第105回 いまだからこそ、同性婚反対の同性愛者70人に聞きました(下)反対するようになった理由編

 

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まきむらよ。

毎週金曜、世界のニュースから性を考える時事コラム「まきむぅの虹色NEWSサテライト」をお送りしております。

今回のテーマは「同性婚反対の同性愛者70人が、そもそもなぜ同性婚に反対するようになったか」です。

前回記事「いまだからこそ、同性婚反対の同性愛者70人に聞きました (上)反対理由編」にひきつづき、

(1)同性愛者=同性婚賛成、とは限らないということ。
(2)同性婚反対=同性愛嫌悪、とは限らないということ。

以上の二点に着目しながら、本連載にお寄せいただいた様々なご意見をご紹介してまいりたいと思います。

“同性婚”という単語が、あちこちで目につくようになったいまだからこそ。“賛成しなきゃいけない空気”から自由な、より成熟した議論のために。


★ 同性婚、“愛こそすべて”じゃないはずよ

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(※登壇者以外の方について、一部画像を加工しています)

きのう私は、同性婚法制化を求める記者会見に登壇してきました。昨日からテレビ・新聞など各社によって報道され、この2CHOPOでも記事になっている通りのことです。

私個人はフランスの法律で同性と結婚しており、それが日本では認められないことでいろいろな不利益を被っています(家族としての滞在許可が下りない的なことから、クレジットカードの家族カードすら作れない的なことまで)。

しかし、だからといって、「同性婚に反対する奴は差別主義者だ!!」みたいなことは絶対に言いたくないと思っています。だって、同性婚うんぬんの前に日本の婚姻制度をどうするかっていう視点でちゃんと話し合いたいんだもん。日本は国民主権の民主主義国ですからね(異論はあるでしょうが、少なくとも名目上はね)

なのに、なんていうかね、最近こういう対立をあおるような空気があると私は感じているの。

「同性婚賛成=知的で先進的な愛と正義の戦士」
「同性婚反対=感情的で古臭い差別主義者」

んで、「愛は勝つ!」とか言われたり、渋谷の例の条例に条文一つ一つ読んで問題点を指摘している人が単なるヘイトデモ団体と一緒にされたり、そういうことが起こっているわけです。

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私はね、こういう愛の暴走ほどヤバいものはないと思うの。対象をキラキラまぶしくあたたかい光でつつむようにしながら、実は相手のことを一人前の人間としてみなさず、“未熟なあなたをわたしが導いてあげる”目線で相手の意見をちっとも聞かない、そういう態度はおそろしいことにしばしば“愛”と呼ばれがちなのよ。時に親子間で、時に学校で、そして、時には社会的に“先進的”とされる意見の持ち主とそうでない者の間で。

もちろん、いまだに「同性愛者はキモいから結婚とか言い出すな」みたいなことを言っている方を見ると、うーん、なんていうか、「それ『キモオタは国民健康保険に加入させるな』みたいな論理やで」って言いたくなるし、個人の感覚と国家の制度を一緒くたにしちゃいかんでしょとも思います。そんなのめっちゃ暴君じゃん?

とはいえ、国家の制度は個人のあつまりで作られています。そして個人の意見とは、個人の経験・感覚から切り離せないものでもあるわけです。ということで今回は、それぞれの立場から対話しあう姿勢を忘れないために、いわゆる“同性婚反対の同性愛者”が同性婚に反対するようになった理由をご紹介しようと思ったわけです。

続いて、本連載のWEBアンケートにご回答くださった方々の声を、ほんの一部ではありますがご紹介いたします。ちなみに今回ご回答くださった方々のことは、この記事では“いわゆる同性愛者”と呼ばせていただきますが、その中にはご自分のことを同性愛者だと思っていらっしゃる方もいらっしゃらない方も、また「同性だけが恋愛対象」という方も「同性も恋愛対象」という方もおられるということを申し添えておきます。


★ “同性婚反対の同性愛者”が同性婚に反対するようになった理由

それでは、以下、ほぼ原文そのままで掲載させていただきますね。小見出し・太字強調は筆者によるものです。

▼相手には婚姻制度から自由でいてほしい
男性同士のカップルです。付き合ううちに縛りたくないというか、男性社会の重圧を背負わせたくないというか、そんな思いを抱くようになりました。ともかく結婚という重荷をパートナーに背負ってほしくないのです。いざという時には一人でも逃げれる身軽さもこの社会には必要だと思うから。

▼無闇な「進歩してる感」には恐怖を感じる
今の時点でとても曖昧であり明確な意見が持てていない状況なのですが、渋谷区での同性パートナシップ条例の件を耳にした時なぜか「怖い」と感じました。条例そのものより、それが認められる事で世間が無闇に喜び、「進歩してる感」が広がっている感覚になったからです。

