第104回 いまだからこそ、同性婚反対の同性愛者70人に聞きました (上)反対理由編

 

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まきむらよ。

毎週金曜、世界のニュースから性を考える時事コラム「まきむぅの虹色NEWSサテライト」をお送りしております。

今回のテーマは「同性婚反対の同性愛者70人に聞きました」です。

「同性婚」。
ここのところずっと話題のキーワードですよね。全米で同性婚が合法化されたり、日本でも同性婚法制化を求めた具体的な動きが始まったり、任天堂の新作ゲーム内でもキャラ同士の同性婚が実装されたりなんかして、たいへん盛り上がってます。

だけれどそんな盛り上がりの中で、居心地の悪さを感じている方もいらっしゃると思うの。

だって、個人として同性が恋愛対象だからって、制度として同性婚に賛成とは限らないじゃない?
なのに、

「同性愛者なら当然、同性婚賛成でしょ!?」
「アメリカで同性婚できるようになったらしいね! よかったね! うれしいでしょ!?」
「同性婚反対!? あなた、差別主義者なの!?」

みたいな声に囲まれて、「賛成しなきゃいけない空気」「同性婚反対=差別、みたいな空気」「かわいそうなマイノリティが救ってもらえてよかったね! やっぱ愛だね! みたいな空気」に息が詰まりそうな方はきっといらっしゃると思うのです。

こんな「賛成しなきゃいけない空気」の中では、成熟した議論ができるはずはありません。
こんな「賛成しなきゃいけない空気」なんて、賛成者にも反対者にもいいものをもたらさないと思うの。

ということで今回は、

1.同性が恋愛対象に入っている(同性愛者を自認する方も、そうでない方も含め)
2.日本での同性婚法制化に反対している

以上2つに当てはまる70名の方から、WEBアンケートを通してご意見を伺いました。
つづいてその結果を、

★ 同性婚に反対する理由、アンケート結果
‐同性婚と日本国憲法の関係
‐同性婚=男女二元論の強化?
-同性が恋愛対象、かつ同性婚に反対の方のご意見(一部)
‐同性婚以外の制度での保障を求める方のご意見(一部)
★ 日本の婚姻制度、見直すべきだと思う?

 以上の流れでお届けします!


★ 同性婚に反対する理由、アンケート結果
まず最初の質問は、そのものずばり「同性婚に反対する理由」でした。お答えくださった方のご意見はさまざまですが、大まかに集計すると以下の通りになります。

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結婚制度それ自体に反対だから……25
同性婚制度は日本社会にそぐわないと思うから………12
同性カップルは結婚制度にそぐわないと思うから……11
今の日本にはまだ早いと思うから……9
同性婚法制化には憲法改正が必要だと考えており、憲法改正に反対だから…7
同性カップルは関係性を公にすべきでないと考えているから…4
同性婚は男女二元論を強化し、男女どちらでもない性の排除につながるから…3
その他…6

(※複数回答も含まれるため、合計は70になりません)

ということで、「“結婚”という制度自体を見直すべきではないのか」「“結婚”という制度自体、西洋のまねごと。西洋のまねをした日本の異性愛者を、同性愛者がさらにまねるのはばかばかしい」というような声が多く聞かれました。

また、同性婚制度をつくるために憲法改正が必要かどうかというのは、議論の分かれているところですね。

★同性婚と日本国憲法
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専門家による「憲法は同性婚を禁止していない」との見解は、2CHOPOでも紹介されたことです。しかしながら、

「憲法自体を書き換えることはしないにしてもさ、憲法にある“両性の合意”っていう一文を“同性でもオッケー”って意味に読むことはやっぱり解釈改憲なんじゃないの? 危ないんじゃないの?」

との声も聞かれるわけです。そういった護憲の立場から同性婚に反対する方は、同性を恋愛対象とする方の中にもいらっしゃるようでした。

ちなみに現段階ではこのことについて、最高裁判所などでの公的な話し合いは行われていません。国会質問でも、安倍首相が「同性婚は憲法で想定されていない」と答弁したことはあるものの、国会全体で話し合われたことはまだない、という状況です。

それからもうひとつ、注目すべきはこちらの視点ですね。

★同性婚=男女二元論の強化?
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By Giovanni Dall’Orto [Attribution], via Wikimedia Commons

ご回答くださった方からは、たとえばこんなコメントをいただいています。

自分はFtXでパンセクです。同性婚というのは結局性別二元論の上に成り立っているのだと常々感じています。
同性婚のニュースを見ると相方と一緒に複雑なきもちになります。私たちは同性ではありません。けれど、自分は男性として生きたいわけではないので既存の異性婚の制度は使えません。
同性でも男女でも、様々なタイプの異性同士でも、愛し合う者同士がともに生きるための制度が欲しいと心から思います。

