第113回 妊活あれこれ:シリンジでも、できるよ?

今週と来週の2回にわたって、私たちがチャレンジしている妊活のお話をしたいと思います。妊活は日々手探りで、私たちの考えもあっちに行ったりこっちに行ったりしながら、ふたりでいつも話し合って進めています。
レズビアンカップルである私とひろこさんが「子どもがほしいんです」とお話しすると、いろいろな反応が返ってきます。
「え! どうやって??」
「子どもがほしいというのは親のエゴだ!」
「学校でいじめられたら可哀想…」
「子どもが同性愛者になるのでは??」
などなど……。
中でも多くの人が一番気になるのが、「どうやって??」の部分ではないでしょうか?
今回は「レズビアンカップルはどうやって子どもを作るの?」がテーマです。
現在日本でレズビアンカップルが子どもを持つにはいくつかの方法がありますが、ここでは私たちがチャレンジしている方法をお伝えするべく、「自宅などで自分たちで人工授精をするDo It Yourself」のみ取り上げたいと思います。
用意するアイテムはこちら。
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精子を入れるための容器と、針のないシリンジ。
「Do It Yourself」略してDIY(ディー・アイ・ワイ)と言っています。
私たちは、精子を提供してくれる男性を探して、自分たちで人工授精しようと準備しています。
さまざまな観点での話し合いを経て、提供していただくことが決まったら、毎月の排卵日を特定して、自宅に来ていただくか取りにいくか等して精子をいただき、シリンジで自分で膣に入れます。
なぜこのような原始的な方法を選択するかというと、現在の日本産科婦人科学会のガイドラインでは、同性カップルは生殖補助医療を受けることが原則的にできないからです。よくある誤解なのですが、日本の法律で禁止されているわけではありません。
妊娠をすれば、ほかの妊婦さんたちと一緒に、通常の医療機関で診察を受け、出産することができます。
ちなみにパートナーが女性であることをカミングアウトして産婦人科にかかっていた先輩Lマザーは、医師と以下のようなやり取りがあったそうです。
医師:どうやって妊娠したんですか?
先輩Lマザー:Do It Yourself です。
医師:それでできるんですね……!
先輩Lマザー:セックスするのと変わらなくないですか?
医師:……た、確かに。
もちろん、話したくなければ話さないで診察を受けることができます。異性愛者の妊婦さんも「どうやって妊娠しましたか?(セックスですか?)」と聞かれれば嫌な人もいるでしょうから、その点は心配しないで病院にいってほしいと思います。
DIY人工授精で出産した先輩からいろいろお話を聞いて、私たちも針のないシリンジをAmazonで検索して買ってみました。大きさも何もかも手探りなので、間違えて巨大シリンジを買ってしまったことも。
私たちの用途に必要なのは容量5ml程度のシリンジだと思われます。
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猫の餌やりやインク充填などに使用されているサイズだそうです。もう少し細くて長いものがよさそうですが、Amazonなどで普通に購入できます。
じつはこのDIY、なんらかの理由でセックスが難しい異性カップルも、この方法で赤ちゃんを授かっているようです。ただ、「どうやって子どもを作ったか?」という繊細かつプライベートな情報を積極的に開示する必要がないので、周囲に話したり、子ども自身に伝えたりはしないようです。ですからレズビアンカップルがシリンジを使ったDIYで子どもを作ろうとすると、インパクトがとても大きく驚かれてしまうわけです(この方法で周囲ではレズビアンカップルの子どもたちが生まれています)。
ただ私は、衛生面と成功率の観点からも、性的指向や婚姻の有無に関わらず、日本の医療機関でも人工授精ができるようになってほしいと思っています。
ここであらめて強調したいのは、当たりまえのことですが、すべてのレズビアンが必ず子どもをほしいと思うわけではありません。それは異性愛者の女性が子どもを産む/産まないに様々な葛藤とドラマがあるのと同じこと。ただレズビアンの場合には、方法や選択肢が限られているという現状はたしかにあります。
性的指向や「誰とともに生きるか?」に関わらず、子どもを産む/産まないの選択が、全ての女性が主体的に選択できるようになってほしいと心から願っています。
私が若いレズビアンに伝えたいことは、「レズビアンだからって、子どもを含めた家族を持つことをあきらめる必要はないよ!」ということ、そして「子どもを産むか産まないかは、レズビアンであってもそうでなくても自分自身で決めていいんだよ」「血がつながっていなくても、家族になれるよ」ということです。
ひろこさんが産む子どもは、私とは血がつながっていません。それでも私は問題なく家族になれると思っています。私とひろこさんは血がつながっていませんが、かけがえのない家族になれました。私は現在30歳。できればひろこさんがひとり産んで、私もひとり産みたいね! と夢を語り合っています。
実際の子育てはきっと大変ですよね!
授かるか授からないかわからないし、先のことは誰にも決められません。それでもひろこさんや、周りの仲間たちと子どもについて話し合っているとき、私たちは本当に幸せなのです。
さて、今回はDIYの方法について取り上げました。次回は、精子提供者との関係性や法的な課題など、さらに「その先」を考えたいと思います。
(つづく)

 

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