Vol.3 海外の女装文化ってどうなってるの?[アジア編]

日本が誇る特別な文化、「女装」。国内にいると気づかないのですが、実は世界的に見ても稀有な発展を見せているんですよ。

そこで、女装趣味を持つ海外の友人に自分の国の女装文化についてインタビューをしてみました。まずはアジア編です。どうぞ!

■インタビューに答えてくれたのはこの人たち!

台湾の友人/小鳩 (以下P)
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Ladybeardの台湾イベントに来てくれた時に撮影(写真中央)。

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写真中央左側。2013年に開催した立花奈央子の個展「巡回展in台北 百合男子」で、写真集「ゆりだんし」のモデルになったほかの女装者と一緒に。

香港の友人/Christina(以下C)
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香港の友人/Karen(以下K)
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ーあなたの国は、女装に対して寛容だと思いますか?
「近年は漫画とアニメの影響で、サブカルチャー界での認知度が高くなりました。日本と同じように、コスプレを通じて女装を始める人もいます。でも、代表的な人物はまだいません。一般的にはまだネガティブなイメージが多いですが、中立的な報道も見られます」(P)

「女装は香港では非常に厳しい目を向けられています。中国の保守的な文化は、社会のさまざまな側面に目を向けることがなくメディアは彼らの利益のために偏った報道をします」(C)

「ほとんどの人にとって、女装はとても奇妙な行為に見えてしまうようで、受け入れてもらえません。女装をしたくても、夜間、コスプレイベント、コンテストくらいでしかできません」(K)

ー女装姿で外出することは、危険を伴いますか?

「もし女性になりきることができなくても、特別な危害を加えられることはないと思います。時々、悪意のある言葉や好奇の視線を向けられることはありますが……」(K)

「私の友達はほとんど受け入れてくれますが、家族には内緒です。バレたらとどうなるのかわかりません(笑)。また、最近の大型同人イベントでは、女装をする参加者は他のイベントの時より多くなりました。すごい危険はないと言えます」(P)

「私は上海、東京、大阪でだけ女装外出の経験があるので、香港のことはわかりませんがもし女装外出をする場合は、トイレ問題が避けられません。香港には多目的トイレが非常に少ないことが、外出をとても難しくしています。本当の女性ではありませんから、女子トイレを使えば警察のお世話になってしまいますもんね」(C)

ーあなたの国の有名な女装者を教えてください。

アンジェラ・リー!」(C&K)

「性転換をした人では、織田紀香」(P)

「コスプレイヤーの夜玖」(P)

「女装者に向けてメイクやファッション関連のサービスを提供している、純女のヤミさん」(P)

「コスプレイヤーのトラレさんは女装とコスプレ関連に特に人気があります。個人的に、今一番気になる人です」(P)

ー日本の女装イベント「プロパガンダ 」のような女装者のためのイベントはありますか?

「以前は交流イベントを主催することはあったけど、いろいろな事情から一回しかできませんでした。他の人が主催することもあるけれど、参加者は10人未満のことが多いです。プロパガンダのようなイベントは行ったことがありませんが、TOKYO CRAZY KAWAII TAIPEIでの美女♂men Z(日本の女装バンド)のステージを観ました。台湾の現状として、イベントを主催したい人に十分な能力がありません。なかなかいい人材が出てきません」(P)

「定期的に開催される小規模な女装プライベートパーティーのみで、大きなものはありませんね」(C)

「招待制のイベントで、オフ会のような感じなので正式名称すらありません。私たちは“Gathering”や“Christmas Party”と呼ぶくらいです」(K)

ーあなたにとって、女装とはどんな行為ですか?

