【映画】『パレードヘようこそ』公開を記念したシンポジウムレポート

同性カップルに「結婚に相当する関係」を認める条例を東京都・渋谷区が施行して、日本でもセクシャル・マイノリティへの理解や同性婚の法制化が進んでいる。そんな中、1967年まで同性愛が処罰の対象だったイギリスで、LGBTが自身の尊厳と社会的な地位向上をかけて活動した感動の実話をもとにした映画『パレードへようこそ』が、全国で封切られた。昨年カンヌ国際映画祭でクィア・パルム賞を授賞した本作の本邦公開を記念して、映画の試写とLGBTの今後を考えるシンポジウム(主催:明治学院大学サークル「カラフル」)が先月開催された。

【『パレードへようこそ』ストーリー】

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舞台は1984年のイギリス。サッチャー政権は不況の解決策として国営産業だった炭抗の閉鎖へと追い込みをかけていて、炭坑労働組合と警察が激しく衝突していた。そのニュースを見たロンドンに住むゲイの活動家マーク(ベン・シュネッツァー)は、すぐに仲間を集めて「自分たちと同じ社会的弱者である炭坑労働者を助けよう」と訴え、募金活動を立ち上げる。しかし彼らがゲイの活動家だと知ると、どの炭坑町からも寄付の申し出はことごとく断わられる。そこに、勘違いから唯一寄付を歓迎してくれた炭坑町が現れ、マークたちは「寄付金のお礼に」と村に招待される。こうして、田舎の炭坑労働組合と、都会からやってきたゲイの若者たちが出会うことになるが……。
【シンポジウム】
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シンポジウム登壇者(写真左から):石川大我氏、宮地基氏、小川チガ氏、山縣真矢氏、杉山文野氏、倉光ちひろ氏、関谷隼人氏。会場には平日にも関わらず、マスコミ関係者以外にも多くの来場者が参加した。

シンポジウムの司会をつとめたのは、前豊島区議会議員で、LGBTの若者を支援するNPO法人「ピアフレンズ」の創設者でもある石川大我氏。「この映画はとても温かい気持ちにさせてくれる。何回か観ているけど、思い出し泣きしてしまいそう」と映画の感想から口火を切った。

特定非営利活動法人ReBit副代表理事で、FtMトランスジェンダーパンセクシュアルの関谷隼人氏は、本作のクライマックスである「レズビアン&ゲイ・プライド・マーチ」のシーンを振り返って、「これまでどういう経緯でパレードが生まれたのか何も知りませんでした。単に行くと楽しめる場所という認識だったけど、この映画を観て、こんな背景があったんだと感動しました。勉強にもなったし、いろんな人がいろいろな思いで積み重ねて来た歴史があって、今のパレードがあるんだなと思えました」と話した。

東京レインボープライド」の共同代表を務める山縣真矢氏と杉山文野氏の2人は「今年のパレードが盛り上がるぞ! と思える、素晴らしい映画でした。東京レインボープライドは、10年後には10万人規模のパレードを目指したい。東京以外の地方での運動にも協力していきたい」などと抱負を語った。

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ちょうど80年代後半をロンドンで暮らした経験を持つ新宿二丁目のバー「GOLD FINGER」のプロデューサー・小川チガ氏は、「当時ロンドンの勤め先でおじいさんから『あなたにはボーイフレンドがいるの? ガールフレンドがいるの?』と尋ねられて感動しましたね。いつか日本でもそれくらいLGBTが珍しくない社会になったら嬉しい」と話していた。

明治学院大学法学部教授の宮地基氏は、「いまの日本で言うなら、LGBTの活動家が、反レイシスト運動を支援するというところでしょうか」と解説。映画のテーマである個人を越えた「連帯」について、「マイノリティは実はマジョリティ。ほとんどの人は何らかのカテゴリーでマイノリティなんです。性的指向、身体障害、難病、民族や、(自身を指して)はげ頭でマイノリティの人もいる。だからと言って(それを理由に)社会で不当な差別を受けてはいけないんです。政治的な意見はさまざまだと思いますが、少数派の人々が苦しんでいるときに、立場を越えてお互いに理解し支援できるかどうか。他のマイノリティの人たちと連帯してマジョリティになれば、法制度も変わるし、日本の社会も変えて行けるはず」と話した。

シンポジウムの主催者である明治学院大学LGBTサークル「カラフル」の倉光ちひろ氏は、「最初、映画見た時は感動しすぎて言葉が出なかったです。LGBTであることをカミングアウトできる場所や、受け入れてもらえる環境づくりってほんとに大事だなと思いました。映画の中ではパレードや支援に関してお互いに意見を潰し合うのでなく、お互いの違いを活かして話し合う、共存を目指すシーンが多くて私達も見習うべきだなと思いましたね」と話して締めくくった。

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パレードへようこそ
4月4日よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開中!
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