第119回【子どもを迎える方法について考える】Part 2 人工授精

前回に引き続き、今私の一番の関心事である「子ども持つこと」について書いていきたいと思います。シリーズ2回目の今回は、人工授精がテーマです。
先日ひろこさんとふたりで、港区の男女平等参画センター・リーブラで開催された「35歳からの出産を考える」という講座に参加してきました。
講師は鴨下桂子さんという、産婦人科医の方。専門医として医療現場からのお話はもちろん、ご自身の経験からのお話の内容もずしんとくる、素晴らしい講座でした。現在私は30歳、ひろこさんは37歳。私たちにぴったりの内容だったのです。
「35歳以上の高齢出産と不妊症」が講座の大きなテーマで、「女性だけでなく男性も、卵子老化のことや妊娠出産の正しい知識を、産む産まないに関わらず常識として持ってほしい」とお話しされていました。私も、男性も女性も、LGBTもそうでない人も、性別やセクシュアリティに関わらずみんなに知っていてほしいと感じました。
結婚するのがいいとか、産むのがいいとかそういうことではなくて、多様な生き方の一つとして、正しい知識を持って選択できるようになってほしいという先生のお話に、とても共感しました。レズビアンの女性も、産むのか産まないのか、子どもを育てるのか育てないのかということについて、「自分には関係がないことだ」と思わないで、若いうちから考えてほしいと思いました。
講座の最後の質疑応答では、ひろこさんが質問した「同性カップルと生殖補助医療」についても取り上げてくださり、とても嬉しかったです。
さて、私たちは現在妊活中。
日本産科婦人科学会のガイドラインで「生殖補助医療は男女の夫婦に限る」とされているので、私たちはレズビアンカップルとして、人工授精や体外受精などの生殖補助医療を受けることができません。そこで、知人から精子提供を受けて、シリンジを使って自宅での人工授精を考えていることを、以前こちらの記事でお話ししました。
ここからは、人工授精で妊娠出産することができたとして、「その後」について考えてみます。
「子どもにはなんて伝えるの?」
「自然じゃない」
「子どもがかわいそう」
「法的には大丈夫なの?」
テレビや講演会などで私たちの妊活についてお話しすると、上記のような質問やフィードバックを受けることが多いです。順番にみていきましょう。
▶︎疑問1:子どもにはなんて伝えるの?
これについては、迷いがありません。「小さい頃から繰り返し、そのときにその子がわかる言葉で説明し続けよう」と決めています。ニューヨークではこんな絵本も買ってきました。
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BLUESTOCKINGS(=「青鞜」)という、フェミニズム、ジェンダー、LGBT関連書籍も多く取り揃えている書店前にて。
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「What Makes a Baby」(=赤ちゃんはどうやってできるのか?)という絵本。お父さん/お母さん、男性/女性という区分ではなく、「精子のある体」「卵子のある体」「子宮のある体」といったジェンダーニュートラルな表現が使われています。
AID(非配偶者間人工授精)などで生まれた子どもに、自分はどうやって生まれたのかについて伝えることを「真実告知」と言います。私は『G2』の大野氏の「出生告知」というルポルタージュを読んでからは、子どもがお腹の中にいるときから語りかけよう! と考えています。
AID利用を検討する夫婦への告知に関するあるアンケートでは、「告知する」と答えたのは15%にとどまっています(参考記事)。日本では60年以上前から利用されているこの技術。日本では「子どもに真実を伝えない方が良い」という考えが主流でしたが、現在では「子どもには真実告知をする方が良く、それは出来るだけ早いタイミングの方が望ましい」という考えにシフトしてきているそうです。
私たち「ふうふ」の場合、ひろこさんが精子提供で産んだ子どもに対して、「小雪ちゃんがあなたの本当のお父さん」と嘘をつくには無理があります(もちろんそんなことはしませんが)。私たちは、家族の中に重大な秘密はない方がいい、きちんと説明がなされれば子どもには受け入れる力があると考えているので、早い段階での真実告知を前提にしています。血がつながっていなくても家族になれるのはいうまでもありません。だって私とひろこさんは血がつながっていませんが、大切な家族になれましたから。
▶︎疑問2:自然じゃない&疑問3:子どもがかわいそう
こう言われることもあって閉口してしまいます……。同性愛が自然じゃないという方は減ってきましたが、同性カップルが子どもを持つことについてはまだまだ「自然じゃない」と言われることがあります。
子どもを産まないで、養子縁組で新しい家族を迎える人たちもいます。
体外受精で生まれる子どもは、今や27人に1人
AIDで生まれる子どもも、卵子提供で生まれる子どももいます。
今ある技術と向き合って、命について考えて家族を作っていくことは、私はとても自然だと思います。(もちろん技術に関する議論、法整備に向けた議論も必要です)
そしてその子がかわいそうかどうかなんて、その子本人にしかわかりません。私は「どうやってできたか」よりも「どのように育てられたか」の方が、よほど重要だと思います。
▶︎疑問4:法的には大丈夫なの?
これには2つの別の疑問が含まれています。
1. 同性カップルが子どもを作ってもいいの?
2. 生まれた子どもの法的な立場はどうなるの?
1については、大丈夫です。現在日本に、同性カップルが子どもを持つことを制限するような法律はありません。レズビアンカップルとして生殖補助医療が使えないというのも、法律で禁止されているわけではありません。
2の「生まれた子どもの法的な立場」について。
法的に、ひろこさんが産んだ子の親はひろこさんで、私は法律上子どもの親にはなれません。そのために、子育てしている最中にひろこさんに万が一のことがあった場合、親子として暮らし続けることができるのか、不安があります。
また、結婚生活には離婚という可能性もあります。異性カップルは離婚する際に、子どもをどちらが引き取るのかなどで揉めることも多いようですが、同性カップルの場合、どんな対応になるのか想像ができません。(そのようなケースを見聞きしたことがないからです)
このように、共同親権が持てないことで子の立場が不安定になってしまいます。私は子の福祉という観点からも、一刻も早く法整備されてほしいと思っています。
それぞれが産んだ場合も、親がずっと健康でトラブルがなければ、実態とは違いますが「シングルマザーがふたり」のような立場で子育てをすることになりますので、とくに問題はありません。
「法的には大丈夫なの?」と聞かれれば、「禁止はされていないけど、保障もないから大変」という答えになるでしょうか。
いかがでしたか? ここにまとめたことは、数年かけてひろこさんと一緒にこつこつ考えてきたことです。今後私たちの考えが変わっていく部分もあるかもしれませんが、今子どもを持ちたい方の参考になったらとても嬉しいです。

 

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