#21 みっつん流『勝ち組』に入るためのふたつのこと

 Comment  連載   みっつんのLondon Days              

 

「みっつんは長い付き合いの彼氏と同性結婚して、海外移住までして、さらには子どもまで持とうとしてる。ほんとゲイの中で『勝ち組』だよねー」
といった感じのことを言われたのは一度や二度ではない。しかし、僕は自分のことを勝ち組だと思ったことはないし、その前にその言い方自体が実は嫌いだ。しかし冒頭のようなことを言ってくる人たちは、僕に『勝ち組』に入るための秘訣を訊いてきたりする。普段そんなものはないと一蹴するだけなのだが、今日はそれをあえてお伝えしたいと思う。
***
一、『勝ち組』と『負け組』は存在しないと思うこと。
“『勝ち組』に入るためのふたつのこと”と銘打っておきながら、いきなりそんなもの無いというのは、このタイトルに興味を持って読み始めていただいた方を騙すような感じがしないでもないが、これに気づくのは大事なことだと思う。
そもそも、その勝ち組・負け組の定義ってなんだろう。結婚して子供がいると勝ち組なのだろうか? 30超えて独身者は負け組なのだろうか。しかし多様性とかダイバーシティとかいう言葉が叫ばれるLGBTのコミュニティの中では、まったくそぐわない感じがする。結婚すりゃいいってもんじゃないし、また違う尺度で言えば、職種や年収の多さで勝ち組・負け組を決めつける人もいる。
結婚して家庭を持ったり、長い付き合いのパートナーがいる人でも、いつも相手の文句を言ったり、生活に満足できずに文句をいっている人はザラにいるし、高収入の人でも会社と家の往復で疲れ切って不幸そうな顔をしている人もたくさんいる。勝ち組と言われている人たちが幸せか、というとそうでもない。幸せって誰が決めるのか?
勝ち組と負け組という言葉を誰が使い始めたかはわからないが、それを拡散させたのはメディアの力であろうことは、想像に難くない。そうやって人を分類して、カテゴライズして語った方が、聞いてる方がわかりやすくおもしろいのだろう。自分たち自身も、どこかに所属してしまったほうが安心感があるというのも一つの理由だろう。
しかし、他人の価値観で作られた勝ち組・負け組という概念のレッテルを持ち続けることは、自分らしい幸福を見つけることの妨げになると思う。最初から、勝ち組・負け組なんて言葉は誰か他人が作った妄想だと思っていれば、自分らしさを失うことがないし、人生に勝ち負けなんてないと思えば、あなたらしい人生の幸せが見つかると思う。きっとそう思えた時に、勝ち負けにこだわる人たちから、あなたは『勝ち組』だと言われるのかもしれない。
二、他人と比べている自分に気づくこと。
隣の庭の芝生は青く見えてしまうものだ。他人と比べるというのは、うまく使えば自分が成長するためにとても有効な手段だし、その為に人間に備わっている能力だとは思う。だから、比べるというのは悪いことじゃない。でもそれは自分が優っているとか劣っているとか、先取りしているとか遅れているとかを確認するための作業ではない。もう一度言う、人生に勝ち負けなんてない。
人間というのは誰一人として同じ人はいない。身体も顔、指紋ひとつとっても同じ人はいないのと同じように、性格や考え方も同じ人はいない。幸せの感じ方だって人によって違って当たり前だし、結婚や出産なんかのタイミング(年齢)も人によって違うし、仕事で成功することが幸せに感じる人もいれば、そうじゃない人もいる。人生の模範解答なんてないし、人生は一つとして同じものがないと言える。
違う言い方をすれば、隣の人を羨んだって、その人にはあなたの人生経験を味わうことはできないし、その人からしたらあなたの人生がとても幸せそうに見えるかもしれない。他人の人生を真似して追っかけたところで、それが手に入ったとき、あなたは満足できないかもしれない。もし満足したとて、他人と比べている自分の癖に気付かない限り、また他の誰かを見つけて比べて、他人の価値観によってまた一喜一憂することになる。そんなことをしている間に、本当に自分に合った幸せを逃してしまいそうだ。
かといって、なかなか身についた癖を落とすのはそう簡単ではない。やめようと思えば思うほど、それに囚われてしまいがちだ。だから無理にその癖を止めようと切羽詰らずに、そうしている自分に気づくことから始めるといい。『なんか今人と比べちゃったな』って気付き始めると、自然と自分本来の、あなたにしかない魅力が見えてきて、自分の庭の芝生が青いことに気づけるようになるはずだ。
***
なんだか偉そうなことを並べてしまったが、僕自身もまだまだこれを実践中。でもそれは勝ち組に入るためじゃなくて、これからも自分らしい選択を、自分で選んでいける人生を切り拓いていけたらなと思っている。

 

 2015/02/05 12:00    Comment  連載   みっつんのLondon Days              
Top