第27回 近頃少し、虚勢のオトコに飽きたところよ。嗚呼!

また来ちゃった、松山。
松山、けっこう好きなのよねぇ。

そう、お恵ちゃんこと松山恵子さん!(違う)
いくらBBAのアタシでも、リアルタイムで黄金期を知るわきゃないのですが
懐メロ番組で30キロの巨大フリフリドレスを着こなすお姿を拝見するたびに、
紅白でのあゆさんはこの人の後を継いでるんだなー(ドレスセンスだけ)と思ったものです。

ちなみにお恵ちゃんのディスコグラフィーには『キュッキュ節』というのがあるのですが、
Wikipediaによれば、「♪キュッキュキュッキュ」という合いの手が卑猥で放送禁止になった歌なんだとか。
そういや昔、ユルそうなオカマ姐さんを、どうせガバマンなんでしょぉとディスったら
「失礼ね! アタシはキュッキュマンだよ!」と返されたくらいで、
「キュッキュ」という擬音は、下の口の開閉運動サービスを連想させるのね。

近年のオカマ界では、デブをガチムチ、ガバガバをトロトロなどと言い換える
ポジティブシンキング・ムーブメント(ピンチをチャンスに変えるの!)が盛んではありましたが、
そろそろ、トロトロ派に押され気味だった下のお口堅めな皆さんも、出会い系プロフィールなどで
「張りとコシのあるキュッキュマン」をアピールされてはいかがでしょうか。
きっと、天国からお恵ちゃんも合いの手入れて応援してくれるはず!(しねえわ)

とまずはお約束の名前ボケと横モレ話題をかましつつ、

週末、愛媛松山で開催されたゲイナイトに出演してまいりました~。
佐賀からお呼ばれしたサセコさんと、東京からのアタシが松山で合流して、
久しぶりのデュオでの、温泉街ピンク営業!(ピンクレディーショウやりました)

明菜モノマネ女装の生森明菜さんらも参加した
『あなたの知らない世界』と題されたパーティーだったのですが(多分アタシとサセコさんは色情霊担当)、
まずは会場に到着した途端に、旧知の松山ゲイバーのママから
「ブルちゃん、これに出るなんて、騙されてるわよ!」と脅されての幕開け。

さっそくイベントオーガナイザーでもあるゴーゴーボーイさんが、オープン時に
東南アジアのセクシー出稼ぎ姉さんみたいな女装をしていたのを見て、
そ、それはゴーゴーとしては大変リスキーな行為なのでは、とさらに不安に。

DJさんのプレイから、現地女装さん含めたショウ音源まで、一晩じゅう
全曲完全JーPOPのみという、ある意味旬の愛国心あふれる空間の中、
締めのショウは、頭に紅葉を乗せた地元のぽっちゃりおじさん女装が回転板に乗ってグルグル廻り、
その後ろに並んだオールキャスト女装と共にユーミンの『春よ、来い』を歌うというものでした。
こりゃぁ春、来なさそうねー。
でも明け方、お客さんが一斉にポイポイダンスをやりちぎる勢いは、
あやまん監督に「あんたまだ愛されてるよ!」と見せてあげたいくらいの光景でしたし、とにかく皆さんお元気なのね。

ダメ押しで、オーガナイザのゴーゴーさんと大トリのユーミン女装さんがカップルだとも聞いちゃって。
ゴーゴーと女装の変態ホモ夫婦が、こんな頭のおかしい空間を松山で作ってるんだわ、
としみじみと感じ入り、帰り際にお二人に色紙を渡されサインを求められた時には
「あなたを知らないままでいたかった」と添えさせていただきました。成仏してください(失礼)。

いやね、つい意地悪に書きましたけど、アタシは地方都市のゲイナイトって、たいてい好きだし、ホッとさせていただくんです。
もう15年くらい全国各地にお呼ばれいただいてますが、東京大阪のように平日でもゲイパーティが開催されている場所とは違うわけで、半年~数年に一度の「祭り」を、お客さんがみんな全身で楽しもうとしているし、
地域切りしてる分、年齢体型の幅も広がり、いろんなゲイが集まれているんですよね。初々しい喜びがある。

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都市部のゲイコミュニティのクールさは、大事なカルチャーだと思う反面、
同じジャンルの人だけで集まり、その中で「かっこよさ」のヒエラルキーを作り上げ、
競争に負けないように虚勢を張り続けるしんどさも見え隠れします。

たとえばヤンチャだったノンケ兄さんがデキ婚をして父ちゃんになったり、
恋愛禁止だったアイドルが卒業して泥酔尻出しをしたりと、
人生における明確なターニングポイントがあれば人は変われるんでしょうが、

都会の夜遊びゲイたちってのは、20代だろうが40代だろうが、いつまでたっても社交場でモテたいゴシップガールのまま、になりがち。
若さやビジュアルがあまりにも重視され過ぎているコミュニティでは、
その価値観が、自分を磨く原動力にもなる一方、そうあらねば負け、という強迫観念にもなりやすいと思うのね。

クールでオシャレなのはもちろんステキなことだし、
美魔女気取りなオカマをネタっぽくやれてるうちはいいけれど、
どこかで「それはそれ、価値の1ジャンル」という風に開き直っておかないと。
ダサさや老いを否定しすぎる心は、いつか自分に返ってくるもの。
オワコンを笑うものは、自身がオワコンになる恐怖に泣くのよ。

と、またまたBBAの恨み節を吐いてしまいましたが、
ゲイはビジュアル至上主義の新しもの好きであると同時に、
古いディーヴァや女優を愛し続けられるセンスがあるのも事実。

アタシも、ゲイナイトでは若いお客さんに迎合して、セクシーゾーンのショウもやるけれど(それで迎合できてるつもり)、
しつこく、いつまでもピンクレディーでもあり続けたいとも思うのでした。

近頃少し、虚勢のオトコに飽きたところよ。嗚呼!

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