確かに同性が恋愛することは普通だし、実際私も対象は同性で、海外では認められている国も増えています。その点で考えると日本が同性愛の問題について一歩進んだという事は事実なのです。しかし一見人間の自由が解放された素晴らしい進歩のように見えるけれども、一方ではとてもプライベートで個人的な問題を抱えている同性愛者の方がいて、深刻な悩みに繋がっているケースもあります。

セクシャルマイノリティという言葉もあまり浸透してほしくはないのですが、そういった点を考え認めていこうとするならばまず理解しなければいけない点は山積みだし、急に同性婚可決で「やった〜!」という展開になるのは恐ろしいな、と考えたのが経緯です。

▼大人の婚姻制度より、子どもたちの教育のほうを優先すべきなはず
現在、教育指導要綱には異性愛に関する内容しかなくて、全員異性愛者であることが前提のような内容になっています。私も中学生なんですが、学校では同性愛について教えてもらえず、先生も「みなさんが将来男の人と結ばれて子どもを産むときのために……」というような感じの話をいつもするんです(ミッション系の女子校です。)

これでこのまま同性婚ができるようになったら、一部の先生や生徒が反感を持って、学校でのいじめをひどくしたりするのではないかと思います。そう思うと、もし同性婚ができるようになったら、自分が同性愛者だということを隠しながら学校に通うのがもっとこわくなると思います。

同性婚は、私もゆくゆくは賛成するかもしれないけど(今はまだわからない)、とにかく教育を変えるのが先だと思うんです。同性婚制度を作る前に、まず説明責任を果たすべきではないのですか? 大人は、すぐ結婚できていいかもしれないけど、すぐ結婚できない年齢の私たちのことも考えてください。お願いします。

▼「恋愛しろ、結婚しろ」みたいな空気でもっと息苦しくなるだけ
ツイッターで「結婚できない人をゼロに」というネタ画像が回ってきた。友達がほしくてビアン系イベントに行っても、すぐ世話焼きオバサンみたいな人が寄ってきて、えーっ彼女いないの? あの子とかどう? 勇気がないなら一緒に行ってあげようか? みたいなことを上から目線で言ってくる。

こういう「恋愛しろ! 結婚しろ!」みたいな空気が、同性婚がOKになることによってビアン系イベントでも強まるのかと思うとうんざりする。別に、恋愛とか結婚は、したくなればすればいいけど、絶対しなきゃいけないことみたいな空気は絶対おかしい。

そもそも結婚は恋愛のゴールみたいな価値観って個人の価値観だし、法律で書いてあることじゃないのに当たり前みたいに言われてるのはおかしいと思う。結婚したら子どもを産むもの、みたいなのもそう。同性婚同性婚っていうんじゃなくって、そういう変な価値観の押しつけを見直すことも一緒に考えなきゃいけないけど、LGBT運動は「愛がー」「結婚の権利がー」みたいなことしか言わないし、同性婚のことをLGBTウェディング(笑)とか呼んでたりするし、もう最近の同性婚ブームにはうんざり。同性婚のことしか考えられないならLGBTとか名乗らないでください!


★ 同性婚反対、だけど、同性婚式に呼ばれたらどうする?

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ということで、4人の方の意見を紹介させていただきました。

アンケートにご協力くださったのは70人の方々でしたが、同性婚に反対するみなさんに「では、同性カップルの結婚式に呼ばれたらどうしますか?」とお伺いしたところ、70人中67人の方が「出席する」とお答えになりました(※「仲が良ければ」「都合が合えば」などの条件付き回答も含め)。

「出席しない」と答えた3人の方にも、当然、出席しない自由というのはあるわけです。おひとりは「少なくとも今の現状では出席しない」、またおひとりは「法制化されれば出席しない」とお答えになられましたが、もうおひとりは「同性婚というのが選択に影響しない。元々式にはいかない可能性が高い。」とお答えになっておられました。

“多様性”っていう言葉が、LGBTs界隈のシンボルみたいに使われて久しいわね。だけれどもほんとうの多様性とはなにか、いつも考えていたいと思うのです。少数派だとか多数派だとか、普通だとか異常だとか、そういうボーダーラインに苦しめられてきた私だからこそ、いつも問うことを忘れたくないのです。「この線を引いているのは誰だ?」

これから同性婚にまつわる議論が、日本でも高まっていくことでしょう。単なる賛成派・反対派の対立ではない、実りある議論がなされることを願ってやみません。

ということで、「まきむぅの虹色ニュースサテライト」今回も読んでくださってありがとうございました! また来週金曜日にね。まきむぅでした◎

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