第99回 「同性愛は生物としておかしい!」→生物学専門家「ここで生物界の多様な生殖について見てみましょう」

 

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「同性愛は自然に反するッ!」→「自然界にも同性愛的行動をする生物がいますけど」→「人間と動物を一緒にするなッ!!」って流れ、華麗ね。

まきむらよ。

毎週金曜、世界のニュースから性を考える時事コラム「まきむぅの虹色NEWSサテライト」をお送りしております。

今回のテーマは「“同性愛は生物学的に間違っている”っていうよくあるアレに対する、生物学の専門家の反応」です。

★ 世界で絶えない、「同性愛は生物学的に間違っている」発言
★ 生物学専門家「ここで様々な生物の多様な生殖方法を見てみましょう」
★ 動物の同性同士のつがいを「同性愛」と表現してもいいものか?

以上の流れでお届けします!


★ 世界で絶えない、「同性愛は生物学的に間違っている」発言
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写真:PAKUTASO

「同性愛は生物学的に間違っている」
「同性愛は自然の摂理に反している」

もう聞き飽きたような言葉ですが、実はこれ、いまだに世界でしぶとく使われ続けている表現なのよね。

2013年にはフランスの名優アラン・ドロンがこれを言って大炎上しましたし(出典:ハフィントンポストフランス版)、ガーナ共和国でも「同性愛なんか動物でもやらない」なんてパンフレットが配られていました(過去記事:「ガーナの反同性愛パンフから考える、『違う』と『同じ』のこと。」

アレンジバージョンとして、このへんのことも言われるわよね。

「男は狩り、女は子育てをするようにできているのだから女性の社会進出は自然に反する」
「結婚も出産もしない生き方なんて、生物として正しくない」

こんなふうに「生物学」やら「自然」やらが都合よくかりだされる現状を前に、先日、日本の生物学専門家がついに立ち上がりました。


★ 生物学専門家「ここで様々な生物の多様な生殖方法を見てみましょう」

ことの発端となったのは、現在神田外語大学で生物学・環境科学を担当されている飯島明子先生のこちらのツイートでした。


このツイートを機に、日本語ツイッターで「#生物の多様な生殖」というタグが大流行。

・オスとメスだけじゃない生物
・オスを巡ってメス同士で争う生物
・メスは卵を産むだけで、オスが子育てする生物
・オス同士、メス同士で交尾する生物
・オス同士、メス同士のペアで子育てする生物
・オスでもメスでもある生物
・オスからメスになったりする生物
・オスとメスの交尾からではなく、親のコピーが発生する形で増える生物

などなどなどなど、もはや「オス」「メス」ってなんだっけってなるような投稿が、なんと1日で1,000件近くも寄せられたのでした(※2015年5月25日~26日、Yahoo!リアルタイム検索調べ)。

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写真:PAKUTASO

そうね。生物学的に間違ってるどころか、広い広い生物の世界では同性愛くらいよくあることなのよね。

中には、そもそもメスしかいない上、交尾なしで増えられるにも関わらずわざわざメス同士で交尾する「レズビアンリザード」なんてトカゲまでいるのよ(出典:「百合のリアル」83ページ/正式名称をムチオトカゲといいます)。

アメリカの生物学者ブルース・ベージミル氏によれば、同性ペアを作る・同性の個体に求愛するなどの同性愛的行動は、自然界でも450種ほどの生物において記録されているといいます。

が。

ここでひとつ、沸き起こる疑問がありますね。


★ 動物の同性同士のつがいを「同性愛」と表現してもいいものか?
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写真:PAKUTASO

確かに、同性同士のペアで生きたり、同性同士の性行動に出る生き物は450種以上もいます。

だけど、「同性」だとか「愛」だとか「正しい」とか「間違ってる」とか言ってるのはたった1種――人間だけなのよね。

同性愛に関わらず、そもそも「自然の中にあるから良い」とか「自然じゃないから悪い」とかモノを考えること、それ自体がまったく人間的に思い上がった考え方なのよ。こういうのは「自然に訴える論証」と言って、よくある詭弁の一種類にすぎません。

この「#生物の多様な生殖」タグも、「同性愛は自然にあるものだから良い」と主張するために作られたものでは決してないのです。むしろ、良いとか悪いとか顔真っ赤にして論じ合ってる人類も含めて、自然というのはただ静かに広く在りつづけているのだなあ、ということを感じるためのものではないでしょうか。

もちろん、「自然界では~」とか「生物学的には~」とかなんか難しそうなこと言わないと、自分の主張を通せない気がしちゃうような弱さを抱えた生き物をもそっと包み込みながらね。

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写真:PAKUTASO

ってことで、読んでくださってありがとうございました! また来週金曜日にね。まきむぅでした◎


▼おしらせ
「生物の多様な生殖」タグの発起人である飯島明子先生は、生物専門家として、演劇作品「有明をわたる翼」にも携わっていらっしゃいます。諫早湾での公共工事による生き物の大量死と、それにより引き裂かれた漁師さんたちの姿を描いた“環境演劇”です。詳しくは「演劇企画フライウェイ」公式ページまで。

▼日本での同性婚を求める全国規模の申立、申立人募集は6月15日までよ!
今恋人がいなくても、カミングアウトしなくても、同性愛者じゃなくっても、日本国籍じゃなくっても、それぞれの形で関われます。詳しくはこちらの過去記事まで!
第92回 【ついに】日本での同性婚を!26人の弁護士さんが作戦開始、一般にも仲間を募集

▼同性同士でのくらしのこと、ツイッターでもいろいろつぶやいてます

 

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