第29号 いまこそ法律の制定を求めて「LGBT法連合会」発足

4月ーーこれからも「老後の新聞」の連載を続けさせていただくことになりました。月の前半でお届けしていた「もしもに備えるー同性カップル編」はひとまず先月で終わり。今月からは、性的マイノリティならではの「老後」「エイジング(年を重ねること)」をテーマに、そのときそのときの話題をお届けします。
今後とも役立つ内容、バランスのとれた、信頼できる記事を心がけていきますので、ご愛読のほどお願いします!

コミュニティではさまざまな人が活動している!

さて、この春、最初の話題は、いわば性的マイノリティ支援のための基本法制定を求める「LGBT法連合会」が発足した、というニュースです。4月5日(日)、東京都中野区内の公共施設で開かれた発足会に、賛同団体の一つ(NPO法人パープル・ハンズ)および記者としても参加してきました。雨模様の日曜でしたが、会場は50名近い参加者でいっぱいでした。
  *性的少数者:支援法制定へ連合会(毎日新聞)
法整備目指し全国連発足 結婚、労働…性的少数者の力に(中日新聞)

この連合会の正式名称は「性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会」。これまで行政や議員(国会/地方)へロビーイングをしてきた6団体が連合して結成しました。いま、全国各地の団体へ賛同を呼びかけています。
ここで結成団体を当日のご挨拶順に紹介しましょう。私たちのなかにはいろいろな活動に取り組んでいる仲間がいることを、感じてもらえたら幸いです(ウェブやツイッターなどもぜひご覧ください)。

NPO法人EMA日本(いーまにっぽん)
イクオリティ・オブ・マリッジ、婚姻の平等(同性婚)の実現を目的に活動しています。これまでネット署名を集めたり(6600筆)、各界の著名人や政治家に働きかけて賛同人になってもらっています。同性の婚姻保証がなぜ必要か。カップル間での介護休業の保証、レズビアンカップルなどでお互いの連れ子に対する権利、またパートナーの一方が経済的に困窮したときの税の配偶者控除や社会保険の扶養がないなどの困難を聞いています。もちろん世界的な趨勢にもかかわらず、先進国でありながら日本だけが取り残されている現状も変えたいと思っています。(寺田さん)

NPO法人共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク(共生ネット)
ピアサポート(当事者による悩み相談)の活動者が集まって2008年に立ち上げた団体です。さまざまな人の困りごとを聞き、相談支援しながら、それを行政や社会に伝える(講演や研修、申し入れ)などのアドボケイト(代弁活動)を行なっています。私たちが聞いている悩みは本当に多く、貧困、孤立、暴力、自傷・自殺……とさまざまです。生きづらさに悩む人びとへの対策に取り組む基本となる立法を整備してほしいと願っています。(原さん)

特別配偶者法全国ネットワーク事務局(パートナー法ネット)
日本では、まだ婚姻に同性を含めるのには無理があるかもしれません。そこで、同性パートナーにも婚姻と同様の権利を与える、婚姻(民法)とは別の「パートナー法」を目指して活動しています。昨年には学者らとの協力で、その草案を作成・発表しました。私のパートナーはニュージーランド人で私も同国と行き来していますが、ニュージーランドではパートナー法制定のまえに差別禁止法ができ、男女・同性にかかわらず事実婚の扱いが進み、それがシビル・ユニオン法や同性婚法につながりました。この連合会で目指す法整備で、日本にも同様の道筋ができてくれると嬉しく思っています。(池田さん)

LOUD(ラウド)
中野区内のアパートで、レズビアンをはじめとするセクシュアルマイノリティや支援者(アライ)のためのコミュニティスペースを、1995年から運営してもう20年になります。複数団体の共同事務所、ライブラリー(図書室)、交流スペースなど、いろいろな目的で使用されています。毎月の交流会にはいまも「はじめて自分以外のレズビアンと会う」という人が、勇気を振り絞って訪れてくれます。こうした活動のかたわら、講演や行政・議員への申し入れにも取り組んでいます。(大江さん)

レインボー金沢
2011年に発足し、交流会や勉強会を定期的に開催しています。出会いの少ない地方の貴重な場として、これまでのべ300人の参加がありました。そのかたわら、社会状況改善のために行政などに働きかけています。成人式で若者に配布されるパンフレットに性的マイノリティの情報を紹介してもらったり、県職員などの採用に使用されている心理テストに性的指向を訊ねるようなものがあることを問題視して改善を申し入れたりしています。地方での活動は地元の力だけでは難しい面もあり、全国の仲間と協力し、メディアの力も借りながら取り組みたい。地方にもセクマイは暮らしている、そのニーズにも気づいてもらうため、ご当地団体として参加しました。(岩本さん)

以上の5団体のほかに、「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」も参加しています。当日は登壇予定者が体調不良で欠席のため挨拶はありませんでしたが、教育・若者の支援に取り組んでいる団体です。

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発言する各団体のみなさん。奥からEMA日本、共生ネット、LOUD、レインボー金沢の各団体。パートナー法ネットのかたは、ニュージーランドからスカイプ中継で参加してくれました。フロア側にもさまざまな団体やメディア記者が参加し(仙台からもスカイプ中継)、会場は熱気に包まれました。レインボー金沢さんは、新幹線の開通で上京が楽になった、と(笑)。

