第86回 男性から卵子をつくることが可能に? 彼の子を望むゲイ男性からは喜びの声も

 

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今この瞬間にも、科学は進んでいるのよね。

まきむらよ。

毎週金曜、世界のニュースから性を考える時事コラム「まきむぅの虹色NEWSサテライト」をお送りしております。

今回のテーマは「男性から卵子をつくることが可能に? 彼の子を望むゲイ男性からは喜びの声も」です。

★ 男性からも卵子ができる!? ケンブリッジ大の研究者ら語る
★ 今回の技術で、たとえば誰が自分の遺伝子を継ぐ子を持てるようになるの?
★ LGBTメディアでも賛否両論……向き合うべき課題とは?

以上の流れでお届けします!


★ 男性からも卵子ができる!? ケンブリッジ大の研究者ら語る
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写真:PAKUTASO

お肌から、精子と卵子ができるんですって。

そんな技術が、アメリカの権威ある生物学専門誌「Cell(セル)」に発表されて話題になっています(元記事はこちら)。

この技術は、イギリスのケンブリッジ大学とイスラエルのワイツマン科学研究所の共同研究チームによるもの。

それだけでなんかすごくすごい感じがしてきますが、だからといって、

「お肌から精子と卵子!? 握手で妊娠しちゃうかもってこと!?///

という話ではありません。

今回のお話は、あくまでもこういうことです。

“皮膚から作った多能性幹細胞(=大体何にでもなれる細胞)を、精子や卵子の前駆細胞(=もうちょっとで精子や卵子になれる細胞)にまで育てることに成功した”

つまり、ヒトの皮膚から卵子や精子のもとを作ったって話であって、まだ精子や卵子それ自体ができたわけではないってことね。

ですがそれだけでも、今回のことは注目されています。

研究が進めば、より多くの人々に、自分自身の遺伝子を継ぐ子どもを持つ可能性が開かれるんです。


★ 今回の技術で、たとえば誰が自分の遺伝子を継ぐ子を持てるようになるの?
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写真:PAKUTASO

そもそも「なぜ血の繋がりにこだわるのか、養子を育てるべきでは」などというお声もあることでしょうが、あくまで“たとえば”のお話として、今回の技術は以下のような方々に可能性を開きます。

(1)いわゆる性別適合手術などで、生殖器を摘出したトランスジェンダー
理論上、本人に精巣や卵巣がなくても自分自身の精子や卵子をもてるということになります。

(2)不妊や高齢出産のリスクに悩む人々
今回の技術をもってすれば、たとえば無精子症の方の皮膚から精子を作ることができるなど、不妊治療の幅が広がるでしょう。また、この技術で作られた精子や卵子には、いわゆる「精子/卵子の老化」がありません。(出典:ネイチャー

(3)男性同士のカップル、XY染色体を持つ人同士のカップル
男性同士のカップル――もしくは、XY染色体を持つ人同士のカップル――は、あと2年ほど研究が進めば、双方の遺伝子を継いだ子どもを持てるかもしれないと言われています(出典:インターナショナルビジネスタイムス)。

現在の課題は、大きく分けて3つあります。

  • 卵子のもとになる細胞を卵子になるまで育てるために卵巣が必要とされること
  • 出産のためにいわゆる代理母が必要とされること
  • これらにまつわる、法律や倫理面での話し合い

以上を含めれば、2年以上かかることもあるかもしれませんし、技術が実用に移されないということもあるかもしれません。

(4)女性同士のカップル、XX染色体をもつ人同士のカップル
女性同士のカップル――もしくは、XX染色体を持つ人同士のカップル――については、上記に加えてもうひとつ課題があります。

それは、精子を作るためにY染色体が必要とされるということです(出典:ネイチャー)。

Y染色体は、ほとんどの場合、いわゆる男性がもつものです。もちろん性別は染色体だけで決まるわけではありませんから、世の中にはY染色体をもって女性として生きる人もいます。ですがその場合を除き、基本的に、いわゆる女性から精子をつくる方が、いわゆる男性から卵子をつくるより難しいのです。

……ということで、

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写真:PAKUTASO

やっと彼と自分の子が……!?

って、やや気が早いながらも喜んでいるゲイ男性の方もいらっしゃいます。が、もちろん、この技術にいわゆるLGBT全員が賛成しているというわけではないんですよ。LGBTって言ってもいろいろいるんだからね


★ LGBTメディアでも賛否両論……向き合うべき課題とは?
今回のニュースは、PinkNewsはじめ一部のメディアで、「もうすぐ同性カップルも(双方の遺伝子を継いだ)子どもを持てる!!」的なややはしゃいだ報道がなされています。

が、LGBTであるかないかに関わらず、この技術には人類として向き合うべき課題があるわよね。

主な課題として、

  1. この技術で生まれた子が先天障害で苦しんだ場合、誰がどう責任をとるというのか?
  2. 卵子や精子が、本人の知らないところで作られてしまったらどうするのか?
  3. 親権や出自を知る権利など、関連する法律をどう整備するのか?
  4. 不妊に悩むお金持ちが貧しい女性を代理母にするような、経済的格差にまつわる問題をどうするか?

といったことが挙げられるでしょう。

さて、あなたはどう思いますか? よかったらご意見やご感想を、ツイッターやfacebookにご投稿くださいね! この記事の下のボタンからご投稿いただけます。

ということで、「まきむぅの虹色ニュースサテライト」今週も読んでくださってありがとうございました! また来週金曜日にね。まきむぅでした◎

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