第5話 日本未公開、昨年末話題となったコメディ映画の見方

※超ネタバレ注意(編集部注)

今回は、先日タイに行って来た時に上映されていたので、噂の日本未公開映画「ザ・インタビュー」(THE INTERVIEW/2014年アメリカ)の話をしたいと思います。この映画は、昨年ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)が大規模なサイバー攻撃を行ったとされる集団から脅迫を受け、上映を中止すると一旦は判断しました。しかし、米国は「表現の自由を妨げてはならない」と言論の自由と芸術的表現の権利を重んじる国ということで上映された映画です。

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この作品は、おそらく日本では上映されないだろうから、完全ネタバレで内容を話しますね。オープニングで北朝鮮の少女が国家(アメリカの悪口も含む)を称える歌を民衆の前で歌っている背後から、テポドンのようなミサイルがドドドドドっと飛び立っていく。これは面白そうかな!? って冒頭シーンを観ただけで思いました。舞台はアメリカに変わって、人気トーク番組「スカイラークトゥナイト」の司会者デイブとプロデューサーのアーロンのおバカコンビ(本作品の主人公たち)が登場します。この架空のトーク番組はいろいろな出演者に衝撃のカミングアウトをさせて盛り上がるといった内容で、例えばラッパーのエミネム本人が実はゲイですとか、俳優のロブ・ロウ本人が実はハゲだったとカツラを外したりとか、カミングアウトさせるといった番組なんです。しかしあることがきっかけでアーロンはリアルな報道をしたいとデイブに持ちかけそれを承諾してもらいます。そんな最中、デイブが北朝鮮の最高指導者の金正恩が自分達の番組のファンと言うことをWEBニュースで見つけて、びっくり仰天。是非、番組でインタビューさせて貰おうとコンタクトを取り、紆余曲折を経てインタビューのOKが出ます。作品中の多くはデイブとアーロンが繰り広げるジョークとFワード満載でセリフ劇としても十分面白いですよ。

さて、金正恩のインタビュー許可をもらったことを嗅ぎつけたCIAは金正恩の暗殺を彼らに依頼し、2人も渋々承諾しなくてはならない状況に。いざ北朝鮮に乗り込むという訳です。平壌に到着した2人を歓迎セレモニーが迎えます。北朝鮮側は世界で報道されているような貧困もなく豊かな国だと、2人に町を見せていい国なんだと思わせるんだよね。そして、このコンビのおバカなやり取りが始まります。デイブのせいで暗殺アイテムを奪われるわ、急遽、在韓米軍基地から暗殺アイテムを無人飛行機で送ってもらうは、アーロンは虎に襲われるは、暗殺アイテムが入った極太カプセルを尻の穴に隠すわともうドタバタ(笑)。

翌日、デイブファンの金正恩が、突然デイブの銅像を持って朝食を誘いにくるんです。そして金正恩は自分の外車コレクションを見せるんですが、デイブが気に入ったのはその中にあった一台の戦車で、金正恩が言うんです、「おじいちゃんがスターリンに貰った」って(笑)。それから、デイブが戦車の中で、とあるスイッチを押すと、ケイティー・ペリーの曲が流れてデイブも金正恩も彼女が大好きで音楽をガンガンかけて戦車もガンガン走らせて大砲まで撃っちゃう。そして金正恩とデイブは2人でバスケットボールをしたり、喜び組(?)との楽しいパーティで意気投合。この2人に友情みたいなものが芽生えてしまいます。デイブはアーロンに「金正恩の暗殺は出来ない、世界で報道されているような人間ではないし、いい奴だから暗殺を止めよう」と話しますが、「いやいや殺さなきゃ! その為に来たんだから!」と揉めてしまいます。さらにアーロンが金正恩への暗殺チャンスがあったにも関わらず、デイブがそれを阻止してしまったりするのですが、あることをキッカケにデイブは金正恩というか北朝鮮という国の嘘に気づきます。今まで見せられていたもの、聞いていたものが、実は真っ赤なウソだったと……。

一方の、アーロンは案内や通訳をする北朝鮮女性軍人と良い仲になっちゃうんですが、そんな彼女は実は革命派で事情を説明し味方につけてしまいます。いよいよインタビューの当日、金正恩に騙されていたと気づいたデイブは、最初から決まっていた質問以外出来ないという制約を無視して、今まで自分の番組でやってきたような巧みな話術で金正恩がカミングアウトするような形をしかけていきます。そうすると最初は強がっていた金正恩も「父親の威光なんていらないんだ、自分は強い人間なんだ」と言いながら子供のように泣き出す始末。もはや絶対的指導者の姿はありません。北朝鮮やアメリカに生放送されているので、北朝鮮の軍隊は中止させようと試みるんですが、アーロンと味方になった女性軍人がなんとか放送室を乗っ取り、最後まで乗り切ります。

しかし、インタビュー現場では、金正恩が「俺を騙したな! こんな醜態を世間に見せて!!」とデイブを怒り狂ってピストルで撃ち殺すんだけど、実は防弾チョッキを着ていたので金正恩がその場を去ったあと、すっと立ち上がってカメラの前で番組おなじみのセリフを決める。最終的には脱走劇の展開となり、戦車を奪い取って攻撃してくる相手を踏み潰しながら逃げるんですが、金正恩が「スカイラーク!」と叫びながらヘリで攻撃してきます。さらに核ミサイルを撃ってしまえと、核戦争が始まりそうになるんですが、発射寸前で戦車の大砲で金正恩が乗ったヘリを撃ち落とすことに成功。結果、殺害していまう、という話です。

ラストは金正恩体制が消滅し北朝鮮に革命が起きて、ごく普通の国になりましたという話なんです。最初は金正恩が殺されないで、今までを悔い改めてまともな国になるかと思ったんですが、そうきたかと思いましたね。この作品、金正恩自身がそんなに嫌な人間として描かれているわけでもなく、人間くさくいい感じに描かれているんです。金正恩が泣いてしまうように、実は彼は自分がたいした男じゃないという事が嫌だったのか、殺されるというのが嫌だったのか、どの辺がどう引っかかったかと知りたくなるようなコメディ作品でした。日本には様々な問題があるので、このまま未公開かもしれません。どこかでチャンスがあれば観てくださいね。

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最後に余談ですが、映画先進国と言えば、アジアの中では実はタイが先進国なんですよ。日本より早くシネコンが出来たし、街中に映画館がありますから。ぜひタイに行ったら一度は映画館に入ってみてください。天井高く日本より迫力がありますから。あと、現地の映画館に行くとわかるんですが、本編が始まる前に予告編とかの最中にタイ国王を称える映像が2分位流れます。しかも全員、脱帽&起立の姿勢で。タイの人は国王を敬っているんだなってとても感じました。その時は外国人も立たなければ怒られますのでご注意を!

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