第118回 【子どもを迎える方法について考える】Part 1 同性カップルは利用できない特別養子縁組

今回から数回にわたって、「同性カップルが子どもを迎える方法」というテーマで考えていきたいと思います。私たちは今、妊活中です。ひろこさんと「子どもを持ちたいね!」と具体的に話し合い始めて2年になります。
現在の日本で同性カップルが子どもを持つ方法にはどのようなものがあるでしょうか? その知識や方法は、当事者の間でもまだあまり共有されていません。
将来子どもを持ちたい? 持ちたくない? 今はまだ考えられない?
いろんな方がいらっしゃると思いますが、選択肢を知っておくことは、大切な決断をする際にきっとプラスになると思います。
初回のテーマは「特別養子縁組」です。
(注:この制度の対象は婚姻した夫婦であるため、法律婚ができない戸籍上同性のカップルが利用することは現状できませんが、最近とても注目しているのでご紹介します)
このテーマについて深く考えるきっかけの一つになったのが、NHK Eテレで放送されたこちらの番組です。
素晴らしいドキュメンタリーでした。顔を出して取材に応じられたご家族にとても感謝しています。なぜかというと、私自身「養子縁組で家族になったことをオープンに語る当事者の方」にお会いする機会がこれまで圧倒的に少なかったからです。
顔を出して当事者として語るのは、とても勇気がいることです。子どもの顔も出して取材を受けるにはリスクも伴います。それでも社会的な意義のために、大切なことをテレビ番組を通して伝えてくださったことは、私の考えを広げてくれました。
番組に登場したのは異性愛のご家族でしたが、映像を通して「これが同性カップルだったら?」と想像せずにはいられませんでした。自分たちに置き換えて、新しい家族の形をイメージすることができたのです。番組を届けてくれたスタッフの方や、取材を受けられたご家族の方に心から感謝です。
ここで、現在の日本の制度について考えてみたいと思います。
養子縁組を利用した家族について、「養子」や「里親」「里子」という言葉が思い浮かぶ方が多いと思います。みなさんはこれらの言葉について、どう理解していますか?
「養子縁組」と「里親制度」は別の制度です。その正確な違いを説明できる人は少ないかもしれません。
まずは養子縁組を見ていきましょう。
養子縁組には、「特別養子縁組」と「普通養子縁組」があります。上記にご紹介したETV特集のドキュメンタリー番組で取り上げられていたのは「特別養子縁組」です。
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以下、『「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす 愛知方式がつないだ命』48ページより抜粋します。

特別養子縁組制度」は、1988年に民放に追加される形で創設された「子の利益のため」(817条の7)の制度です。産みの親が何らかの事情で育てることができない「要保護児童」に、恒久的な家庭を与えることが目的とされており、原則として0歳から6歳未満の子どもが対象になります。
 特別養子縁組は、日本でこれまで多く行われてきた「普通養子縁組」とは、さまざまな点で異なります。
 まず前提としての大きな違いは、普通養子縁組の多くが、「親の都合や家系の存続」あるいは「節税目的」のために行なわれているのに対して、特別養子縁組は「児童福祉の観点」から行なわれる制度であることです。

私はこの特別養子縁組にとても注目し、期待しています。私たちカップルには血のつながりに対するこだわりは少なく、もし可能ならば特別養子縁組で子どもを迎えたいと思っています。しかし、特別養子縁組をするには婚姻した夫婦でなければならないため、戸籍上同性のカップルが利用することは現状できません。
▶︎参考リンク
子どものために、責任を持って子どもを引き受けられる「養親」であることは大前提です。その上で同性カップルについては、日本ではまだ法律上同性婚ができません。法的な婚姻ができなくても、子どもの親になれる人たちはたくさんいらっしゃいます。私は特別養子縁組で子どもを迎えられる養親の中に、同性カップルも含めてほしいと願っています。
私自身も「原家族には恵まれなかったけれど、社会の中で血のつながらない大人に育てていただいた私が、今度は誰かを育てさせていただくことができたら…」と心から思うのです。
次に、里親制度です。里親制度は、何らかの事情で産みの親の元で育つことが難しい子どもに、一時的に家庭環境の中での養育を提供する制度です。
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「自分の子どもを持ちたい」と願うことと、里親になることには違いがあります。(図にあるように、里親の種類の中には「養子縁組を希望する里親」もあります)
里親制度における里親の条件として、婚姻の規定や「同性愛者はなれない」などの決まりはありません。家庭的な養護を必要としている子どもはたくさんいて、里親になることを希望している同性カップルの方もいらっしゃいます。子の福祉という観点からも、里親候補の中にLGBTの人たちも含めてほしいと思っています。
▶︎参考リンク
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日本の養子縁組の現状についてとてもよくわかるおすすめの一冊です。興味がある方はぜひ読んでみてください。
これまで子育てを、自分の人生の選択肢から外していたというLGBTもいると思います。まだまだ色々な点でハードルが高いのも事実ですが、日本の状況は変わりつつあります。すでに子育てをしている同性カップルやLGBTが日本にもたくさんいらっしゃいます。
結婚も子育ても、必ずしなければならないものではありません。だれかにプレッシャーをかけられて、だれかの期待に応えるためにするものではないと私は思っています。ですが、命に向き合ったり、「誰と生きるか」という問いは、セクシュアリティに関係なく全ての人に共通するものだと思います。
LGBTでもそうでなくても「結婚」や「子育て」というテーマを通して、「家族」について今一度考えてみてほしいと思います。
7月22日(水)20:00〜、NHK EテレのハートネットTVで、特別養子縁組に関する番組が再放送になります。ETV特集「小さき命のバトン」とも関連する内容です。この記事を読んでくださった方、もし日程が間に合えばぜひご覧いただきたいです。
(「子どもを迎える方法について考える」シリーズ、次回以降は「人工授精」「代理母出産」の予定でお届けします。)

 

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