つまり、「結婚には同性婚と異性婚があります」みたいなこと言っちゃうと、「性別は男と女の二種類です」という話にもなってしまうので、そこにあてはまらない人たちを排除することになってしまう……ということですね。

このことを防ぐため、私は「同性婚制度を作ってください」じゃなくて「婚姻制度の利用に性別を問わないようにしてください」という言い方をしています。

まぁ、仮にそういう条文で法律が作られたとしたって、世論やメディアがそのことを「同性婚法制化」と呼ぶのはまずまちがいないのでしょうけれどね。

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最後にいくつか、上記グラフにまとめていないご意見をご紹介しますね。

同性が恋愛対象、かつ同性婚に反対する方のご意見(一部)
-性癖を公に登録するようで抵抗感がある
-同性婚のための社会運動にリソースが集中しすぎている
-法制化によって同性愛自体が理解されるようになるとは思えないから
-宗教上の理由により、同性婚は認めるべきでないと考えている

同性婚ではなくほかの制度による保障を求める方のご意見(一部)
-同性婚法制化により、その他の制度も異性愛者と同様にされるのはこまる。制度が先行して、いまよりも生きにくくなったり、「法制化したんだから、おなじだろ?」となって、いままでの差別がなかったことになるような世論になるのが困る。婚姻制度でなくても既存の制度を柔軟に対応させることで大部分は解消できるはずと考える
-同性婚反対派の言い分としては「同性婚は伝統的な日本の制度にそぐわない」という意見がありますが、それを逆手にとって今まで日本には存在しないパートナーシップ制度で同性愛者の権利を保護する方が幾分楽なのではないでしょうか。

以上、いただいたご意見をご紹介してまいりました。

ただ、同性婚反対だからといって「日本の婚姻制度は今のままでいい」と考えていらっしゃるとも限らないみたいなの。ということで最後に、日本の婚姻制度のなかで「利用が書類上の異性間に限られている」以外の改善すべき点はなにか、みなさんにお伺いした結果をご紹介します。


★ 日本の婚姻制度、見直すべきだと思う?
こちらが、「同性が(同性も)恋愛対象」かつ「同性婚反対」という方にお伺いしたアンケート結果です。

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婚姻可能になる年齢の男女差を改正すべきだ…34
離婚後、女性にのみ再婚禁止期間が設けられている点を改正すべきだ…33
選択的夫婦別姓を認めるべきだ…28
離婚後も共同親権が認められるよう改正すべきだ…20
近親者間での婚姻の禁止を廃止、または緩和すべきだ…10
いわゆる“いとこ婚”を禁止すべきだ…6
日本の結婚制度は一切改正すべきではない…5

ご回答くださった70名のうち、65名の方がなんらかの改正の必要を指摘していらっしゃいます。

また、日本では合法だけれど海外では違法な場合もある「いとこ婚」を禁止しようという声、反対に近親者の間での婚姻ももっと認めていくべきだという声も、それぞれ同数程度にありました。

グラフにまとめた以外では、こんなご意見をお寄せいただいています。

-婚外子差別をなくすべき
-離婚後に誕生した子どもの父親を推定する法律(民法第772条)をやめるべき
-複数人での結婚を認めるべき
-結婚と相続を別にすべき

なにはともあれ、ひとつ言えることは、

「こういう議論を貴族じゃなくても女でもできるような世の中になったんだね」

っていうお話よね。

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昔は特別な階級に生まれた人しか政治の議論に参加できなかったし、いわゆる女に政治に参加する権利が認められていなかったのもつい数十年前のことです。

それができるようになったいまだからこそ……そして、同性婚というものが大きなトピックになっているいまだからこそ……「同性愛者のひとたちが話し合っておけばいい話」っていうんじゃなくって、「日本という国の制度をどうするか」っていう視点で考えていきたいものよね。

制度は、人間がつくるもの。次回の記事では、今回ご回答くださった方々が同性婚に反対するようになるまでのエピソード、そして「同性婚反対なのに同性婚式に呼ばれたらどうする?」というお話をご紹介したいと思います。

ということで「まきむぅの虹色ニュースサテライト」読んでくださってありがとうございました◎ また来週金曜日にね。まきむぅでした!

※ちなみに、本記事には「同性婚反対の同性愛者」というタイトルがついていますが、これは(同性を恋愛対象とする者、もしくは同性“も”恋対象とする)の意味で使っています。同性が好きな人は、もちろん同性愛者に限りません。また私は、同性愛者ということばについて、「私は同性愛者です」と名乗る人を否定することも、「あなたは同性愛者よね?」と人に押し付けることもありません。


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