議員主体ではなく、あくまで当事者主体の立法を

さて、この6団体による連合会ができた経緯とは、どのようなものでしょうか。

2009年の政権交代で民主党政権ができたとき、多くの当事者が期待を寄せ、ロビーイング活動も行なわれました。民主党内にも性的マイノリティ小委員会ができ、政府文書である自殺総合対策大綱の改訂では、性的マイノリティ等、関連の分野においても連携する旨の記述が入れられるなど、一定の成果が見られました(自殺総合対策大綱 7〜8ページ参照)。
その後の再びの政権交代で、与党となった自民党にも性的マイノリティ問題に取り組んでくれる議員がいるのか、さまざまなツテをたどり、4人の自民党議員と交流が始まりました。一方、野党となった民主党でも多様性推進のなかで性的マイノリティに取り組む声も聞かれ、さらに両党以外の政党にも話を聞いてくれる議員も出て、国会質問などにも取り組んでもらいました。

昨年秋からは、2015年に行なわれる国勢調査で、同性カップルを「世帯」と答えた場合エラーになる問題に対して、今回の6団体で所管の総務省に申し入れをし、同省からも「真摯に受け止めたい」という回答を得るなど、活動を継続していました。
そこへ今年になって、渋谷での新条例の動きです。メディアその他での関心の高まりは、当事者の予想を超えるものでした。
国会議員の動きも急展開し、超党派の国会議員約30名による国会議員連盟が発足しました。「2020年東京五輪・パラリンピック大会を前に、LGBTの権利擁護を進めることで、国際オリンピック委員会(IOC)や大会組織委員会が掲げる多様性のある社会の実現を目指す」(毎日新聞)と報じられています。

これまでロビーイングなどに取り組んできた当事者としては、事態の急展開に感謝しつつも、当事者を置き去りに議員主導で進められることには疑問もあります。これまでの国勢調査への申し入れのみならず、いわば性的少数者の課題に対する対策基本法的な立法を視野に入れ、総合的な政策提言を考える団体としてバージョンアップ、「連合会」を結成した、とのことでした。

つづいて、今後どのような法整備を求めていくのかの検討の基礎として、当事者たちがどのようなことに困っている/困ることが予想されるのか、「子ども・学校」「職場」「高齢期」「生涯」「当事者の周囲への支援」といったジャンルからピックアップされた259項目にわたるリストが紹介されました。その内容は多岐にわたり、ここで詳細に紹介しているスペースもありませんが、高齢期の課題としては、介護や高齢者施設での配慮不足、パートナーが家族/遺族として対応できない、相続や葬儀時のトラブルなどがあげられていました。
現在の法制度や諸手続きは、性別は男女のみ(性自認)、恋愛対象は異性のみ(性的指向)という意識から、そこにあてはまらない人びとの存在が想定されず、当事者に困難を強いています。同時に、そのような法制度が、人びとの意識をさらに強化してしまっています。今後、法制度も多様な性的指向や性自認がある現実をふまえていくことが必要、とのまとめが示されました。

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何ページにもわたる(裏表ビッシリ)、困りごとリストのまとめ。これらを取りまとめた連合会のみなさんにも感謝です。

これまでの取り組みや各地の条例を生かして

最後に、今後の連合会の活動について、事務局から説明がありました。まず、この連合会は全方位・超党派・等距離の原則で活動し、特定政党や政治家とのみ付き合うのではないことが強調されました。性的マイノリティの問題は、党派を超えて取り組んでいただかないといけないからです。
運営は、4月末をめどに今後どういう立法を求めるのかの骨子を作り、コミュニティでの意見交換の場を設け、5月には当事者案として発表したいスケジュールが示されました(変更の可能性はもちろんあり)。
その際、人権、子ども・若者、男女、自殺対策、セクハラ・DVなど、これまでの当事者の取り組みや獲得点もいろいろあり、また今回の渋谷以外にもすでに性的少数者に言及した条例や施策も全国にさまざまあります。それらを踏まえ、視野に入れて、取り組んでいきたいとの表明がありました。
自殺やいじめ対策がまさにそうですが、この問題は「待ったなし」の情況。みなさんのご支援、ご注目をお願いしたい、とのことです。

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性的指向および性自認を理由とする困難を解消する地方自治体の施策。条例や基本計画などが、じつは多くの自治体で策定はされているのです!(裏面にもビッシリ)

事務局からの報告につづきフロア(一部スカイプで)からも、れ組スタジオ・東京ぷれいす東京Re-bitRFC(レインボーフォスターケア)東北HIVコミュニケーションズの各団体から賛同の挨拶がありました。これから東京レインボープライドの期間になり、各地の団体も顔を合わせる機会が増えるでしょう。賛同団体への呼びかけも広がっていくのではないでしょうか。

また、つぎのような連続学習会が開催されています。とくに議員会館での学習会は、議連の議員等へのアピールも兼ねているのでしょう。個人のかたも参加できます。多くの参加で私たちの熱気を伝える場となればと思います。


 第3回 国連とLGBT
4月13日(月) 19〜21時
東京都文京区本郷1丁目35−26 石水ビル 6階【MAP
講師 谷口洋幸氏(高岡法科大学)

第4回 多摩市女と男の平等参画を推進する条例とLGBT
4月17日(金) 18〜20時
衆議院第2議員会館
講師 浅倉むつ子氏(早稲田大学法学部)

第5回 LGBTに関する日本の裁判例
4月23日(木) 18〜20時
衆議院第2議員会館
講師 永野靖氏(弁護士)、山下敏雅氏(弁護士)

第6回 イギリスのLGBT差別禁止法制
4月28日(火) 18〜20時
議員会館(場所未定)

いずれも資料代1,000円必要
問合せ:LGBT法連合会 事務局(担当:綱島) tuna@lgbtetc.jp


歩み出した「LGBT法連合会」、ぜひみんなの力で国の法律レベルでの達成を得ていこうではありませんか。

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