしている。白人が起訴されないのが問題で、それはおかしいでしょ?っていう。差別という問題はまだまだ解決していないし、根が深いよね。

「メルシィ!人生」ですがフランス映画だけあって洒落てるね。最近DVDで再販されたので、どこでも手に入るかと思うんだけど、本当にお薦めなので是非観てみてください。心がほんのりする映画です。

次回は漫画と映画を紹介しますね。

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