第33号 僕らの名前を覚えてほしい~NPO法人パープル・ハンズ~

僕らの名前を覚えてほしい〜、と言われたら、お古いかたは「戦争を知らない子供たちさ」とくるでしょうか?(苦笑) でも、近い将来、ホントに子どもたちが(もちろん僕らの世代も)戦争を知ることになってしまうようで不安な今日この頃でございますが……。

閑話休題。きょう覚えておいてほしいのは、性的マイノリティの老後と同性パートナーシップの確かな情報センターをかかげるNPO法人「パープル・ハンズ」です。

 レインボープライドでブース出しました

先週までの連休いっぱい続けられた「レインボーウイーク」。さまざまなイベントのクライマックスはやはり4月26日、代々木公園を会場にしたプライドパレードでしょうか。パレードやステージプログラムももちろんですが、昨年にも増して企業からNPOまで、ノンケに当事者、硬いのから柔らかいのも、L・G・B・Tそれぞれ向け、HIVイシューを訴える人……、100近いブースが立ち並ぶ会場は、アースデイやタイフェスにはまだまだ及ばないものの、さながらセクマイ見本市の賑わいでした。例の渋谷区条例の影響か、同性ウェディング関連のブースが多く、賑わっていたのも印象的でした。

そんなお幸せな会場の片隅で、私たち特定非営利活動法人パープル・ハンズもブースを出展していました。ハッピーそうな人に向けて、「老後が気になりませんか?」と声をあげるのは、ほとんど嫌がらせ?(笑)
いやいや、人生は生老病死、冠婚葬祭。老い、病み、死ぬを考えるのもセクマイの人生ですし、冠(LGBT成人式)や婚(ウェディング)だけでなく、葬(お別れ会)や祭(法事、追憶)にもこれから目を向けたいもの。

パープルのブースでは、パネル展示や書籍販売、ライフプラン相談などのほか、いますぐできるカップル防衛策、「緊急連絡先カード」や病院等での面会を許可する「緊急時面会カード」を配布し、好評でした。拙著の読者が「あなたが著者ですか」と声をかけてくれたり、『にじ』誌を購読してくれていた昔からの読者が立ち寄ってくれたり。さながら同窓会のような趣も……。

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ブースに立ち寄って、いろいろ話し込んでくださるかたも。こちらのかたはノンケさんですが、以前、親族と疎遠にしているゲイのかたの成年後見人をし、最期を看取った経験がある、と話してくれました。そういうゲイの先輩もいたんでしょうね……。

ブースでは、いま作成している新しいパンフレット(後述)をパネルにして、これから性的マイノリティが直面するであろう高齢期問題を紹介していきました。このうちの一つや二つは、「ちょっと気になってるんですよね~」ということ、あるんじゃないでしょうか(拡大して見てくださいね~)。

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高齢者の単身独居や孤独死は社会問題になっていますが、うちらの場合、さらにセクシュアリティがネックになって、うまく行政や福祉に相談できない人もいるかもしれません。それにウェディング流行りの昨今ですが、当事者の多くが、自分は単身で高齢期を送るであろうと思っているようです。もちろんカップルさんだって、一方が死別すれば、シングルですが……。

老後と同性パートナーシップの確かな〈情報センター〉

パープル・ハンズは、そんなだれもが抱く不安に対して、まずは現状の確かな情報を知り、できることをやってみよう、そして仲間とつながろう、をモットーに活動してきました。今年で6年目になります(法人化して3年目)。最近は、メディアでも少しずつ紹介されるようになってきました(こちらの2ページ目とか)。
活動は、LP研(ライフプランニング研究会)、パープル・カフェ、電話相談、社会発信の4つを柱に行なっています(こちらも拡大して見てください~)。

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LP研は、ゲイ(セクマイ)と生命保険とか、不動産とか、親の介護とか、養子縁組とか、人生に沿ったテーマで開催してきましたが、それらの内容はすでに拙著にまとめたのでそっちを見ていただくことにして、いまは折々オムニバスなテーマで開催中。今年は高齢期のグループリビンや孤立解消をテーマに開催する予定です。
パープル・カフェは、主に40代以上のしゃべり場。ゲイバーなどではなかなか正直に話せない親の介護や老後の不安などをおなじ仲間同士で語れる場として、好評をいただいています。
暮らしや老後の電話相談(03-6279-3094、お昼から9時頃まで)は、現在、毎日実施していますので、どうぞいつでもお気軽にご利用ください。

 性的マイノリティが安心できる高齢期をつくる

まだまだ活動歴としては数年にすぎないパープル・ハンズですが、今後セクマイの高齢期サポートに取り組む体制として、「4つのサポート」を掲げ、10年計画(?)で実現を目指しています(一部は実施中)。

 ①法務・ライフプラン サポート
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同性婚やそれに類する制度のない日本ですが、自己決定の尊重の流れから、パートナー間のリスクに対して、書面であらかじめ意思表示しておくことでクリアできることもあります。遺言や医療意思表示が代表的ですし、公正証書の知識も知られるようになってきました。また、保険や不動産など当事者に即したライフプランにも、関心が高まっています。通常の法律事務所や事業者には相談しづらい当事者の悩みに、行政書士で2級FP技能士の相談員が、法律とお金の両面から当事者の立場で対応します。相談無料。(実施中)

 ②見守りサポート
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高齢期の一人暮らしは不安。でも親類は遠方だったりそれぞれに家族もあったりで、頼るのは困難。セクシュアリティがネックで、むしろ連絡はしたくない。こういうとき、法人(パープル・ハンズ)と見守り契約を交わし、入院時の保証人や認知症時の生活管理、さらに死後の片付け等のサポートを行ないます。こうした「見守り法人」は一般でも増えていますが、当事者によるサポートを希望するかたへの対応です。話題の「任意後見契約」とは、本来こういうときに活用するもの。(応相談)

 ③仲間サポート
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孤立を軽減するための出会い・交流の場を企画していきます。また、将来は話題のグループリビング(空き家活用のシェアハウスなど)、そして仲間による葬儀や合同墓(散骨受任なども)の運営も。今年のLP研では、その可能性を求めていろいろ取材報告モードでお送りしていきます。これは私たちにとっての「家族」づくりの営みかもしれません。

 ④社会サポート
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当事者だけで高齢期は送れません。高齢期にかかわる各セクターへ、当事者の視点からの研修やコンサルティングを提供しています。写真は、中野区内の介護事業者へ性的マイノリティとHIV陽性者の理解のために研修会を行なった模様。これから顕在化する課題の先取りです。パルシステム東京(生協)の市民活動助成金をいただいて実施しました。そのときのリポートはこちら

どのサポートでも、LGBTなどそれぞれのセクシュアリティはもちろんですが、ゲイに多いHIV陽性や、全体的に多いとされるメンタル疾患など、企業中心の「LGBT市場を狙え!」目線では見落とされがちなものにもきちんと目を注ぎ、一人ひとりのご事情を大切にして、おなじ当事者の立場と目線でサポートにあたります。

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 現在、上記の内容を記したパンフレットを作成中。個人発送もします。乞うご期待(このパンフレットは大和証券福祉財団の助成で作成されました)。

ごくフツーの生活者である私たちが、セクシュアリティに起因する「不安・不便・不満」を解消し、ごくあたりまえに暮らし、安心して老い、安心して旅立つ……。パープル・ハンズはそんな近未来を目指して、「ほしいものは自分たちでつくる」をモットーに活動しています。

だから、あなたにもう一度。「僕らの名前を覚えてほしい」……。

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