第85回 女性同士の恋愛コミックを訳した翻訳者、バッシングで国を追われる

 

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ほんと、同性愛って「ウチの国のものじゃないでしょ? 欧米の影響でしょ?」扱いされがちね。

シャランラーーーーン(黒バラ風)

まきむらよ。

毎週金曜、世界のニュースから性を考える時事コラム「まきむぅの虹色NEWSサテライト」をお送りしております。

今回のテーマは「女性同士の恋愛コミックを訳した翻訳者、バッシングで国を追われる」です。

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(La vie d’Adèle公式ポスター)

おととし、女性同士の焦がれるような関係を180分に渡って描き切ったフランス映画「アデル、ブルーは熱い色」が話題になりましたね。

見てくださいこのオシャンティなポスター。

さすがフランス先輩は期待を裏切らないぜって感じのこの作品、実は、原作はコミックなんです。

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原作コミックは日本語にも翻訳され、現在日本でも簡単に手に入る状態です。

が、同じ地球の上では大変なことが起こっています。

これをイランでペルシャ語に訳した作家さんが、なんと今、イランに住めないくらいの総バッシングを受けているんです!

★ 「同性愛の本を訳した」というだけで……イランの保守メディアが翻訳者を総攻撃
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(写真:Wikimedia Commons

「私は、母国に拒絶されたんです」

イランの詩人・作家・翻訳者であるセピデ・ジョデイリさん(写真)は、母国イランで受けた仕打ちをイギリスのメディアにこう語ります。

「私の詩集についてのイベントはキャンセルされ、イベントの主催者は解雇され、私の本を出した出版社は脅しを受けて営業許可を停止され、インタビューも撤回されました。

すべては、私がマロウさんの本(※訳注:女性同性愛を扱った「アデル、ブルーは熱い色」原作本のこと)を訳したことについて、メディアがひどいことを書きたてたせいです」

もはや“魔女狩り”とも表現される激しいバッシングの背景には、イランが依然として同性愛を犯罪扱いしていることがあります。

★ 同性愛者は死刑、しかし国はその事実を認めず
イラン国内で同性愛者とされた人には、むち打ち100回、ひどい場合には死刑が課せられます(参考:ゲイジャパンニュース英ガーディアン紙)。

死刑にされた人の中には、未成年もいました。2005年には16歳と18歳の少年が、同性愛の疑いで絞首刑に処せられています。

ただし、性別移行は法律で認められているため、たとえばレズビアンカップルの中には「どちらかが性転換して男性になれば一緒にいられる」と考えて、望まない性別移行手術を行う人もいるのだそうです。本当は、それぞれ女性の体で生きていたかったのに。

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(写真:pakutaso.com

こんなひどい状況は当然国際的非難を浴びていますが、これを受けてイランのアフマディネジャド大統領(当時)が言ったことがまたヤバかった。

同性愛者迫害なんかしていません。だって、イランに同性愛者はいませんからね

うわーお!!!!

そこにきて今回の翻訳者迫害事件があったものですから、もちろん「アデル、ブルーは熱い色」原作者のジュリー・マロウさんは、公式サイトに英語・フランス語の2ヶ国語で抗議文を発表しています。

口に真っ黒なガムテープを貼られた人が、それでもその上から真っ赤な口紅を塗るイラストを添えて。

★ 原作者「人が読み、書き、愛する自由を奪う気か」
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(写真:pakutaso.com

同性愛を描いた本を訳した。

ただそれだけでジョデイリさんが迫害され、母国イランに住めない状態まで追いやられたことに、原作者ジュリー・マロウさんは以下のようなコメントを発表しています。

「こんなことを黙って見ているなんて、私には耐えられません。これは、さらなる侵害です――私たちが書き、読み、対話し、そしてなにより愛することについての。私たちは今年、もっと、も・っ・と愛を必要とすることになるでしょう。

(※訳注……「さらなる侵害」「今年は愛が必要」とは、今年はじめに風刺新聞社に対するテロが行われたことや、その後のフランスでムスリム嫌悪に基づくと思われる事件が続発したことを指していると思われる)

もしあなたが、このような魔女狩り行為に反対するというならば、どうかセピデ・ジョデイリさんのことをみんなに広めてください、彼女は私に直接話に来てくれたのです。

イランでもどこでも、今回のメディアによるリンチには多くの同性愛者が深いショックを受けています。今回の事件の重みを感じている、すべての人たちとともに。

団結しましょう」

juliemaroh.comより抄訳)

今回のこと、日本人の私にとっても他人事じゃないと思うのよね。

同性愛に関する本を安全に出版することができる日本でも、

・今の自由は昔の人が戦ったからこそあるものだと感謝すること。
・まだまだ、同じ地球の上には今回のようなことが起こっているということ。
・そして、それを知ること。それについて話すこと。

というのが必要とされているんじゃないかと、私は思うのです。

この記事に対して、ツイッターやフェイスブックなんかで日本語支援コメントを書き込んでいただければ、私が責任を持って翻訳した上でご本人たちにお届けしようと思います。

把握を容易にするため、2015年2月末までに、この記事の下のfacebookいいねボタン&シェアボタン&ツイートボタンを利用して書き込まれたコメントを対象にします。

そうしたらこの件が日本でも広まるし、私のこの記事もより多くの方に読んで頂けるしね、ウフフ! 恐縮ながらそれぞれ個別にお返事はさしあげられないのですが、SNSやってない人は、ブログのメールフォームから送って下さってもいいわよ(匿名可)。

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ちなみに、イランで圧力をかけられ出版できなかったペルシャ語版は、パリの出版社の協力を受けてKindleで発売されたのだそうです。国際化・IT化の素敵な面ね。これからも色んな意味で、ひとりひとりが責任ある自由を生きられる時代になるといいわねって思います。

ということで、「まきむぅの虹色ニュースサテライト」今週も読んでくださってありがとうございました! また来週金曜日にね。まきむぅでした◎


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