「理想の存在を追いかける」(P)

「自分の違う側面を開放する行為で、一つの趣味として扱っています」(K)

「さまざまなファッションを楽しみ、変身すること。台湾、上海、東京、京都のスタジオで30種類以上のスタイルを楽しんできました」(C)

ーあなたの女装についての話を聞かせてください。

「2014年の7月下旬、知人のイベントのために名古屋に行きました。ある夜、女装をしないでイベント会場の辺りにいる時、車を運転するおじさんから、『お嬢さん』と呼ばれました。その時私は彼に向けて手を振って『すみません』と言って、その場から離れました。今思えば、日本にいる時私が普通の格好をしていても年上の人たちは私を女性として誤解してくれるのが嬉しかったです」(P)

「私は子供のころ、いつも女の子になりたいと思っていました。高校生のはじめに女装を開始し、いつも私は女の子として目覚めることを夢見ていました。他のほとんどの女装者と同じように、私はお母さんが外出している間にその洋服を身に着けることから始まりました。それから私は自分のアイデンティティを守るために、トランスジェンダーや女装について多くのことを学びました。その結果、私は自分が男と女両方を持ち合わせていると確信しますが、女としての自分はプライベートのみに留めています。この問題に対しては、Facebookで沢山の女装仲間と出会うことができて、より前向きに捉えることができるようになりました。私が私であることに、恥じることはありません。そして女装の文化は、世界中でより肯定的なイメージを持たれるようになる必要があります」(K)

「私の女装は15歳のころ、母親の服を着て何らかの性的な興奮を得ることから始まりました。17歳でスーツや靴を買って、自宅に内緒で保存し、家族のいない間に女装を楽しんでいました。大学生の間も、通信販売や店頭を利用して衣装を集めていましたが、22歳の時に両親に見つかってしまいました。当然、彼らは女装を受け入れてくれなかったので、より巧妙に女装を継続しました。それから数年前まで、香港以外を旅行した時にホテルの中で女装を楽しんだ後、2014年、台湾に変身写真館(※創作的な衣装と豪華な背景で撮影モデルが出来るスタジオ)や上海のスタジオで写真撮影を始めました。それまでウィッグや化粧品を持っていませんでしたが2014年の終わりにはセルフメイクができるように、自分の化粧品を購入しました。
女装は性的興奮を得る以外にも、毎日のストレス……たとえば仕事などを軽減するツールとなりえます。女装をすることで完全に別の人格として行動し、今のことを考える必要はありません。もちろん、実際の生活への影響を考えて、日常と非日常を明確に区別し、女装にふけることのないようにしなければなりません。
私は、世界中の人々が女装を奇妙なこととせず、受け入れてくれることを祈っています。それが叶えば、私たちは女装を楽しむ沢山のチャンスを手に入れることができるでしょう」(C)

ー今後、女装どのように楽しんでいきたいですか?

「一般人に受け入れられることは期待していないけど、プロパガンダのようなイベントはしていきたいな。そして、自分はできる限り女装を続けたいです。これから先、こんな自分を受け入れてくれる人が現れるのを信じています。そして勿論、ファッションセンスを磨くことも大事ですね(笑)。足りないことはたくさんあるけど、これからも自分磨きを頑張ります!」(P)

「人生は短いので、ただ自分自身に正直な普通の人として生きていきたい」(K)

「もっとたくさんの写真を撮影し、世界中に女装友達を増やしたい。外出に対する恐怖心を克服するためには、すごい勇気が必要ですが……。香港で女装外出する機会を持っていきたいです」(C)


いかがでしたか。日本と違う背景に、あなたは何を感じたでしょうか? 「日本が恵まれていたの?」という思いの他に、「自分たちと同じなんだ!」と膝を打つ話も多かったのではないでしょうか?

話を聞いてみると、一見非常に閉塞しているようでいて、Facebookなどでどんどん交流を増やしつつ、地に足をつけて絶妙なバランスで生活しているのが見てとれました。社会の価値観や自国の文化と折り合いをつけながら、どうやって自己実現を図っていくのか? それを模索しながらも楽しむ姿は、とにかくエネルギーに満ちていますね。

女装者の間で世界的な交流が深まるにつれてこれからどんな動きが見られるのか、今後も目が離せません。それでは次回は、アメリカの話も聞いてみたいと思います。と言ってもいささか広いので、少しずつの紹介になりますが、世界の目線を通して、日本を再発見できたらいいですね。

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