第13回 セックスの最中、余計なことばかり考えてない?

 

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セックスの最中、無意識のうちに余計なことを考えてしまう。彼とパコンパコンしている真っ最中なのに、「晩御飯に炊いたお米、まだ炊飯器の中に残ってたっけ?」とか口走って呆れられる。「せっかくいいとこだったのに、何考えてるんだよ!」と怒られては、「他の男のことを考えてないだけマシでしょ!」と逆ギレする。この調子では大喧嘩してしまうので、友達に相談してみた。驚いたことに、ほとんどの人がセックスの最中に他のことを考えていると教えてくれた。

同じように家事のような他愛のないことを考える人もいれば、相手にどう思われているのかが不安でセックスに集中できないという人もいた。ある友人は誇らしげにこう語った。「イケメンな人とセックスをしている間は、あとで周りにどう自慢するかしか考えてない。ツイッターに書き込むための140文字はセックスが終わるまでに頭の中で書き上げる。むしろ、ハメてる最中にツイートしたくてしょうがない。というか、こっそりツイートしちゃう。」それが冗談かどうかはわからないが、とてもリアルな話である。

ソーシャルメディアが世界を支配した今、美味しい食事を前にして食べないで写真をパシャパシャ撮ってインスタグラムしてツイートする客たちにレストラン業界は首を傾げている。スマホをやっと仕舞っても、料理はとっくに冷めてしまっている。そして、彼らはまたスマホを引っ張り出してソーシャルメディアにレストランのダメ出しレビューを書く。ソーシャルメディア禁止ポリシーを導入したレストランまで出てくる始末だ。私たちは、今この瞬間を楽しめない生き物になってしまったのだろうか?

子供はその瞬間その瞬間を必死に生きているとよく言われる。小さい頃、何かに夢中になれば日が暮れても気付かずに夢中のままだった。夏休みに友達と鬼ごっこでもやれば、もうそれしか頭になかった。それで何度母に叱られたことだろう。それでも毎回忘れて、母の怒鳴り声が聞こえるまで外で走り回っていた。オトナになればなるほど、後先を考えるようになって、周りの視線を気にするようになって、行動する前に結論ばかり探して、何かに夢中になることがどんどん減った。

結局、セックスの最中に余計なことばかり考える対策は見つからないまま、友人に誘われて瞑想を学ぶことになった。生まれてこの方一回も瞑想なんてしたことはなく、RPGゲームで瞑想すればHPが回復するくらいしか知識はなかった。言われたままに目を閉じて、肩の力を抜いて、自分の呼吸に意識を集中させると、普段は気付かないことをたくさん感じ取れた。息が入っては出て行く感覚。少し硬い椅子に座っているお尻の痛み。自分の周りにあるノイズ。普段は意識してないが確かにそこにあるものの多さにビックリした。

その授業の終わりに、講師からこんな宿題をもらった。「今夜のディナーをマインドフルに食べてください。」決して難しいことではなかった。食事だけに意識を集中させて、その感触、味、音、香りを楽しめばいいのだ。スマホは仕舞って、テレビも消して、昨日の失態も明日の心配も心の引き出しに仕舞って、目の前にある料理を一心に食べる。とてもシンプルなのに、すごく難しい。普段と何も変わらないはずなのに、その夜の食事はなぜか感動するくらいに美味しかった。

セックスも同じことだ。どんなに気持ち良い行為でも、他のことばかりに気を取られていては楽しめない。小腹が空いて後で何を食べようかと考えたくなるかもしれない。年末年始に食べ過ぎて肥えた腹周りを気付かれたらどうしようと心配もするかもしれない。そんな時は気を取り直して、目の前にあるセックスに意識を集中させよう。マンネリだったものが、フレッシュで刺激的なものにきっと変わっているはずだ。今まで気付かなかった感覚に痺れて、もう他のことは何も考えられなくなるかもしれない。

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